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送金詐欺、多発中!
ベトナムの親に少しでも多く送金しようと思い、FacebookにPRを出していた業者に依頼したら、お金を振り込んでも送金が実行されず、業者と連絡が取れなくなった!テト(ベトナムの正月)を前にこんな被害が続出しています。被害の実例を報告します。
85万円が消えた!
KOKOROの主催者「在日ベトナム人協会(VAIJ)」はベトナム人のさまざまな相談に応じています。最近は、テトが近づいていることもあり、送金詐欺の相談が相次いでいます。
兵庫県の技能実習生はFacebookのTokyo baitoで「安い送金サービス」の投稿を発見し、興味を持ちました。テトの前に実家にまとまったお金を送りたかったのです。せっかくなので、有利なレートや手数料で送金し、少しでも多くの現金を送りたいと思いました。
SBIやKYODAIなどの正規業者を使うと、手数料が必要です。しかし、Tokyo baitoに投稿していた業者は「手数料はゼロ」のうえ、両替レートも正規業者より良いということでした。
投稿にメッセージを入れると、個別メッセージに移るように言われ、そこで振込先としてゆうちょ銀行の口座を指定されました。彼女はさっそく85万円を振り込むと、業者から「入金を確認したので、ベトナムの指定口座にドンを振り込んだ」と連絡がありました。
ところが、親が銀行に行ってみると、そのようなお金は入っていませんでした。彼女は急いで業者に連絡しようとしましたが、連絡が取れなくなっていました。
50万円をだまし取られた!
神奈川県の技能実習生もTokyo baitoで同じような広告を見て、50万円を振り込みました。この業者も「手数料ゼロ」という触れ込みでした。
直後に業者から「あなたからの入金を確認できたので、ベトナムにいる私の仲間が、指定されたベトナムの口座にドンを振り込んだ」と連絡がありました。口座の残高が増えたことを知らせるショートメッセージも銀行から親に届きました。
ところが、翌日、親が銀行に行くと、そのようなお金は入っていませんでした。ショートメッセージは、業者が送った偽物でした。それ以来、業者には連絡が取れず、彼女は途方に暮れています。
VAIJが警察に相談したところ、同じような被害が全国的に非常に多いとのことでした。
違法業者の特徴
海外送金を行うには、行政に登録をしなければなりません。その際に審査があり、合格した業者だけが事業を行うことができます。しかし、Tokyo baito や OSAKA BAITO などにPRを投稿している業者の多くは登録をしていません。これは違法です。
登録業者であれば、行政が監督していますが、違法業者を利用して詐欺の被害にあっても、行政はサポートできません。警察に被害届けを出すことはできますが、犯人の特定は困難です。
まとめ:被害をなくすには
VAIJは事件について警察に相談し、このような事件が増えないように要請しました。ただし、通常、事件で使われるFacebookアカウントには虚偽の個人情報が登録されていますし、振込先の銀行口座は違法売買で取得した口座(キャッシュカード)です。そのため、犯人を追跡することは非常に難しいです。
こうした詐欺の被害にあわないための最善の方法は、法律を守る意識を高めることです。違法サービスを利用したり支援したりしないことが被害を減らします。違法の可能性が高い業者を使ったり、帰国する前にキャッシュカードを人に売ったりすることは、絶対にやめましょう。
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求人詐欺、多発中!
