文化
目上の人との食事会でのマナー
日本に住むベトナム人の皆さんは学校の先生や先輩、職場の上司など、目上の日本人と一緒に食事に行く機会もたまにあると思います。このように上下関係のある人たちが一緒に食事に行く場合、いくつかの暗黙のルールがあります。その中の重要ポイントを押さえておかないと、相手にがっかりされてしまうこともあります。実際の食事の席ではだれも教えてくれないことが多いので、この記事で日本の食事会でのマナーについて紹介します。
奥に座らない
ベトナム人と交流の多い日本人に聞くと、食事会で日本人の多くの人が心がけているのにベトナム人の多くが気にしていないのは座る位置だそうです。日本では、基本的に「奥」に目上の人やお客さんに座っていただきます。奥の席を「上座(かみざ)」と言います。
店にテーブルがたくさんあって「上座」がどちらかわかりにくい場合は、店の入口から遠い方が「上座」だと思ってください。上の図では個室の入口から遠い①が一番の上座で、②が2番目の上座です。逆に、出入口に近い③④を「下座(しもざ)」と言い、目下の人が座ります。③と④の間では、④が一番下の席です。
例えば、先生や先輩、同級生と4人で食事に行く場合、先生が①、先輩が②、同級生と自分は③④の席に座ります。
床の間のある和室の場合
個室で床の間(かけ軸などが飾られているスペース)がある場合は、入口の位置にかかわらず床の間の前が「上座」になります。上の図では、①が一番の上座で②が2番目の上座です。もし床の間がなければ、この部屋の場合、③が一番の上座、④が2番目の上座になります。
例えば、お客さん、上司、先輩、自分の4人で食事に行く場合、お客さんが①、上司が②、先輩が③、自分が④という席順になります。
円卓の場合
円卓の場合は少し複雑です。入口から最も遠い席が1番の「上座」で、それ以外は番号の順番になります。
テーブルが多い場合
個室での席順は上記の通りですが、広い部屋でテーブルが多い場合は、どこが上座か判断に悩むことと思います。そこで、大まかな基準を図にまとめました。広い部屋では、「入口から遠い」ことや「壁側」が上座の基準です。
目上の人に上座を勧める
目上の人と一緒に外食をする際、個室であれば、なるべく目上の人に先に入ってもらいます。自分が最後に入り、相手が上座に座るのを確認します。しかし、こちらに気をつかって自分が下座に座ろうとする人も多いので、お客様が下座に座ろうとしたら、上座に座るように急いでお願いしてください。これが日本の食事会での一般的なマナーです。
相手がどうしても下座に座ると言う場合は、例外的に下座に座っていただきますが、そのようなケースはなるべく避けましょう。店内で待ち合わせる場合は、先に店に着いて部屋に入り、下座に座って相手を待つとよいでしょう。
取りばしを使う
多くの国では、だれかと食事して料理をシェアする場合、それぞれが自分のはしで食べ物を取ります。しかし、日本では例外があります。
日本人は食事をするとき、自分のはし以外に「取りばし」をよく使います。シェアする料理については、取りばし(みんなで使うはし)で大皿から自分の小皿に取り分け、そのはしを元に戻してから、自分のはしで食べます。外食の際、取りばしがない場合、店員さんにお願いして持ってきてもらいましょう。
そして、目上の人が取りばしで自分の小皿に料理を取り分けてから、自分もその料理を取るようにしましょう。目上の人の分をこちらが代わりに取り分けると、さらにベターです。
お酒のつぎ方
お店でびんビールや日本酒を飲む場合、コップやおちょこ(さかずき)に自分で注ぐ必要があります。その場合のマナーを紹介します。
目上の人に注ぐ場合
・少なくとも1杯目は目下の者から目上の人にビールやお酒をつぐように心がけましょう。その後も、相手のコップやおちょこが空(から)になっていたら、お酒を注ぐようにします。相手が「もういいです」とか「後は自分でやります」と言って断った場合はそこでやめます。
・ビールの場合は、びんのラベルが上になるように右手でびんを持って、左手を添えます。左手は軽く添える程度でいいです。
・日本酒のとっくりなどからおちょこに注ぐ場合もとっくりを両手で持ちます。
目上の人から注いでもらう場合
