三重県伊勢市にある「伊勢神宮」は約2,000年前に建てられ、日本人ならだれでも知っている神社です。江戸時代(1603~1868年)に伊勢神宮に参拝するブームが起こり、徒歩と馬しか交通手段がなかった時代に、全国から多くの人が伊勢神宮を目指したそうです。今は、神宮の隣に「おはらい町」や「おかげ横丁」と呼ばれる江戸時代の街並みを再現した町があり、料理や買い物、食べ歩きも楽しめます。
〈このページの内容〉
伊勢神宮・外宮(げくう)の入口
私は三重県で技能実習をして3年目ですが、同じ三重県にある伊勢神宮のことを知りませんでした。今回は、日本人と一緒に行動することの多いベトナム人留学生(日本在住10年以上)から勧められ、伊勢神宮とおかげ横丁を訪ねることにしました。
外宮の鳥居
根元付近にこけが生えた木(外宮)
伊勢神宮には神社の集まり(神宮)が2つあり、内宮(ないくう)と外宮(げくう)と呼ばれています。先に外宮から参拝するのが昔からの正しい順番とのことで、私もまず外宮から。境内(けいだい)に入ると大きな鳥居があったので、おじぎをしました。そこから先には古くて大きな木がいっぱいあり、森のような神秘的な空間でした。
正宮の入口。奥の正宮はここからは見えません(ここから先は撮影禁止)。
外宮の正式名称は「豊受大神宮(とようけ・だいじんぐう)」。中心となる「正宮(しょうぐう)」には豊受大御神(とようけの・おおみかみ)という神様がまつられています。衣食住や産業の神様です。質素ですが神秘的な雰囲気の神社でした。
外宮の別宮「多賀宮(たかのみや)」
外宮には、正宮(中心となる神社)以外に4つの別宮(べつぐう=小さな神社)があります。まず正宮で参拝を済ませたら、別宮を参拝する人もたくさんいます。森林浴をしながら神宮の境内を歩き回ると、結構な運動になります。
宇治山田駅前にある外宮への道標(どうひょう)
伊勢神宮へは、名古屋駅からJRか近鉄で約90分。外宮の最寄の「伊勢市」駅はJRと近鉄の両方が通っており、駅から外宮まで徒歩約5分。
大阪や京都からは近鉄・宇治山田駅が便利。駅から外宮までは徒歩約10分。外宮に行かずに内宮だけに行く場合は、宇治山田駅からバスで約10分。私は宇治山田駅から歩いて外宮に向かいました。
外宮エリア地図(伊勢市観光協会提供)
伊勢エリア広域地図(伊勢市観光協会提供)
私と友人は外宮の前にあった観光案内所で観光マップやパンフレットをもらうと、すぐそばのバス停からバスに乗って内宮に移動しました。「外宮前」から「内宮前」へは約20分、440円(約93,000 VND)でした。
※100円=21,146 VND(2021年3月18日現在)
外宮と内宮の位置関係(伊勢市観光協会提供)
おはらい町通り
「内宮前」でバスを降りて少し歩くと内宮の大きな鳥居があります。しかし、朝からたくさん歩いて疲れたので、休憩と腹ごしらえをしましょう。
鳥居に向かって左に商店街の入口がありました。江戸時代の外観を再現した商店や飲食店が何十軒も並ぶ「おはらい町通り」です。この商店街の一部や隣接エリアの計50余りの店は「おかげ横丁」と呼ばれています。「おはらい町」と「おかげ横丁」をまとめて「おかげ横丁」と呼ぶ観光客も多いようです。
「伊勢うどん 奥野家」
「おかげ横丁」については後でリポートします。私たちはいずれも伊勢の郷土料理である「伊勢うどん」と「手こね寿司」を求めて「伊勢うどん 奥野家(おくのや)」というお店に入りました。
奥野家での注文はタブレット端末の写真をタッチするやり方なので、日本語を読めなくても大丈夫(私は少し読めます)。てこね寿司セット(レギュラーサイズのてこね寿司+ミニサイズの伊勢うどん+お吸い物)は消費税込み1,400円▽ミニてこね寿司セット(ミニサイズのてこね寿司+レギュラーサイズの伊勢うどん+お吸い物)1,300円▽伊勢うどん500円▽天ぷら伊勢うどん(天ぷらのトッピング付き)850円――などのメニューがありました。
「手こね寿司」は酢飯(すめし=寿司に使うすっぱいご飯)の上にカツオの刺身が乗った食べ物です。タレに漬け込んだカツオと酢飯がよく合います。
伊勢うどんは普通のうどんより麺が太いのが特徴。麺に汁をかけるタイプのうどんではなく、しょうゆベースのたれを全体にからめて食べます。ちなみに、ホイアンの名物カウラウは伊勢うどんがルーツではないかという説があります。
私もベトナム人の同僚も伊勢うどんのおいしさに大感激。ごちそうさまでした!
