日本語学習
技能実習で日本語力をつける6つのこつ
せっかく日本に住むので、技能実習の3年間で日本語を話せるようになりましょう。日本語ができると、将来の仕事の幅も広がり、収入アップも期待できます。日本語を話せるようになった先輩たちが何をしたのかを紹介します。
〈このページの内容〉
1. ベトナムでN4レベルを目指そう
日本に行く前に送出機関の日本語センターで勉強します。技能実習中に日本語が話せるようになった先輩たちは、日本に行く前から勉強をがんばり、良い成績を取りました。例えば、「みんなの日本語」をセンターでは25課までしか習わないのに、自分で50課まで勉強するなど、努力していました。
日本語をある程度話せるようになってから日本に行くと、職場の日本人と早く親しくなって大事にされやすいですし、会話の機会が増えて日本語がどんどん上達します。
ベトナムにいる間に日本語能力試験(JLPT)・N4レベルを目指し、日本ではN3以上を目標にしましょう。
2. 費用の安い送出機関を選ぼう
送出機関によって費用が大きく違います。なるべく安い費用の送出機関を探し、少ない借金で来日すると、心の負担が減り、日本語の勉強にも力が入ります。
借金が少ないと、日本語学習の教材を買えますし、ボランティア日本語教室に通う交通費も出せます。
また、費用の安い送出機関は良心的な場合が多く、日本の良い組合(監理団体)とつながっていることも多いです。良い組合は日本語学習についてもサポートしてくれるケースがあります。そういう組合に出会える可能性を高めるためにも、良い送出機関を探しましょう。
3. 目標を立てて毎日勉強しよう
夜間や週末はYouTubeやゲームばかりという先輩もいますが、中には、毎晩2時間以上勉強し、週末にはもっと勉強する先輩もいます。
夜間と週末にしっかり勉強して日本語を話せるようになると、将来の仕事の幅が広がり、高い収入も期待できます。
JLPTのN3やN2に合格するなど大きな目標を立てると、毎日勉強を続けていくことができます。
4. 職場で積極的に会話しよう
自分で勉強した日本語を実際の会話で使ってこそ、本当の語学力が身につきます。技能実習生にとって、日本語力(特に聞き取りの力)を高めるための一番の近道は、職場の日本人と積極的に話すことです。
最初は、日本人の言葉が聞き取れなかったり、何かを聞かれても十分に答えられなかったりすることもあるでしょう。しかし、めげずに毎日会話を続ければ、いつかきっと相手の言うことがわかるようになり、あなたの言いたいことも伝わるようになります。
まずは、職場の人に笑顔ではきはきとあいさつする習慣を身につけましょう。「おはようございます」「お疲れさま」「お先に失礼します」などのあいさつは、皆さんが職場の日本人と親しくなるための大切な第一歩です。
5. 空き時間を大切に
技能実習中に日本語を話せるようになった先輩たちは、休憩時間も大事に使っていました。
・自分で作った単語帳やノートを読む
・携帯電話に保存した単語リストを見る
・できるだけ日本人と話す
・寮で勉強してわからなかったことを日本人に聞く
などの工夫をしていました。建設現場では、休憩時間が2時間ある場合もあり、その時間を毎日どう使うかで大きな差ができます。工場や農作業の休憩時間も、日本人と話すチャンスです。
休憩時間や通勤時間(電車通勤の場合)を有効に使いましょう。
6. ボランティア日本語教室
寮や図書館で自分で勉強する以外に、地域のボランティア日本語教室に参加しましょう。また、SkypeやZOOMを利用したオンライン日本語教室もあります。
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留学で日本語力をつける6つのこつ
日本で日本語学校に通うだけでは、あまり日本語を話せるようになりません。多くの先輩や日本語教師への取材をもとに、留学を成功させるための6つのこつをまとめました。 留学成功のための6つのポイント 1.訪日前にできるだけ勉強 2.ベトナムでよい日本語学校を選ぶ 3.少ない借金で訪日 4.アルバイトを選ぶ 5.留学中は勉強中心、稼ぐのは就職後 6.できるだけ日本人と交流 1.訪日前にできるだけ勉強 日本に行くだけで自動的に日本語力が上がるわけではありません。 ①土台:留学前の準備勉強、留学中の自習 ②留学のメリット:質の高い日本語授業、日本語環境 ①「土台」がないと、②「留学メリット」を生かせません。留学前も留学後も自習が大事です。 本格的な準備勉強をしてから日本に行くと、最低限の勉強だけで留学を始める人と比べ、早く高い確率で日本語が話せるようになります。 JLPT・N3に合格してから留学した先輩(ベトナム語+日本語) 2.ベトナムでよい日本語学校を選ぶ ベトナムには高度な日本語教育を行う日本語学校もあります。例を紹介します。 ◆ドンズー日本語学校(ホーチミン) ・寮生活で1年間勉強 ・厳選した日本語学校に留学 ・多くの卒業生が留学3、4年目に大学に進学 ・進学先の多くは国公立大学 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 留学3年目に公立大学合格 ◆ナムディン日本語日本文化学院 ・寮生活で1年半~2年間勉強 ・JLPT・N3レベルになってから留学 ・技能実習を経て留学するパターンもある ・大学から留学を始めるパターンもある [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] N2取得し、最初から大学に留学 ほかにもよい日本語学校や日本語センターはあります。先輩やインターネットから情報を集め、よい学校やセンターを選びましょう。 N3以上の日本語力を付けてから留学すると、効果がぐっと高まります。授業がよくわかるのと、日本人ともたくさん会話できるからです。そうなると、大学や専門学校に入るまでの年数を短縮し、留学費用を大幅に節約できる可能性があります。 3.少ない借金で訪日 留学希望者はベトナムの日本語学校や日本語センター(留学紹介業者)で留学先を紹介してもらい、事前の日本語教育を受けます。