片手でグラスやおちょこを持ち、もう片方の手(指先)を底に軽く添えて両手で持ちます。和室の場合は正座してグラスやおちょこを持つ人もいます。そして、注いでもらう前と後に「ありがとうございます」とお礼を言います。テーブルにグラスを置いたまま片手を添えて注いでもらうのは失礼なことなので、気をつけましょう。
「いただきます」「ごちそうさまでした」
食べる前に「いただきます」、食べた後に「ごちそうさまでした」と言います。これは言わずと知れた日本の食事の始まりと終わりのあいさつですが、目上の人(上司や先輩など)がお金を多く支払ってくれる場合は、特に大事です。
また、目上の人が食べ始めてから自分も食べるようにしましょう。
会計後にも「ごちそうさまでした」
食事が終わったときに「ごちそうさまでした」と言いますが、会計の際やお店を出た直後に、費用を多く負担してくれた人にもう一度「ごちそうさまでした」と言いましょう。
上司・目上の人に言う場合、「おごってもらったので、ありがとうございました」という意味を表します。
お店の人に「ごちそうさまでした」と言う場合、「料理がおいしかった」「居心地がよかった」「また来店したい」などの感謝の意味を表します。
「ごちそうさまでした」は感謝の気持ちを表す言葉なので、忘れないでくださいね。
まとめ
今回は「上座」と「下座」など飲食店での席順を中心に日本の食事会でのマナーについて紹介しました。また、取りばしを使う習慣やお酒のつぎ方なども紹介しました。このようなマナーを守ることで上下の人間関係が円滑になりますので、この記事で得た知識を実際の食事会でぜひ活用してください。
また、「いただきます」や「ごちそうさまでした」を言うのも忘れないでください。
日本の文化に完全に慣れるのは難しいですが、知ってさえいれば簡単に守れることも多いので、お互いの良好な関係を深めるために、少しずつ実践していきましょう。
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「正座」は日本の伝統的な座り方?
足を折りたたんで座る「正座」。日本の江戸時代(1603~1868年)、武士が将軍に会うときは、正座をすることで将軍への忠誠心を示しました。現代でも、茶道や華道、書道など日本の伝統文化で正座は正式な座り方とされ、日常生活でも、和室で目上の人と会うときは正座が原則です。ただし、日本で正座が広まったのはそれほど昔のことではありません。それでは、正座は日本でいつごろからどうやって広まっていったのでしょうか? この記事は5カ国語の総合メディアJAPOと共同で制作しました。ベトナムでは、JAPOのウェブサイトに毎月15万件のアクセスがあり、雑誌も毎月2万部を配布しています。TV番組もあります。 昔は「立てひざ」や「あぐら」が一般的だった あぐら かつては「立てひざ」や「あぐら」が一般的 正座は日本の奈良時代(710~784年)に中国から伝わったと言われています。しかし、長らく、正座をするのは、神様や仏様に祈るときや高貴な人にひれ伏す場合などに限られていたようです。 江戸時代(1603~1868年)までは、公的な場でも、男性も女性も片方のひざを立てて座る「立てひざ」の座り方が多かったそうです。その後、座禅(ざぜん)の座り方に近い「あぐら」という座り方(上の写真)も広まっていきます。 十二単の着物 平安時代(794~1185年)の女性貴族や宮廷で働く女性たちの姿が当時の絵に描かれていますが、彼女たちの正装は十二単(じゅうにひとえ)という着物でした。この着物は下半身の部分がゆったりし、あぐらで座ることを前提にデザインされていました。また、平安時代の女性が正座を崩した「横座り」でくつろぐ姿も当時の絵で見られます。 武士や茶道での座り方 「あぐら」をかく武士 江戸時代までは、武士も「あぐら」か「立てひざ」、「そんきょ(しゃがむ姿勢)」の座り方で座っていました。正座で座ると、足がしびれますし、立ち上がるのに時間もかかるので、周囲の人から急に襲われた場合に対応できないという事情もありました。 千利休 また、今は茶道をするときは正座が原則ですが、昔は「あぐら」でよかったそうです。最も有名な茶人である千利休(せんのりきゅう、1522~1591年)もあぐらで茶道をしていたことが、当時の絵から分かります。 