困りごと解決
困りごと相談簿 file 10:年金関係
相談者はエンジニアとして日本で3年間働き、転職しました。すると、前の会社が彼を厚生年金保険に加入させていなかったことが分かりました。その後、過去3年分の年金保険料の請求が彼の自宅に送られてきました。多額なので、すぐには納められません。どうしたらいいでしょうか?
カテゴリー年金
【相談者】
・エンジニア
・男性
・勤務地:関東
日本年金機構から多額の請求
彼はエンジニアとして来日し、電気関係の中小企業で3年間働きました。在留資格は「技能・人文知識・国際業務」です。会社が厚生年金に加入していると思っていましたが、転職して新しい会社が社会保険の手続きを行うと、前の会社が自分を厚生年金に入れていなかったことがわかりました。
新しい会社が手続きを行い、会社と本人が年金保険料を毎月納めるようになりました。しかし、年金事務所(日本年金機構)から、過去3年分の年金保険料の支払いを求める通知が送られてきました。請求額は、途中で呼び寄せた寄せた妻の分と合わせて数十万円になり、すぐには納付できません。
過去の保険料を納めない場合は?
年金事務所からの請求を無視して支払いに応じないと、次のような重大な不利益を受ける可能性があります。
・在留期間を更新できない。
・財産(貯金や給料など)を差し押さえられる。
・永住権を取得できない。
・本人が亡くなったときに遺族に支給される年金や障害を負った際に受け取る年金を受け取れない。
永住権を申請すると、税金や年金保険料などの納付実績がチェックされます。申請直前に過去の未納分をまとめて払っても、未納が長く続いたという記録は消えないので、永住権の審査で不利になります。
請求に応じるしかない
日本の社会保険制度の柱として「医療保険(健康保険)」と「年金保険」があります。年金保険は主に次の2つです。
・厚生年金保険:「技術・人文知識・国際業務」の外国人や特定技能外国人、技能実習生など
・国民年金:留学生やその家族など
厚生年金保険は、会社と従業員が年金保険料を半分ずつ負担します。ところが、今回のケースのように、会社が従業員を厚生年金保険に加入させない場合があります。主な理由は会社の保険料負担を免れたいからですが、これは違法です。
相談者は年金について前の会社から何も説明を受けておらず、保険料について知らなかったのですが、その場合でも保険料を納める義務はあります。年金事務所からの請求には、応じるしかありません。
分轄納付や免除について
すぐに払えない場合や収入が少ない場合は、新しい会社や近くの年金事務所に相談しましょう。
・過去の保険料は分轄で納めることもできます。
・収入が少ない場合などに保険料の25%~100%を免除してもらえることがあります。過去約2年分にわたって、後から申請できます。
まとめと対策
会社が従業員を健康保険や厚生年金保険に入れることは法律で決められた義務です。
厚生年金保険の保険料は会社と従業員が半分ずつ支払い、従業員の負担分は毎月の給与明細に記載されます。給与明細に記入されていない場合は、あなたが厚生年金に入っていない可能性があります。そのときは次のように対処してください。
・厚生年金保険への加入を会社に依頼する。
・年金事務所に相談する。(その後、年金事務所が調査し、会社に加入を促します)。
会社が厚生年金保険の手続きをするまでは、留学生や自営業者などが加入する「国民年金」に入って保険料を納めます。そのことも、年金事務所で相談してください。
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困りごと相談簿 file 11:留学生の年金
日本に住む20歳以上の人は、日本人も外国人も国民年金(留学生など)か厚生年金保険(会社員など)に入り、毎月、年金保険料を納めなければなりません。留学生の場合、役所に申請すれば、年金保険料の納付を卒業まで免除されます。しかし、申請をせずに保険料を納付しなければ「滞納」となり、日本で就職した場合、滞納した保険料をまとめて請求されます。その額はどれくらいなのか、支払わなければどうなるか、卒業まで納付を免除してもらうにはどのようにしたらよいか、わかりやすく解説します。 カテゴリー年金 「留学生は年金を払わなくてもよい」は間違い! 日本で留学する場合、20歳になったときから国民年金に加入し、年金保険料を毎月支払わなければなりません。