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銭湯に行ってみました!

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2022年09月26日

特別な場所にある「温泉」も街中にあって日常生活で使われてきた「銭湯」も日本の伝統的な公衆浴場です。昔のように「銭湯でしかお風呂に入れない」という人は今はあまりいませんが、銭湯ファンは今もたくさんいます。この人たちはなぜ今も銭湯に行くのでしょうか?銭湯とはどんなところで、どうやって利用するのでしょうか? 2人の先輩がリポートします。

銭湯とは

大阪市の銭湯「昭和湯」

「銭湯」は街中にある有料の公衆浴場です。昔の日本では風呂やシャワーがない住宅が多かったので、銭湯に通うのが一般的でした。温泉と同じで、銭湯では服を全部脱いで、大勢の人の中でお風呂に入ります。

※「銭湯」と「温泉」の違いは後で説明します。

昔ながらの銭湯

銭湯は「風呂屋」と呼ばれ、昔はたくさんの銭湯があって、たくさんの人が通っていました。しかし、浴室付きの住宅が普及し、銭湯は年々減っていきました。例えば、大阪府では1968年に2358軒あった一般銭湯が2022年には294軒になりました。

それでも、銭湯にはさまざまなメリットがあり、今も健康目的で日常的に通ったり、気分転換のためにたまに利用したりする人たちがいます。私たちは近所の昔ながらの銭湯で取材したので、銭湯の使い方などをリポートします。

リポーター

ドゥック:東京で料理店を経営していたとき、店が終わってから、よく店の近くの銭湯で疲れをいやしました。今は大阪市の阪急・淡路(あわじ)駅の近くで「エガオ・バインミー」というベトナム料理店を経営しています。店の近くに「昭和湯」という銭湯があったので、これから時々使おうと思います。

リン:半年前に引っ越した際、新居にガスが通るまでの数日間、何度か「昭和湯」に通いました。これからも、リラックスしたいときにたまに銭湯を使ってみようと思います。

銭湯に入るには

それでは、銭湯の入り方を紹介します!大阪市東淀川区の「昭和湯」でドゥックとリンが取材しました。

① くつをげた箱に入れる

銭湯では入口で靴を脱いでげた箱(くつ箱)に入れます。左右の壁にげた箱があります。この銭湯では、男湯の入口は右側なので、男性は右側の壁のげた箱を使います。

このげた箱は古いタイプで、木札がカギになっています。げた箱のふたを閉めた後、木札を抜くとカギがかかります。私は初めてこのげた箱を使ったとき、カギのかけ方が分かるまで2分ぐらいかかりました。とても日本らしいカギですね。【リン】

② 「男湯」と「女湯」

男性用の「男湯」と女性用の「女湯」の入り口は別々です。間違えて入ると大変なことになるので、掲示をよく確認してくださいね。「男」と「女」という漢字さえ覚えておけば、間違うことはありませんので、安心してください。

③ お金を払う

男湯の扉を開けたらすぐに受付がありました。銭湯の受付のことを「番台(ばんだい)」と呼びます。番台でお金を払って中に入ります。大阪府の銭湯では、料金は大人490円(税込)、子ども200円(税込)です。これは大阪府が認可した料金なので、どこの銭湯に行っても同じ料金か、まれに少しだけ安い料金になっています。

ただし、「スーパー銭湯」と呼ばれる大きな銭湯では、もっと高い料金です。

「番台」とは?

番台と女湯の間に分厚いカーテン

番台は男湯と女湯の中間に1つだけあります。番台に座っている人はお金の受け渡しをする以外に、銭湯内で具合の悪くなった人や迷惑行為をしている人がいないかなどを管理します。

番台には男性が座ることもありますが、番台と女湯との間に分厚いカーテンがありますので、女性の方も安心してください。昭和湯では、番台以外に女湯の脱衣場に女性職員を1人配置して、女湯の安全管理を担当しています。

いざ、入浴!