正座が広まり始めたのは17世紀 将軍が正座を導入 正座が広まっていくきっかけになったのは、江戸時代(1603~1868年)の初期に将軍(しょうぐん:全国の武士のトップ)が各地の大名(だいみょう:各地の武士のトップ)や家臣(かしん:身近な部下)に会う際に、相手に正座を義務付けたことでした。 将軍はKing of Samuraiなので、自分を神格化(しんかくか)したかったのかというと、そうでもないそうです。 相手に正座をさせると、相手が立ち上がって刀で斬(き)りかかるのが難しくなります。そこで、大名や家臣たちが将軍の前で座る際、将軍を攻撃する気持ちがないことや将軍への服従の気持ちを示す作法として正座が導入されたのです。 畳の普及で正座が広まる 将軍が大名や家臣に正座を義務付けたのをきっかけに、正座文化は武家社会で少しずつ広まっていきました。しかし、当時の住居は板間だけだったので、武士といえども、座り方の主流は引き続き立てひざやあぐらだったようです。武士の間で正座がもっと定着するのは、畳が登場した江戸時代中期以降でした。 畳の登場で武士の間に正座文化が定着すると、武士と交流がある商人たちも礼儀を示すために正座をするようになりました。 学校教育でさらに広まる そして、明治時代(1868~1912年)になると、正座は庶民にも広まります。これは、明治時代以降の政府が学校の「修身(しゅうしん)」という道徳教育の科目で、外国文化との違いを強調するために、日本人の正しい座り方として「正座」を教えたからです。「正座」という呼び方もこのときに生まれました。これによって、それまではあぐらでもよかった茶道の座り方も正座に統一されていきました。 同時に、それまではお金持ちの家にしかなかった畳が庶民の家にも普及し、正座をしやすい環境が生まれました。さらに、江戸時代に大流行した脚気(かっけ)という、足の痛みを伴う病気の治療法・予防法が明治時代に確立されました。脚気にかかると足が痛くて正座ができなかったのですが、脚気が激減したことも正座の普及を後押ししました。 正座が必要な場面と座り方 正座が必要な場面 現在、「正座」は茶道や華道、書道、落語、囲碁、将棋など日本文化の様々な場面で使われています。また、和室で目上の人と対面するときには、正座が礼儀正しい座り方ですし、日本で神様や仏様に祈る場合も正座をするのが一般的です。 正座の座り方 ①はじめに、床に両ひざをつきます。 ②お尻を落として、かかとの上に乗せます。 ③足の甲を床にぺたんとつけます。これで正座が完了です。 正座をしたら、両手はひざかももの上に置き、背筋を伸ばします。男性はひざとひざの間を少しだけ(こぶし一つ分)開き、女性はひざを閉じて座ることが多いです。 正座ができないとき 足をけがしている場合や高齢で正座が難しい場合などは、相手に事情を話して足を崩しましょう。 正座のよいところ 脳が活性化 勉強するときや気持ちを引き締めるときに正座をします。正座をして背筋も伸ばすと、脳が活性化され、集中力も高まります。 正座をすると足が短くなる? 「日本人は正座をするため外国人と比べて脚が短い」と考える人がいます。確かに、正座をすると下半身の血流が悪くなるため、脚が成長しにくくなるような気がします。 しかし、現在は、正座と脚の長さには関連性はないと言われています。日本人の脚が昔と比べて長くなったのは、正座をしなくなったためではなく、食生活の変化によるものと考えられています。 まとめ 正座は奈良時代に中国から伝わったと言われていますが、普段の生活の中では広まらず、「立てひざ」や「あぐら」の座り方が一般的でした。 正座が広まり始めたのは、江戸時代(1603~1868年)に将軍が大名や家臣に正座を義務付けてからでした。その後、畳の登場で武士の生活の中でも正座が広まりました。さらに、明治時代(1868~1912年)に畳が庶民にも普及したうえ、政府が学校教育で正座を推進したため、庶民の間でも正座が一気に広まりました。 日本の伝統的な座り方とされる「正座」ですが、世間一般に広まったのはそれほど昔ではなかったのですね。 ところで、あなたは正座ができますか?私は正座が苦手です。足が痛くなりますからね。