国民年金の保険料は毎月16,590円(2022年度)です。留学生の場合は役所(年金事務所)に申請をすれば、納付が免除されますが、申請せずに納付を怠ると「滞納」となり、卒業後にまとめて請求されます。 ※10,000円=約1,825,000 VND(2022年4月13日現在) 例えば、20歳になってから卒業するまでの留学期間が3年8カ月だった人が卒業後も就職や結婚などで日本に残る場合、卒業後に3年8カ月分の年金保険料をまとめて請求されます。2022年度の年金保険料で計算すると、3年8カ月分は729,960円です。 日本の年金制度 日本の公的な年金制度には「厚生年金保険」と「国民年金」があります。技術・人文知識・国際業務の人や特定技能外国人、技能実習生については、通常、勤務先の会社などが「厚生年金保険」への加入手続きを行い、毎月の給与から年金保険料が自動的に差し引かれます。 留学生の場合は自分で国民年金に加入し、自分で保険料を納付します。国民年金の2022年度の保険料は毎月16,590円です。加入方法と納付免除の方法については、この後で説明します。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 国民年金制度の仕組み(ベトナム語) 年金加入によるメリット 年金保険に加入すると、次のような場合にお金を受け取れます。 ・老齢年金:10年以上保険金を納めた人は、65歳になれば、年金を毎年受け取れます。 ・障害年金:病気やけがで障害を負った場合に支給されます。年齢は関係ありません。 ・遺族年金:本人が亡くなった場合、配偶者か子どもに支給されます。 ただし、日本に永住しない外国人にとっては「老齢年金」はメリットになりません。そこで、母国に帰国した後に、それまでに納付した年金保険料の一部を返してもらえる制度があります。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 年金保険料を返してもらうには 国民年金の加入方法 それでは、留学生が国民年金に加入するにはどうしたらよいでしょうか? 「厚生年金保険」は会社などが加入手続きを行いますが、「国民年金」は自分で加入し、自分で保険料を納めます。国民年金への加入の仕方は次の通りです。 ・20歳以上で日本に入国→市区町村で住民登録をした後、その役所や近くの年金事務所で加入手続きをします。 ・19歳以下で入国→20歳の誕生日から約2週間以内に、自宅に「基礎年金番号通知書」や保険料納付書などが届きます。留学生の場合は、そのときに一緒に送られてくる書類で「学生納付特例制度」の適用を申請すると、卒業まで年金保険料の納付を免除されます。 *20歳になっても書類が届かない場合は、市区町村の役場か近くの年金事務所で手続きが必要です。 *日本で就職するときに必要なので「基礎年金番号通知書」は大事に保管してください。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 国民年金加入の案内(ベトナム語) 学生納付特例制度 留学生の場合、卒業まで保険料を納めなくてもよい「学生納付特例制度」があります。この制度の適用を申請すれば、通常、年金保険料の納付を免除されます。しかし、申請せずに保険料を納めないと、単なる「滞納」となり、卒業後にまとめて請求されます。 学生納付特例制度は、学校を卒業してからも事後的に申請できますが、申請したときから2年1カ月前からしか適用されません。それより以前の滞納分については、納付しなければなりません。仮に4年間滞納して2年分を事後申請で免除されたとしても、残り2年分の納付義務が残ります。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 学生納付特例制度|日本年金機構 滞納した保険料を納めないとどうなる? 国民年金の「学生納付特例制度」を申請せず、卒業後に年金保険料の滞納分をまとめて請求された場合、納付に応じないと、次のような重大な不利益を受ける可能性があります。 ・在留期間を更新できない。 ・財産(貯金や給料など)を差し押さえられる。 ・永住権を取得できない。 ・自分が亡くなったときに遺族に支給される年金や障害を負った際に支給される年金を受け取れない。 