お腹が落ち着いたところで、近くのレンタル着物店「夢小町(ゆめこまち)」へ。一番安いプランは3,980円で、インターネットで予約すれば3,500円(消費税込み)です。選んだ着物を着せてもらう着付料や、和風ポーチやはき物のレンタル料もプラン料金に含まれています。
着物を着せてもらって店内で撮影
どの着物を選んだらよいか迷っていると、お店のきれいなお姉さんが一緒に選んでくれました。着付けにかかる時間は約30分。オブションでヘアセット(1,500円)も追加できます。
準備が整い、着物姿でいよいよ内宮にお参り。最初に見た大きな鳥居に戻り、五十鈴川(いすずがわ)にかかる宇治橋(うじばし)を渡ります。この橋は神様と人をつなぐと言われています。
宇治橋から眺める五十鈴川
宇治橋
内宮の正式名称は「皇大神宮(こうたいじんぐう)」で、正宮と10カ所の別宮で構成されています。ここでも参拝はまず正宮から。宇治橋を渡って右に進み、正宮に向かって人の流れに付いていくと、一部、ルートわきに寄り道をする人たちも。私もその人たちに付いていくと、五十鈴川のほとりに出ました! 内宮の参拝前にここで手を洗う参拝客もいます。
五十鈴川から元のルートに戻り、再び、皆さんの歩く方向に付いていくと、社務所がありました。ここでお守り(1,000円など)を買う人もいます。
内宮の正宮の入口(ここから先は撮影禁止)
内宮の正宮には天照大御神(あまてらす・おおみかみ)という、日本でとっても有名な神様がまつられています。この神様に参拝するために江戸時代から多くの日本人がこの神社を訪れてきたのですね。
正宮を後にして境内を散策していると、梅の花が咲いていました。桜と似ていますね。
内宮を後にした私たちは再び江戸時代の街並み「おはらい町」と「おかげ横丁」へ。このエリアには、中で食べる飲食店以外に食べ歩き用のお店がたくさんあります。お祭りの出店が並んでいるような雰囲気で、歩いているだけで楽しくなります。
みたらし団子(2本300円)、しょうゆせんべい(1枚140円)
たこせんボール(Fish ball)550円など
肉の串焼き(500円)など
おかげ横丁
おかげ横丁の昔風の菓子店。せんべいやおかきなど日本の昔ながらのお菓子がたくさん売られていました。
おかげ横丁には野外の舞台があり、この日は、日本の伝統的な太鼓の無料演奏会が行われていました。
おかげ横丁では買った食べ物を食べるためのいすがあちこちに置かれていました。
おかげ横丁で何やら行列のできている店がありました。私も一緒に並んでみると…。
コロッケやミンチカツを売っているお店でした。お店の名前は「豚舎(ぶたすて)」。税込みでコロッケ100円、ミンチカツ160円と、手ごろなお値段。私はコロッケを買って店外で食べました。店内で牛丼(1,100円)やすき焼きも食べられます。
おかげ横丁の屋台で「ぐるぐるウインナー」(500円)も買いました。
たくさん食べてたくさん歩いた今日の「お伊勢参り」(日本人は伊勢神宮に参拝することを「お伊勢参り」と呼ぶそうです)。そろそろ締めのお店です。このお店は「赤福(あかふく)本店」で、何と創業1707年。この建物も約140年前からあるそうです。
あんこでつつんだシンプルなおもち「赤福餅(もち)」が主力商品で、江戸時代から今日に至るまで日本中に名前の知られた和菓子です。
2個220円の赤福餅を買って私も店内で食べてみました。うん、甘い!お土産用には8個760円、12個1,100円などがあります。
お腹も気分も伊勢を満喫したところで今日の小旅行はおしまい。着物を返し、おはらい町通りの海産物店でかきを買ってバスで宇治山田駅に戻りました。
伊勢神宮とおかげ横丁はベトナム人にはまだあまり知られていませんが、とても勉強になり、とても楽しいエリアでした。これからベトナム人の間にも広まっていってほしいと思いました。
*この記事はJNTOのご協力で作成しました。
JNTOの詳しい日本観光情報(ベトナム語)
JNTOの伊勢・観光情報(ベトナム語)
リポーター
チュ・ティ・ムック(Chu Thị Mức)
バクニン省出身。2018年から三重県で技能実習。伊勢神宮は日本在住歴10年以上のベトナム人留学生から知人を介して間接的に勧められて訪問。
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