ベトナム人向けのFacebookページで見た「仕事を紹介する」という投稿を信じ、登録費用や担保金などのつもりでお金を振り込むと、相手と連絡が取れなくなった!このような「求人詐欺」の被害が多発しています。「税務申告なし」などのうまい話に用心してください。被害の実例や対策などを紹介します。 ¥200,000をだまし取られた! 在日ベトナム人協会(VAIJ)はベトナム人のさまざまな相談に乗っています。その中で「求人詐欺」に関する相談は昔から後を絶ちません。 埼玉県の技能実習生の女性は2021年8月、FacebookのTokyo baitoで、家でできる仕事に関する求人投稿を見ました。 ・リップスティックにラベルをはる仕事 ・月収150,000円 彼女が技能実習でもらう毎月の手取り給料は約130,000円(約25,700,000 VND)で、技能実習生の平均的な水準ですが、内職でもっとお金を稼ぎたいと思い、投稿者にDM(ダイレクトメッセージ)を送りました。 DMでの主なやり取りは次の通りです。 ・まだ募集していますか? ・はい ・勤務条件を教えてください? ・リップスティック1500本にラベルをはれば給料75,000円 ・3,000本なら180,000円 続けてやり取りをしていると、相手から「口紅の持ち逃げを防ぐために、最初に保証金を預ける必要がある」と説明されました。保証金の額は100,000円。彼女は指定されたゆうちょ銀行口座に150,000円を振り込みました。 その後、リップが送られてくることになっていましたが、なかなか届きません。不安になって「仕事への応募を取り消したい」とメッセージを送ると、「わかりました。担保金は返します。しかし、返金手続料として50,000円を振り込んでください」と指示されました。 彼女は150,000円を返してもらうために、仕方なく追加で50,000円を振り込みました。すると、間もなく相手と連絡が取れなくなり、合計200,000円がそのまま返ってきませんでした。 彼女は悔しくて仕方ありませんが、技能実習生が受入会社以外で働くのは法律違反なので、警察に被害届けを出すこともできませんでした。 求人投稿のここに注意! 上の写真はTokyo baitoへの投稿です。投稿の要点と不審な点について説明します。 投稿の要点 ・キッチン、ホール ・すぐに仕事を始められる ・時給:1,100円 ・「税務申告なし」も選べる 不審な点 「税務申告なし」は違法です。一見、親切なように見えますが、この文言は違法グループを見分ける目印の一つです。この文言が入っている求人情報には要注意です! 求人投稿への「いいね!」は仲間の可能性 求人詐欺はTokyo baitoだけではありません。この写真は2021年11月のTokyo baitoへの投稿です。次のようなことが書かれています。 ・Kanagawa baitoで求人情報の投稿を見た。 ・投稿者に連絡すると別の人物を紹介され、その人物から指示されて22,000円を振り込んだ。 ・振り込むと、投稿者にも別の人物にも連絡が取れなくなった。 この女性は「求人詐欺はグループで行われ、仲間がウソの求人投稿への『いいね!』や書き込みをしている可能性がある」と指摘しています。 他人の写真と偽名を使って投稿!? これもTokyo baitoへの投稿です。「ある人物がうその名前と写真でTokyo baitoやKobe Baitoなどに求人情報を投稿し、紹介料をだまし取っている」と警告しています。 この人物の求人投稿にも「給料手渡し」や「税務申告なし」などの誘い文句が書かれているとのことです。 まとめ:被害をなくすには 仕事探しは正規ルートで 日本では、行政の許可なしで仕事を紹介すること自体が違法です。しかし、SNSの求人情報の多くが無許可の人によって発信されています。不法滞在者や内職をしたい技能実習生、税金を免れたい人など、法律に違反してお金もうけをしたい人が彼らの絶好のターゲットです。 こうしてBộ Đội Japan(ボードイ・ジャパン)やTokyo baitoなどの求人投稿に応募し、紹介料などをだまし取られるケースが昔から山ほどあります。振込先の銀行口座は、母国に帰った元実習生や元留学生から違法に譲り受けた口座なので、仮に警察が捜査しても詐欺の犯人を突き止めることは困難です。 また、現役の技能実習生や特定技能外国人は決められた職場で働くことを条件に日本での滞在が許可されています。仮に本当に副業を紹介してもらえたとしても、税務署や入管にばれたら、在留資格を失うことにもなりかねません。 法律を守り、正しい働き方でお金を稼ぎましょう。
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総まとめ・ベトナム人向け相談窓口