昭和湯の脱衣場

① 服を脱ぐ

脱衣場のロッカー

脱衣場にたくさんのロッカーがあります。ここで下着も含めて服を全部脱ぎます。ロッカーにカギがかかりますので、そのカギをゴムバンドで腕に付けて入浴します。貴重品を持っていて心配なときは番台にあずけます。

昭和湯のセキュリティーボックス

番台付近に貴重品用のセキュリティーボックスがある銭湯もあります。昭和湯ではセキュリティーボックスを無料で使えます。番台の前にあるので、とても安心です。

昭和湯の女湯の脱衣場には、100円玉を入れてカギをかけるロッカーもありました。カギを開けると100円が戻ってきます。ロッカーにカギをかけたまま帰宅する人が相次いだため、コイン式に変えたそうです。使いやすい場所にあるロッカーを確保して次回も使ったり、荷物を入れたままにしたりしたのでしょうが、ほかの利用者の迷惑になるのでやめましょう!

② 「素っ裸は恥ずかしい」という場合は?

お風呂に入るときはパンツや水着を着けませんので、全部見えてしまいます。外国人にとっては慣れないことなので、恥ずかしいですね。そんなときは、タオルを体の前にたらしてみてはいかがでしょうか?日本人でもけっこうたくさんの人がこのスタイルで浴場を歩いています。

タオル

体を洗うタオルと体をふくタオル(バスタオル)は自宅から持って行きます。忘れた場合、番台で買うこともできますが、昭和湯の場合、体を洗うタオル(1本だけ)は無料で、バスタオルは50円で貸してくれます。

ところで、日本では、タオルを浴そうの湯につけてはいけません。とても大事なルールなので、注意してください。

初めて昭和湯に行ったとき、バスタオルも普通のタオルも忘れて行きました。番台で「タオルを取りに帰ってもいいですか?」と聞くと、無料でタオルを貸してもらえました。サービスが行き届いているなと感じました。【リン】

③ かけ湯

洗面器は無料で使えます

さあ、それではいよいよお風呂に入りましょう!脱衣場から浴室に入ると、入口付近に洗面器がたくさん置いてあったので、1つ借りました。

かけ湯をしてから浴そうに入りましょう

銭湯の浴そう(湯船)は大きく、手足を伸ばしてゆったり湯につかることができます。これだけでも充実感や開放感が家の風呂とは全然違います。ただし、浴そうに入る前に体にお湯をかけてください。股間や足に何度かお湯をかけて軽く洗ってから浴そうに入るのが銭湯での暗黙のルールです。これを「かけ湯」と言います。

もちろん、先に洗い場で体を洗ってから入っても構いませんが、「まずは湯につかりたい」という人も多いと思います。その場合、みんなが使うお風呂なので、かけ湯をしましょう。

④ 洗い場

洗い場ではいすに座って体を洗います。昭和湯ではシャンプーとボディーウォッシュが置いてありましたが、置いてない銭湯も多いので、自宅から自分で持って行くようにしましょう。

さまざまなお風呂を楽しむ

昭和湯の浴室

銭湯にはさまざまなお風呂があります。昭和湯には、普通のお風呂以外に「気泡風呂」や「寝風呂」、「電気風呂」、「サウナ」などがありました!

普通のお風呂、寝風呂、気泡風呂

昭和湯の浴そう(動画)

寝風呂(動画の中の手前の浴そう)はあお向けに寝転んだ状態でお風呂に入ります。何も考えずに体を休めながら、お湯の温かさと気泡マッサージを楽しんでください。

気泡風呂(動画の中の右奥の浴そう)では、浴そうの底から気泡が吹き出しており、足の裏などに当てると、軽いマッサージになって気持ちいいですよ。

上の動画の後半に出てくる画面左奥の浴そう(気泡風呂のとなり)が普通のお風呂です。それぞれの浴そうの混み具合にもよりますが、普通のお風呂か気泡風呂から入る人が多いです。