この中で「永住権」については、永住権を認めてもらうには、税金や年金保険料などの納付実績が重視されます。永住権を申請する直前に過去の未納分をまとめて払っても、滞納が長く続いたという記録は消えないので、永住権取得が難しくなる可能性があります。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 健康保険と年金 支払いに困った場合は? 年金事務所(赤い看板が目印) 滞納分をまとめて請求されて困った場合は、納付方法などについて、勤務先の会社や近くの年金事務所に相談しましょう。 ・「学生納付特例制度」は後から申請して適用してもらうこともできます。ただし、申請時点から2年1カ月前の分までにしか適用されません。 ・過去の保険料は分轄で納めることもできます。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 全国の年金事務所 まとめと対策 「留学生は年金(保険料)を納めなくてもよい」といううわさは間違いです。留学生が年金保険料を納めなくてもよいのは、学生納付特例制度の適用を申請して認められたときに限ります。これをせずに保険料を納めないと「滞納」となり、卒業後にまとめて請求されます。 その請求に応じないと、在留資格更新の審査に影響したり、財産を差し押さえられたりします。20歳を過ぎたら年金事務所から通知が届きますので、「学生納付特例制度」の適用を必ず申請しましょう。また、通知書類の中に含まれる「基礎年金番号通知書」は大事に保管してください。
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★基本情報=健康保険と年金
日本に住む外国人は医療保険(健康保険)や年金に加入しなければなりません。病院などで健康保険証を出すと、自己負担が通常3割になります。また、年金保険料は帰国後に多くが返還されます。医療保険や年金などについてくわしく説明します。 〈このページの内容〉 日本の社会保険について 医療保険(健康保険) 年金制度 労働保険 まとめ 日本の社会保険について 日本の社会保険には次のようなものがあります。 ・医療保険(健康保険) ・年金保険 ・労災保険 ・雇用保険 ・介護保険 医療保険(健康保険) 公的な医療保険には主に「健康保険」と「国民健康保険」があります。大きく分けてサラリーマンが健康保険、それ以外の人が国民健康保険に加入します。国籍や年齢に関係なく加入しなければなりません。 ・健康保険:「技人国」や特定技能外国人とその家族、技能実習生など。保険料は会社と従業員が半分ずつ負担します。 ・国民健康保険:留学生とその家族など 医療費の自己負担が減る ・これらの保険の「健康保険証」を病院などで渡すと、医療費の自己負担が通常30%になります。 ・保険が適用されない医療もあります。 医療費の自己負担が減る 国民健康保険への加入方法 「健康保険」は会社などが加入手続きを行い、保険料も会社が給料から引いて支払います。しかし、「国民健康保険」は自分で加入し、自分で保険料を納めます。 居住地の市区町村の役所で加入手続き 在留カードやパスポートが必要 同居する家族も一緒に加入 住所が変わった場合は、新住所の役所で申請し、新しい保険証を受け取る 年金制度 公的な年金制度として「厚生年金保険」と「国民年金」があります。住民登録をしている外国人にも加入義務があり、大きく分けてサラリーマンが厚生年金保険、それ以外が国民年金に加入します。 ・厚生年金保険:会社などで働く人が対象。「技人国」や特定技能外国人とその家族、技能実習生など。保険料は会社と本人が半分ずつ負担し、毎月の給与明細に本人の負担額が記載されます。 ・国民年金:留学生とその家族など(20歳以上59歳以下) どのような場合に年金を受け取れるの? ・老齢年金:10年以上保険金を納めた人は、65歳になれば、年金を毎年受け取れます。受給額は納めた保険料の額によって変わります。 ・障害年金:病気やけがで障害を負った場合に支給 ・遺族年金:本人が亡くなった場合、配偶者か子どもに支給 国民年金に加入するには 「厚生年金保険」は会社などが加入手続きを行いますが、「国民年金」は自分で加入し、自分で保険料を納めます。国民年金の2021年度の保険料は毎月16,610円です。 ・ 20歳以上で入国→市区町村で住民登録をした後、その役所や近くの年金事務所で加入手続き ・19歳以下で入国→20歳の誕生日から約2週間以内に自宅に「国民年金加入のお知らせ」や年金保険料の納付書が届きます。その納付書を使って保険料を支払うか、留学生の場合は、一緒に送られている申請書で「学生納付特例制度」の適用(=納付免除)を申請します。 ・20歳になって約2週間たっても書類が届かない場合は、市区町村の役場か近くの年金事務所で手続きが必要 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 国民年金制度の仕組み(ベトナム語) [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 国民年金加入の案内(ベトナム語) [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 各地の年金事務所 学生納付特例制度 ・学生の場合、卒業まで保険料を納めなくてもよい「学生納付特例制度」があり、申請が必要です。 ・申請して認められた場合は、支払いを免除されます。しかし、申請せずに保険料を納めないと単なる「滞納」になり、納付義務が残ります。 ・日本語学校の場合は、1年以上のコースの生徒が対象です。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 学生納付特例制度|日本年金機構 基礎年金番号通知書 加入手続きの後、「年金手帳」と保険料納付書が自宅に届けられていましたが、2022年4月に年金手帳は廃止され、代わりに「基礎年金番号通知書」が届くようになります。 日本で会社などに就職するときに基礎年金番号が必要です。年金手帳を持っている人は基礎年金番号の証明書類として引き続き使えますので、捨てないでください。 保険料が返ってくる! 母国に帰国後、日本で納めた年金保険料の一部を返してもらう「脱退一時金」という制度があります。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 脱退一時金(ベトナム語)|日本年金機構 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 年金保険料を返してもらうには 労働保険 労災保険や雇用保険を「労働保険」と呼びます。その内容を紹介します。 労災保険 ・仕事や通勤が原因で起こった病気・けが・障害・死亡に関し、労働者や遺族に必要な給付を行う制度 ・保険料は会社などが全額負担 ・留学生も加入できます。 雇用保険 ・失業した場合に失業給付などを受けられる制度。勤務先や実習先の会社が倒産した場合も、新しい会社に移るまで給付を受けられます。 ・会社員の場合、会社と従業員が保険料を分担(会社の方が多く負担) ・留学生は加入できません。 まとめ 医療保険(健康保険)や年金などのポイントを紹介しました。健康保険には加入しても年金には加入しないという人もいますが、その場合、次のような不利益があります。 ・就職が決まって在留資格(ビザ)を変更するときや、在留期間を更新するときに、変更や更新を認めてもらえない場合がある。 ・永住権の取得が難しくなる。 永住権を申請する直前に過去の年金保険料をまとめて払ってもだめな場合があります。過去の滞納記録が入管の審査で不利になるからです。 会社が義務を怠って従業員を年金に加入させていない場合もあります。給与から「厚生年金」の保険料が引かれているかチェックしてください。 社会保険についてもっと知りたい方はこちらもチェック! [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 外国人のための「生活・就労ガイドブック」(第7章:年金・福祉)
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年金保険料を返してもらうには