学習や仕事(技能実習・正社員・派遣・アルバイト)、生活、在留資格などの関係で困ったことが起こり、会社や受入組合、学校、先輩などに相談しても解決しない場合、どこに相談したらいいでしょうか? 多くの先輩がこれまでさまざまな相談窓口や支援団体に助けられています。一つの窓口で解決しない場合でもあきらめたり失踪したりせず、複数の機関に相談してみてください。 知っておきたい相談窓口 日越ともいき支援会 外国人技能実習機構(OTIT) 技能実習で困ったことが起き、監理団体(受入組合)や受入会社が適切に対応しない場合は、まずは外国人技能実習機構(OTIT)に相談してください。公式HPからベトナム語で相談内容を送信できます。フリーダイヤルの電話(0120-250-168)もあります。 OTITの事務所を直接訪れるのも有効です。その際、自分の在留カードをコンビニでコピーし、その紙の余白部分にあなたの悩みや不満の要点を書いて持参することをお勧めします。事務所に着いたら、紙を読んでもらってから自分で説明もします。必要がある場合は、OTITが通訳を手配してくれます。 労働基準監督署(労基署) 技能実習生も留学生も、残業代を払ってもらえないなどの相談は全国の労働基準監督署に相談してください。最近は外国人の相談にも対応しています。 全国の労基署 実績のある民間の支援団体 外国人実習生支援 OTITや労基署に相談しても解決しない場合やこのような公的機関に1人でうまく相談できない場合、次のような民間の支援団体のサポートを得る方法があります。いずれも実績の多い団体です。 外国人実習生SNS相談室(Facebook) =技能実習生の労働問題、雇用問題、生活問題、在留資格関連 日越ともいき支援会 =留学生や技能実習生などあらゆるベトナム人の労働・雇用・生活・就職・在留資格などに関する問題 岐阜一般労働組合 第2外国人支部 =甄凱(けんかい)支部長:090・8496・9668(日本語) =技能実習生、正社員、派遣労働者などあらゆる外国人労働者の労働や雇用、在留資格に関する問題 活発なベトナム人団体 在日ベトナム人協会(VAIJ) =生活・医療・健康に関するホットライン:050-6874-8385 在仙台ベトナム人協会(SenTVA) 茨城県ベトナム人協会 ベトナム語の通じる相談窓口(主要都市) 全国の主要都市にあるベトナム語の通じる主な相談窓口を紹介します。 ■東京都 外国人在留支援センター(FRESC) =あらゆる外国人の生活・労働・雇用・就職・在留資格などあらゆる分野の相談 =FRESCヘルプデスク:0120-76-2029=月~金(9:00~17:00) =FRESCの入管電話予約:03-5363-3025=月~金(9:00~17:00) ※ヘルプデスクは全国からの相談に対応。 ※どちらの電話でも、ベトナム語を希望する場合は、最初に「ベトナム語でお願いします」と日本語か英語で告げてください。 ■北海道 北海道外国人相談センター = 011-200-9595(平日9:00-12:00 / 13:00-17:00) ■宮城県 みやぎ外国人相談センター = 022-275-9990 ■茨城県 外国人相談センター =TEL:029-244-3811(ベトナム語:月・火・水) ■埼玉県 外国人総合相談センター埼玉 =048-833-3296 ■千葉県 千葉県外国人相談 =043-297-2966(平日9:00-12:00 / 13:00-16:00) =E-mail:ied@ccb.or.jp ■神奈川県 横浜市多文化共生総合相談センター = 045-222-1209 = E-mail:t-info@yoke.or.jp ■静岡県 静岡県多文化共生総合相談センター かめりあ = 054-204-2000(平日10:00~16:00) = E-mail:sir07@sir.or.jp ■愛知県 あいち多文化共生センター = 052-961-7902(月~土10:00~18:00) ■大阪府 大阪府外国人情報コーナー = 06-6941-2297 = E-mail:jouhou-c@ofix.or.jp ■大阪市 外国人のための相談窓口 = 06-6773-6533(平日 9:00~19:00、土日祝:9:00~17:30) ■兵庫県 神戸国際コミュニティセンター = 078-291-8441(ベトナム語:月・水 09:00~12:00、13:00~17:00) ■兵庫県 日越交流センター兵庫 = 078-646-3110 = E-mail:cntorimoto@yahoo.co.jp ■岡山県 岡山県外国人相談センター = 086-256-6052(平日9:00~17:00) = E-mail:support@opief.or.jp ■広島県 ひろしま国際センター = 0120-783-806 ■福岡県 福岡県外国人相談センター = 092-725-9207(毎日10:00~19:00) = E-mail:fukuoka-maic@kokusaihiroba.or.jp ■福岡市 福岡市外国人総合相談支援センター = 092-262-1799(平日8:45~18:00) 自治体や国際交流協会などの窓口リスト(全県) このコーナーでは、日本全国の都道府県(地方自治体)や国際交流協会などによる外国人向け相談窓口のリスト(ベトナム語版、日本語版)をご紹介します。 あなたのお住まいの都道府県名(日本語とアルファベット)が記載された四角い欄をクリックすると、その地域の相談窓口の一覧表が現れます。ベトナム語で相談できる窓口には赤い文字で「ベトナム語」と記されています。また、出てきた表の中の青いURLをクリックすると、その相談窓口のウェブサイトにつながります。 地域別:国際交流協会などの相談窓口リスト(リンク)
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包丁持ち歩きで逮捕!?