アパートのお風呂は小さくて、足を全部伸ばすことができません。しかし、銭湯で湯につかりながら手足を伸ばすと、一日の疲れがいやされます。その中でも、寝風呂では体全体を伸ばしてゆったりできるので、私はこのお風呂が一番好きです。【ドゥック】

サウナ風呂

銭湯には「サウナ」もあります! 高温の室内で汗をかくと、血行がよくなったり疲労が回復したりします。サウナは人気があるため、大きなサウナ施設での混雑をきらって銭湯のサウナを利用する人もいるそうです。

電気風呂

電極板の近くに手を入れると、ビリビリとしびれます。

電極板から湯の中に電流が流れ、筋肉を収縮させ、血流をよくする効果があると言われています。電気風呂に入ると最初はビリビリとした痛みを感じます。慣れていない人は、電極から離れた場所から試してみてください。ただし、心臓病などの人は電気風呂に入らないようにしてください。

ラドン風呂

ラドンという気体を湯の中に溶かし込んだ風呂です。湯気を吸い込んだときにラドンが肺から体内に入りますし、湯につかると皮膚からも体内に入り、中性脂肪やコレステロールなどの代謝を促進する効果があると言われています。

水風呂

水風呂の水温は17度ぐらいですが、お湯から出て水風呂の水を触ると「冷たい」と感じます。しかし、入浴の最後に水風呂に30秒〜1分ぐらいつかると、血流がよくなり、湯冷めもしにくいのだそうです。

お風呂からあがったら

たっぷりお風呂を楽しんだら、脱衣場の入口付近にある水道でタオルを洗ってしぼります。このタオルで軽く体をふいてからロッカーに行き、バスタオルで体をふき直します。

脱衣場には通常、体重計があります。これは無料で使えます。

番台前のドリンクコーナー(有料)

血液がドロドロになるのを防ぐために、入浴の前後に水分をしっかりとってください。家を出る前によく水分を取り、入浴後も何か飲んでください。自宅からペットボトルを持って行ってもいいですし、番台でさまざまな飲み物を買うこともできます。

銭湯の人気の理由とは?

昭和湯の経営者・森川さん

昭和湯を経営する森川晃夫(もりかわ・てるお)さん(47)にインタビューしました。

――根強い銭湯ファンがいるそうですね?

森川 はい、サウナが主目的のお客様やレジャー感覚でリラックスを求めて来られる方もいます。また、年配のお客様の場合は、健康目的の人も多いです。銭湯の風呂にはさまざまな効能がありますし、仮に風呂場で倒れた場合でも、番台の担当者が気付いてケアできます。

森川 冬に暖かいところ(浴室)から寒いところ(寒い部屋や屋外)に急に移ると、血管に悪い影響があってとても危険なのですが、銭湯では、脱衣場で体温を調整できるので、その点でも健康によいです。

――午後早い時間の開店前から並んでいるお客さんもいますね?

森川 はい、おそらくご自分の使いたいロッカーがあったり、この順番で風呂に入りたいという希望をお持ちだったりするのだと思います。開店直後はすいており、銭湯を自由に使えますので。

温泉と銭湯の違いとは?

銀山温泉(山形県)

温泉と銭湯の違いは

・温泉は天然の湯を使い、銭湯はわかした湯を使う。
・温泉はレジャーで行く特別感のある浴場で、宿泊施設を併設していることも多い。一方、銭湯は身近な場所にある公衆浴場。

などのイメージがあります。ただ、天然の湯を使う銭湯もあり、厳密な違いを説明するには少し長い文章が必要です。

まとめ

この記事では、日本の銭湯についてくわしくリポートしました。銭湯でのげた箱の使い方やお金の払い方、入浴前のマナー、さまざまなお風呂の概要など、銭湯を楽しむための基礎知識を紹介しました。

温泉に行くのもステキですが、お金も時間もかかるので、ひんぱんには行けません。もし、通勤経路や家の近くに銭湯があれば、たまに手足を伸ばしてゆったり湯につかり、日々の体の疲れをいやし、それによって気分もリフレッシュしてみてはいかがでしょうか?