技能実習生や特定技能外国人、「技人国」などの方々の給料から毎月引かれる「厚生年金」ですが、日本での住所を引き払ってベトナムに帰国すると、支払った年金保険料の大半が返ってきます。「脱退一時金」と呼ばれる保険料の還付制度について説明します。〈弁護士法人Global HR Strategy・杉田昌平弁護士〉 外国人も加入する「年金保険」 日本では、会社員は通常、「厚生年金保険」に加入させられ、年金保険料を支払います。また、20歳以上の学生や自営業などの人は「国民年金」に加入しなければなりません。加入者は「被保険者」と呼ばれます。 年金保険に加入し保険料を支払うルールは外国人にも適用されます。技能実習生や特定技能外国人、「技人国」の方々は通常、会社などが厚生年金保険への加入手続を行い、毎月の給料から年金保険料を差し引きます。ただし、会社が保険料の半分を負担します。留学生は自分で国民年金に加入しなければなりませんが、手続きをすれば、卒業まで納付を免除されます。 年金の意味 皆さんは「日本で年金を受け取ることがないのに、年金保険料を支払うことはおかしい」と感じるかもしれません。しかし、日本の年金制度は「現在働いている人が今の高齢者への年金給付を支える」という考え方で運営しています。そのため、日本で働く外国人も、今の高齢者を支える一員として年金保険料を支払うことになります。 そして、外国人も年金保険料を10年以上支払うと、自分が高齢になったときに日本の年金を受け取ることができます。受給額は、自分が支払った年金保険料に応じて変わります。また、望む事態ではありませんが、年金加入者が事故などで障害を負った際は、年齢に関係なく障害年金を毎年受給できる場合もあります。 脱退一時金(返ってくるお金) 外国人が日本の住居を引き払って帰国した場合、それまでに支払った年金保険料の一部を返してもらえます。それは「脱退一時金」という制度です。 次の3つの条件をすべて満たす人が脱退一時金を申請できます。 年金保険の加入期間の合計が6カ月以上 日本国籍を持っていない 年金の受給権を満たしていない 脱退一時金の金額 脱退一時金の金額は次のように計算します。 A(加入していた期間の平均標準報酬額)×B支給率(保険料率×0.5×支給額計算に用いる数)=脱退一時金の金額 ・「標準報酬月額」とは、残業代や諸手当を含む毎月の給料の平均に近い額。年金保険に加入していた期間の「標準報酬月額」の平均がAです。 ・仮にあなたの標準報酬月額が200,000円だとすると、保険料率は15.9%で、毎月の年金保険料は31,800円となります。これを会社とあなたが半分(31,800×0.5=15,900円)ずつ払います。 ・「支給額計算に用いる数」は保険料を納めた月の数に近い数字です。支払い期間が36カ月以上42カ月未満なら36、60カ月以上なら60となります。2021年に上限が60に引き上げられました。 ・そこで、あなたが年金保険料を5年間(60カ月)支払い、その間の標準報酬額の平均が200,000円だったとした場合、上の計算式で計算すると脱退一時金は954,000円となります。 A 200,000×(15.9%×0.5×60)=954,000円 脱退一時金の申請手続き 提出書類など 脱退一時金を請求するには、日本年金機構に次の書類を送ります。 請求書 パスポートのコピー(氏名、生年月日、国籍、署名、在留資格が確認できるページ) 日本での住所がなくなったことを示す書類(住民票の除票の写し、パスポートの出国日を確認できるページのコピーなど) 「銀行名」「支店名」「支店の所在地」「口座番号」 本人の口座名義であることが確認できる書類(銀行の証明) 基礎年金番号が確認できる書類(年金手帳など) [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 脱退一時金(日本語・ベトナム語)|日本年金機構 転出届け ・脱退一時金の申請は、ベトナムに帰国する前でも帰国後でもできます。 ・帰国前に申請する場合は、市区町村に転出届を提出し「住民票の除票の写し」をもらってから申請してください。 ・技能実習2号を修了してベトナムに一時帰国し、その後、技能実習3号や特定技能1号として再来日する予定の人も、一時帰国の前に転出届を出せば、脱退一時金を請求できます。 10年以上加入で年金受給 外国人も日本で10年以上、年金保険料を払えば、将来、日本で年金を受け取ることができます。途中で途切れても合計10年以上ならOKです。ただし、脱退一時金を受け取ってしまうと、それ以前の加入期間はゼロとしてカウントされますので、日本で長く働く可能性のある人は注意してください。
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★基本情報=日本の税金と給与明細