在日ベトナム人も飲食品や食器などを持ち寄って友人宅や野外でよく宴会をします。しかし、その際に料理を手伝おうと思って包丁を持って行くと、場合によっては警察につかまってしまいます。包丁やナイフなどの持ち歩きに関する注意点をお伝えします。 包丁所持で交番に同行① 私は以前、留学生として全国チェーンの居酒屋でアルバイトをしていました。店は東京・渋谷にありましたが、うちの店が忙しいときは、近くのグループ店のスタッフがうちの店にサポート(手伝い)に来ましたし、近くの店が忙しいときには、逆にうちからだれかがサポートに行きました。 ある日の午後8時ごろ、同僚のベトナム人留学生が店長から「包丁を持って隣の店にサポートに行ってください」と指示されました。包丁は厨房の仕事で使います。包丁を持って他店のサポートに行くことは当時よくあることで、彼は包丁1本を新聞紙で包み、そのまま手に持って出かけました。 渋谷の繁華街 すると、彼が数百メートル離れた他店に歩いて向かう途中、警察官2人に呼び止められ、職務質問されました。日本では警察官が不審に思った人を呼び止めるのはよくあることです。何をしているのか聞かれ、場合によっては所持品も調べられます。彼は新聞紙で包んだ包丁を持っていたことがもとで近くの交番に連れていかれてしまいました。 彼は警察官に事情を説明しましたが、日本に来てまだ2年目で日本語力が足りず、意味があまり伝わりません。やがて、警察からうちの店に「おたくのスタッフが包丁を持って繁華街を歩いていたため、交番で一時的に保護している」と電話がかかってきました。 店長が交番に出向いて事情を説明し、やっと納得してもらえましたが、店長も同僚も「すぐに使える状態で包丁を持ち歩くのは危険だ」と警察から注意されたそうです。彼が警察から解放されたのは、店を出てから約2時間後のことでした。 包丁所持で交番に同行:ケース② 上野公園の夜桜 私は東京に長く住んでおり、ベトナム人仲間で宴会をしたり、桜や紅葉を見に行ったりすることがよくあります。その際、食べ物や飲み物、果物、食器など、飲食品や備品の準備を分担します。2017年春に東京の上野公園に二十数人で花見に出かけたときもそうでした。 このとき、果物の皮をむくための包丁や肉を切るはさみを持ってくる担当になった留学生がいました。彼は包丁と大きなはさみをカバンに入れて電車に乗り、上野駅で降りましたが、駅の近くで警察官たちから職務質問を受け、カバンに包丁が入っていたため、やはり交番に連れて行かれました。 彼も日本語があまり話せなかったため、包丁を持っていた理由をきちんと説明できませんでした。また、彼は普段は携帯電話をWi-FiにつないでSNSで仲間と連絡を取っており、携帯にSIMが入っていなかったので、Wi-Fiのない警察から私たちに連絡することもできませんでした。 警察は結局、彼の留学先の日本語学校に電話し、学校の担当者と通訳が警察に説明に来てやっと理解してもらえました。彼が職務質問されてから解放されるまで4時間半ぐらいかかりました。 刃物に関する日本の法律 日本には銃や刃物の携帯を規制する法律があります。包丁やナイフ、はさみなどは仕事や生活に必要なので、所有することは自由です。しかし、正当な理由なくこれらを持ち歩くことは法律で禁止されています。刃物の携帯は犯罪につながるので、必要な場合に警察が取り締まることができるようにするためです。 この法律では、刃渡りが6 cmを超える刃物について、「業務その他正当な理由による場合を除いては、これを携帯してはならない」と定めています。違反すると刑罰の対象になります。 ここで「業務その他正当な理由」とは次のような意味です。 「業務」とは仕事です。例えば、調理師が包丁をカバンに入れて職場に持って行く場合は「業務のため」なので合法です。また、「その他正当な理由(それ以外の正当な理由)」とは、例えば、店で包丁を購入し、パッケージされた状態のままカバンに入れて自宅に持ち帰る場合などを指します。