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マンガ・読書感想文コンクール
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ベトナムの常識・日本の非常識_35:「はい」は1回だけ
あなたが職場の上司から指示を受けたとき、ベトナムでは「はい、はい、はい」と返事をするのは一般的なことです。また、目上の人には車内で助手席に座ってもらうのが普通です。ところが、日本で同じことをすると……。 「はい」と3回連続で言うのは… 失礼です 上司から仕事の指示を受ける場面を想像してみてください。ベトナムでは、あなたが何か仕事の指示を受けたとき、「はい、はい、はい」または「OK、OK、OK」と答えるでしょう。これはベトナムではごく普通の返事で、指示をしっかり理解したという証しであり、礼儀正しい表現です。 しかし、日本で「はい」を2、3回続けて言うと、相手に良い感情を持たれません。上司やお客さんから指示や依頼、説明などを受けたときは、「はい」と1回だけ答えましょう。相手の顔を見て「はい」と1回だけ言えば、「(あなたの指示や説明を)理解しました」という意味になります。日本で仕事をするときは、このことを覚えておいてください。 話す相手が上司ではなくても、日本で「はい、はい、はい」と答えるのはよくありません。ある日本語の先生が教えてくれたことですが、日本人が「Yes」または「OK」と答えるとき、「はい」は1回だけです。「はい、はい」と答えると、「相手を軽く見ている」「聞き流している」「面倒くさそうにしている」などと誤解されてしまうそうです。「はい、はい、はい」も同じです。 ですから、上司とのやり取りだけではなく、アルバイト先の飲食店でお客さんの注文を受ける場面などでも、注文に対し「はい、はい」や「はい、はい、はい」と答えるのは失礼にあたります。お客さんが気分を損ねて帰ってしまうかもしれませんので、気をつけましょう。 食べるときはおわんを手で持つ ベトナムでは、おわんをテーブルに置いてスプーンで食べるのが一般的です。はしを使う場合も、おわんを置いて食べることについて何も気になりません。しかし、日本の文化では、おわんをテーブルに置いたまま、首を伸ばしておわんに口を近付けてはしやスプーンで食べると、「行儀が悪い」と思われてしまいます。日本では、おわんを片手で軽く持ち上げて口に近付けてから、はしやスプーンで食べる方が良いのです。ただし、大きなお皿については、片手で持ち上げる必要はなく、テーブルに置いたままで大丈夫です。 私は、日本の小学校に通う娘から、給食の時間に「3つのノー」運動があるということを聞くまでこのことを知りませんでした。「3つのノー」とは、①テーブルにこぼさない ②食べ物を残さない ③テーブルの上におわんを置いたまま食べない、の3つです。 日本人には、おわんやお茶わんをテーブルに置いたまま顔を近付けて食べることはペットのような食べ方と映るのかも知れません。さらに、おわんやお茶わんを手に持つことは、お米を作っている農家の人たちへの感謝の気持ちも表しているそうです。お子さんが日本の学校に通っていたり、職場で日本人の同僚と一緒に食事をしたりする場合は、このことに注意してください。 車に乗るとき、目上の人はどの席? 日本では車に乗る時、ベトナムとは異なる座席のマナーがあります。これは多くの国に共通することかもしれません。 ベトナムでは、運転席の隣の席(助手席)は家族や親しい友人のための優先席だと考えられています。例えば、私の家族が車に乗るとき、父はいつも運転する私の隣(助手席)に座り、後部座席には母と妻と子供たちが座ります。この配置の根拠は簡単で、父は家族で最年長なので一番良い席(広々とした視界がある助手席)に座るのです。これはおそらく多くのベトナム人家庭で共通のルールになっていると思われます。 しかし、日本のルールはこれとは違います。卒業式のとき、友人と車で日本語教師を迎えに行きました。私は友人(運転手)の隣(助手席)に座っていましたが、先生の家に到着すると、いったん車から降りて先生に助手席に座ってもらい、私は後部座席に回りました。それが先生への敬意だと考えたからです。 先生は少しとまどったような顔をしていましたが、何も言いませんでした。行事が終わった後、先生から興味深い文化の違いを聞きました。日本では、目上の人やお客さんを後部座席に座らせることが多いそうです。例えば、会社の上司や先輩とあなたがタクシーで移動する場合、上司と先輩に後部座席に座ってもらい、あなたは助手席に座るのがマナーなのだそうです。日本で仕事をする人はこのことにも気を付けてください。