国籍や年齢、在留資格にかかわらず、日本で働く人は皆、「所得税」と「住民税」を納めます。この2つの税金と給与明細の見方について説明します。 所得税について 日本人も外国人も日本で働いて給料をもらう場合は、「所得税」を納めます。 ・所得税は国に納める税金です。 ・所得税の額は所得に税率をかけて計算します。所得が大きいほど税率は高くなります。 ・所得税は毎月の給料から自動的に引かれ、企業が従業員の代わりに国に納めます。 ・所得税は在留資格に関係なく納める義務があります。留学生のアルバイトでも同じです。 給与明細の見方 上の写真はある技能実習生の給与明細です。この写真をもとに、給与明細の見方と所得税について説明します。 A 総支給額 ¥211,802 仕事をしたことに対し、会社から支払われるすべての金額です。「支給額」や「給与」とも呼びます。 B 社会保険の合計額 ¥34,319 次の3つ(社会保険費)の合計です。 ①健康保険(医療保険) ②厚生年金保険 ③雇用保険 C 課税対象額 ¥177,483 「A-B」の額です。 D 所得税 ¥2,340 Cに税率をかけると、所得税の額です。 「社会保険」の費用は会社と本人が分担します。社会保険については次の記事を読んでください。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 医療保険と年金について 「E 差引支給額」の計算方法 A(総支給額)+¥211,802 B(社会保険の合計)-¥34,319 D(所得税)-¥2,340 A-B-Dがこの人の「手取り給料」です。そこから「家賃」¥35,000を引いた額が「差引支給額」として銀行口座に振り込まれます。この会社では、「家賃」の中に寮の家賃と電気・ガス・水道代などが含まれています。 留学生のアルバイトと税金 留学生は「厚生年金保険」や「健康保険」に加入できないので、その費用はアルバイトの給与から引かれません。その代わり、自分で「国民年金」や「国民健康保険」に加入します。また、留学生は基本的に「雇用保険」にも加入できないので、その費用も引かれません。 留学生の所得税の税率は、日本に住んだ年数や給与の額によって異なります。くわしくは次の記事を読んでください。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 留学生のアルバイトと税金 *中国人・韓国人・タイ人などの留学生のアルバイト給与には、通常、所得税がかかりません。これは、それぞれの国と日本との間に結ばれた条約(租税条約)によるものです。しかし、ベトナムと日本との間にはこの条約がありませんので、ベトナム人留学生のアルバイト給与には所得税がかかります。 住民税 住民税とは「市区町村民税」と「都道府県民税」の2つを合わせた税金の名前です。1月1日時点で住所(住民票)のあった市区町村に2つの税金を合わせて納付します。 ・国に納めるのが所得税、自分の居住地に納めるのが住民税。 ・住民税も給与から引かれ、会社などが代わりに地方自治体に納めます。 ・住民税は前年の1~12月の所得に対して課税され、その年の6月から翌年5月まで給料から毎月引かれます。このため、日本で働き始めた外国人は、1年目は給与から所得税だけを引かれ、2年目の6月から所得税と住民税を引かれます。 ・日本に家族がおらず、前年の年収が100万円以下の場合、住民税を課税されません。 消費税 消費税は商品を買ったりサービス(ヘアサロンや映画鑑賞など)を受けたりしたときに支払う税金です。所得税や住民税と違い、所得とは関係ありません。 消費税の税率は10%で、商品やサービスの代金を支払う際に一緒に払います。ただし、飲食品(酒類を除く)を買って持ち帰るときの消費税率は8%です。これを軽減税率と言います。 ハンバーガーショップやコーヒーショップで飲食品を買って店の外で飲食する場合は、軽減税率の8%が適用されますが、店内で飲食するときの税率は10%です。 日本の税金についてもっと知りたい方は次の記事もチェック! [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 外国人のための「生活・就労ガイドブック」(第8章:税金)
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