しかし、護身のためにナイフなどを持ち歩く行為は「正当な理由」とはみなされず、違法となります。 居酒屋のアルバイトで包丁を持って他店に行くことは仕事上の行為ではあります。しかし、新聞紙に包んだ包丁を持ち歩くと、包丁をすぐに使える状態なので、周囲から見ると非常に危険です。したがって、警察から厳重に調べられてしまいます。カバンに入れて持ち歩いても、ケースなどに入れずカバンからすぐに取り出して使える状態であれば、同じように危険なので、やはり警察から詳しく調べられる可能性があります。 なお、刃渡り6 cm以下の刃物の携帯も別の法律で規制されており、正当な理由が必要です。正当な理由なく刃物を持ち歩くと周囲に不安を与え、場合によっては警察に逮捕されます。日本では、基本的に刃物を持ち歩かない方がよいでしょう。
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ウーバーイーツ詐欺
「ウーバーイーツ」をご存じですか? ベトナムの「グラブフード」などと同じようなサービスで、顧客がインターネットで飲食店の商品を注文すると、配達員が代わりに飲食店に行って商品を受け取り、顧客に届けてくれるサービスです。現在、日本では「出前館」と「ウーバーイーツ」がこのサービスの大手で、在日外国人にもウーバーイーツの配達員が増えています。しかし、本来は配達員になれない人が不正に配達員になろうとしてトラブルに巻き込まれたり警察に逮捕されたりする例も増えています。 アカウント売買詐欺 2020年夏、神奈川県で技能実習をしていたズンさん(仮名)は同僚と2人で会社から逃げ出しました。ズンさんは友人(ベトナムの送出機関の同期生)で先に失踪していたチェンさん(仮名)を訪ねて東京のアパートに一緒に住みました。このアパートはベトナム人留学生が借りており、失踪した実習生たちからお金をもらって住ませていました。 ズンさんたちは、チェンさんがしていたウーバーイーツの配達員になろうと考えました。この仕事をするには、ウーバーイーツの会社に登録して配達員としての「アカウント」を作らなければなりません。このアカウントで配達員用サイトにログインし、仕事を受注できるのです。登録するには在留カードを提示しなければなりません。しかし、技能実習生は許可された職場以外での仕事はできないので、自分の在留カードでは配達員として登録できません。 そこで、在日ベトナム人の間で配達員のアカウントのヤミ取引が行われています。ズンさんたちは、チェンさんの紹介で自称「留学生」のベトナム人2人と会い、10万円ずつ払って彼らのアカウントを購入しました。その場でログインして確かめると、確かに配達員用ページにログインすることができました。 ところが、翌日、実際に働くためにこのアカウントで配達員用ページにログインしようとすると、ログインできなくなっていました。アカウントが削除されていたのです。ズンさんだけでなく同僚とチェンさんのアカウントも削除されており、「留学生」たちとも連絡が取れなくなってしまいました。 アカウントを売って代金だけだまし取る詐欺の被害にあったのです。ズンさんは「留学生」を何とか見つけ出して代金の一部を取り返しましたが、その後、相手は再び姿をくらまし、ズンさんは残金を回収できませんでした。 警察に逮捕 他人の在留カードの写真でウーバーイーツ配達員の登録手続きをしたなどとして、大阪府警は2021年1月、大阪市に住むベトナム人男性(24)を検察庁に送りました。この男性は2020年10月、ウーバーイーツの仕事中に警察官から職務質問され、期限の切れた在留カードしか持っていなかったため、入管難民法違反(オーバーステイ)容疑で逮捕されていました。 男性はその後、入管難民法違反については懲役(ちょうえき)2年、執行猶予(しっこうゆうよ)3年の判決を言い渡されました。配達員として月15万円程度の収入を得ていましたが、最後は、強制帰国させられることになりました。 この男性も元技能実習生で、2019年に実習先の職場から逃げ出し、不法就労をくり返していました。