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新入社員向けの基本ビジネスマナー_02
就職活動を終えてこれから日本で働き始める人や働き始めて間もない人は、日本での基本的なビジネスマナーを学びましょう。「電話の受け方」「お茶の出し方」「ホウ・レン・ソウ」について解説した新入社員向けの基本ビジネスマナー_01に続き、この記事では「メールの基本的なマナー」と「敬語の使い方の注意点」を紹介します。 メールの基本的なマナー 留学生の皆さんは大学・学校の先生や職員の方々と電子メールでやりとりをしたことがありますよね? その中には、学校からの連絡事項であって返事をしなくてもよいメールもあります。しかし、仕事関連のメールとなると、社外からのメールであれ社内からであれ、必ず返信する必要があります。これから紹介する5つのことに気をつけましょう。 件名(タイトル)をよく考える メールの件名には内容や重要度を知らせる役割がある メールを受け取る人が最初に見るのが件名(タイトル)です。そのため、送り手はメールの用件がひと目でわかるような件名を書くことが大切です。 「御社訪問の日程について」 「〇〇記念式典の準備会合について」 「御社ビル清掃サービスの契約更新のお願い」 などと書けば、件名を読むだけでメールの内容がだいたいわかります。 忙しい人は大事なメールから読む 1日に何十本ものメールを受け取る人もたくさんいます。そういう人たちにメールを送信する場合、件名は一層重要です。彼らは件名で判断して重要なメールを先に読み、内容がよくわからないメールは後回し(場合によっては数日後)にする場合も多いからです。 社名を入れる メールの件名にあなたの社名や名前を入れると、相手がメールの内容を想像することが一層容易になります。また、後からメールを検索する際にも便利です。 「3日の打ち合わせ資料(森興産、ブイ・リン)」 などと書けば、相手は一目でメールの内容や送り主がわかります。過去のメールを後から探す際にも、件名にメールの内容や送信者の会社名・名前などが入っていると、とても探しやすいです。 24時間以内に返信する 仕事を進めるためにメールで連絡を取り合うことはひんぱんにあります。その際、多くの人はメールを送ってから1日以上返事がないと、不安になります。そこで、メールを受信してからなるべく早く返信する習慣を付けましょう。事情があって遅くなっても、受信から24時間以内に返信するように心がけてください。 ・あなたの返信が早いと、相手はあなたに下記のような好印象を持ちます。 仕事が早い 仕事ができる 信頼できる ・あなたの返信がいつも遅いと、相手はあなたのことを下記のように思いがちです。 この人と一緒に仕事をするのは不安だ 返信が遅いので、仕事が円滑に進まない そもそも、相手はあなたの返信を待って仕事を次のステップに進めることが多いので、返信が遅いと、相手に迷惑をかけることになります。 ところで、ほとんどの会社が土日祝に休業します。もし金曜日にメールを受信した場合は、翌週の月曜日までに返信するとよいでしょう。 急ぎの用件はメールだけに頼らない トラブルやミスが起きたとき、納品スケジュールが押しているとき、予定の緊急調整が必要なときなど、急ぎの用件でメールを送る場合があります。しかし、相手がそのメールをいつ読むかはわかりません。場合によっては、2、3日放置されてしまう恐れもあります。 急ぎの場合は、メールを送るだけではなく、相手に早く確認してもらえるように電話やSNSなどでメールを読んでくれるように催促することも大切です。そして、緊急性が高い場合は、メールを送るより先に電話をかける方がよいでしょう。 早めにお礼メールを送る お客さんはあなたのために時間を作ってくれています。そのため、お客さんと打ち合わせをした後には、なるべく「お礼メール」を送りましょう。 