しかし、新型コロナでアルバイト探しも難しくなり、他人の在留カードでウーバーイーツの配達員と登録していました。 まとめ 在留カードの情報を検索するアプリを配付する入管のページ ウーバーイーツは2020年末から、配達員の登録方法(アカウントの取得方法)を変更し、オンラインだけで受け付ける登録から、配達員になりたい人と実際に面談して手続きを行う方法を東京、大阪で導入し、その後、他都市にもその方式を広げています。 また、不正にアルバイトをするために、Facebookなどを通じて偽の在留カードが売買されています。しかし、最近は、入管が無料で配布しているアプリに在留カードの情報を入力すると、在留カードが本物かどうか確認できるようになっています。このため、偽の在留カードで働ける職場は限られています。 このように、失踪やオーバーステイ、不法就労をしても、お金を稼ぐことは年々難しくなっています。技能実習生や留学生は、①できるだけ少ない借金で日本に来る ②不法就労や失踪をする前に、困った状況を解決するために相談機関や支援機関を頼る――ようにしてください。 主な相談先 日越ともいき支援会 困難な状況やつらい状況になったときの相談先をいくつか紹介します。 外国人技能実習機構(OTIT) 技能実習で困ったことが起き、監理団体(受入組合)や受入会社がきちんと対応してくれない場合は、まずは外国人技能実習機構(OTIT)に相談してください。公式HPからベトナム語で相談内容を送信できます。フリーダイヤルの電話(0120-250-168)もあります。 OTITの事務所を直接訪れるのも有効です。その際、自分の在留カードをコンビニでコピーし、その紙の余白にあなたが何に困っているかを書いて持っていってください。事務所でそれを渡すと、説明が格段にスムーズになります。必要がある場合は、OTITが通訳を手配してくれます。 労働基準監督署(労基署) 技能実習生も留学生も、残業代を払ってもらえないなどの相談は全国の労働基準監督署で相談できます。ベトナム語でもいいので、労基署の名前、「申告書」というタイトル、あなたの名前、日付を紙に書き、最後に署名をして労基署に持って行ってください。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 全国の労基署 実績のある民間の支援団体 OTITや労基署に相談しても解決しない場合や1人でうまく相談できない場合、次のような民間の支援団体のサポートを得ることもできます。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 外国人実習生支援(Facebook) =技能実習生の労働問題、雇用問題、生活問題、在留資格関連 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 日越ともいき支援会 =留学生や技能実習生などあらゆるベトナム人の労働・雇用・生活・就職・在留資格などに関する問題 岐阜一般労働組合 第2外国人支部 =甄凱(けんかい)支部長:090・8496・9668(日本語)=技能実習生、正社員、派遣労働者などあらゆる外国人労働者の労働や雇用、在留資格に関する問題 活発なベトナム人団体 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 在日ベトナム人協会(VAIJ) =生活・医療・健康に関するホットライン:050-6874-8385 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 在仙台ベトナム人協会(SenTVA) [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 茨城県ベトナム人協会
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