お礼メールの内容は、感謝の気持ちのみならず、打ち合わせた内容のまとめや今後の課題・展望も書きましょう。そうすることで、その後の仕事がスムーズに進みます。 送信前に誤字・脱字や添付ファイルを確認する メールの送信ボタンを押す前に、件名、相手の名前、本文などに誤字・脱字がないか確認しましょう。もし、相手の名前を間違えてしまうと、大変失礼になります。また、本文に重要な誤字・脱字があると、あなたの仕事の信用性にかかわります。 また、添付ファイルの付け忘れや間違ったファイルを送ってしまうこともよくあるミスです。間違ったファイルを添付していないか、送信ボタンを押す前に添付ファイルの内容を必ず確認するようにしましょう。そうすることで添付忘れも防げますね。 敬語の使い方の注意点 しっかりとあいさつをする これから一緒に働く人たちと良い関係を築いていくための最初のステップはあいさつです。 社内でのあいさつの言葉 ・おはようございます。 ・お疲れ様です。 社外でのあいさつの言葉 ・お世話になります。 ・お世話になっております。 こうした言葉を欠かさないようにしましょう。仕事でよく使う言葉については、下記の記事でくわしく紹介していますので、こちらも参考にしてください。 仕事で使う日本語 適切な返事やあいづち 「うん」はNG 日本人の友人と話すとき、「うん」「そうだね」などという返事をよくしていると思います。しかし、お客様や目上の人と話すときに「うん」とか「そうだね」などの言葉を使うのは御法度(ごはっと)です。「うん」や「そうだね」は自分と対等か立場が下の相手にしか使ってはいけません。お客様や上司、先輩にうっかり「うん」とか「そうだね」などと答えてしまうと、大変失礼なことになります。 「はい」は1回 返事をする際に「はい、はい」や「なるほど、なるほど」のように、本来は一度ですむ言葉を2回繰り返して使うと、相手は「適当にあしらわれている」と感じたり、あなたのことを「軽薄な人だ」と思ったりしますので、気をつけてください。 同意を表す表現 ・私もそう思います。 ・私もそのように思います。 ・私もそのように感じておりました。 ・おっしゃる通りです。 ・おっしゃる通りかと存じます。 承諾や同意の言葉 ・承知しました。 ・承知いたしました。 ・かしこまりました。 ・左様(さよう)でございます 。 ビジネスシーンにふさわしい言葉を選び、失礼がないように気をつけましょう。 主語に応じた敬語を選ぶ 敬語の中には、「丁寧(ていねい)語」、「尊敬(そんけい)語」、「謙譲(けんじょう)語」があります。 尊敬語と謙譲語を使い分けるのは外国人には難しいことですが、次の手順を知っておくと、少し簡単になります。まず、「その行為をするのはだれ?」と考えると、主語が分かります。主語を確認した上で、次の原則に当てはめると、敬語の間違いが激減します。 ・主語が相手や他人(主に目上の人)のとき→尊敬語 ・主語が自分や身内のとき→謙譲語 敬語の大事な原則や間違いやすい事例を知りたい方は下記の記事を読んでください。 これでスッキリ!敬語はこうして覚える また、丁寧語の「〜です」「〜ます」は使用頻度(ひんど)が高いので、意識しなくても使えるように普段から使って慣れておきましょう。 まとめ この記事では、新入社員が覚えておくべきビジネスマナーとして「メールの基本的なマナー」と「敬語の使い方の注意点」について説明しました。 【メールの基本的なマナー】 ・件名をよく考える(端的でわかりやすい件名を付ける) ・24時間以内に返信する ・急ぎの用件はメールだけに頼らない ・早めにお礼メールを送る ・送信前に誤字・脱字や添付ファイルを確認する 【敬語の使い方の注意点】 ・しっかりとあいさつをする ・「うん」はNG ・「はい」は1回 ・主語に応じた敬語を選ぶ これから日本で働く皆さんや日本で働き始めて間もない皆さん、この記事と新入社員向けの基本ビジネスマナー_01で紹介したマナーを覚えれば、基本的には大丈夫です。職場や取引先の皆さんから信頼される社員に早くなれるよう、ビジネスマナーにも注意しながらがんばってください。
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