学校やセンターによって下記の内容が違います。 ・授業料 ・授業の質と量(期間) ・日本人教師の有無 ・留学あっせん手数料 学校やセンターが紹介者(ブローカー)に謝礼を支払い、留学生が学校やセンターに支払う手数料に上乗せすることもあります。 こうした費用に加え、留学先の学校の1年分の授業料と入学金を先に支払うことが多く、留学生の家族が多額の借金をすることがあります。 借金が多過ぎる場合や利息が高い場合、留学生はアルバイトでお金を稼いで実家に送金しようとします。しかし、働き過ぎると、疲れて勉強ができません。また、制限時間を超えて働いたために、入管から留学の継続を認めてもらえず、退学に追い込まれた先輩もいます。 こうした事態を避けるためにも、留学経験者やインターネットから情報を集め、適正な費用の日本語学校や日本語センターを選びましょう。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 留学生活の費用と収入 4.アルバイトを選ぶ 居酒屋アルバイトの仲間 高い日本語力を身に付けた留学生の多くは、客や同僚の日本人と話す機会が多いアルバイトを経験しています。その場合、仕事をしながら日本語の練習ができますし、学校で習った日本語を実際に使うことができます。 ・居酒屋の接客係(ホール) ・スーパーやコンビニのレジ係 最初はこういう仕事に就けない場合もありますが、しっかり勉強して、早くこのようなアルバイトに移りましょう。 しかし、日本語力があまりに低いと、日本語をまったく話さない仕事にしか採用されません。 ・倉庫での荷物仕分け ・食品工場での弁当の盛り付け こうした仕事には深夜から未明にかけての勤務も多く、眠くて勉強ができません。すると、日本語力が上がらず、いつまでたってもほかの仕事に移れません。 そのような事態を避けるためにも、訪日前の勉強が大切です。 5.留学中は勉強、稼ぐのは就職後 お金を稼ぐのは就職後 実家への仕送りを目的に留学をする人が過去にたくさんいました。しかし、最近は留学生のオーバーワーク(週28時間を超えて働くこと)に対する入管の対応が厳しくなり、このような「出稼ぎ」目的の留学は長く続けられないようになっています。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] アルバイトと入管法_part 2 せっかく留学するなら、将来の目標を立て、その目標に近づくために留学してください。また、アルバイトを控えめにして勉強に力を入れると、次のようなメリットがあります。 ・成績が良いと、奨学金をもらえる可能性がある。 ・成績が良いと、学費を減免してもらえる。 ・高い知識や日本語力を身に付けると、やりがいのある仕事に就ける(収入も長期的に得られる)。 6.できるだけ日本人と交流 日本に行ったら、できるだけ日本人と交流してください。ネイティブスピーカーと話す機会を多く持つことが語学上達の最大のかぎです。 ・学校(専門学校、短大・大学)の同級生 ・学校のサークルの仲間 ・アルバイトの先輩・同僚 ・地域の日本語教室の先生 ベトナム人だけで固まらず、日本人や他国の留学生と日本語で交流する時間をできるだけ多くつくりましょう。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 日本人の友だちを増やし日本語上達
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★基本情報=技能実習のトラブル解決
残業代を払ってもらえない▽有給休暇をもらえない▽失踪して別の仕事をしたい▽解雇されそうだ▽どうしても転職したい▽妊娠した――そのような技能実習のトラブルの解決に必要な知識と相談先を紹介します。 主なトラブルと相談先 技能実習で夢をかなえた先輩もたくさんいますが、技能実習をめぐるさまざまなトラブルも報告されています。多いのは残業代や職場での暴力・暴言、有給休暇、解雇などに関するトラブルです。妊娠に関する悩みも増えています。 行政の相談窓口 残業代を払ってもらえない、暴力や暴言を受ける、などのトラブルがあれば、まずは監理団体(組合)に相談してください。それでも解決しない場合は、外国人技能実習機構(OTIT)にメッセージを送りましょう。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] OTITの母国語相談サイト 万一、通報によって会社や組合から不利益を受けた場合は、もう一度OTITに通報するか民間の支援団体(下記)に相談してください。また、労働基準監督署(労基署)やFRESCといった行政機関にも相談できます。各地に国際交流センターなどが設けている外国人相談窓口もあります。 一度の相談で解決しなくても、あきらめたり失踪したりせず、いくつかの機関や団体に相談してください。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 全国の労基署 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] FRESC 民間の支援機関 民間の支援団体もあります。団体によって対応範囲は異なりますが、労働、雇用、生活、在留資格(ビザ)、再就職、妊娠などさまざまな相談に無料で応じてくれます。 〈支援団体の例〉 外国人実習生SNS相談室 日越ともいき支援会 岐阜一般労働組合 第2外国人支部 在日ベトナム人協会(VAIJ) 在仙台ベトナム人協会(SenTVA) 茨城県ベトナム人協会 これらの団体の相談窓口へは下記リンク先からアクセスできます。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 総まとめ・ベトナム人向け相談窓口 さまざまなトラブルと解決方法 トラブル解決に必要な知識や解決事例を知っておき、被害を防ぎましょう。 失踪して別の仕事をしたい 「受け入れ先の会社に不満(残業代や暴力・暴言など)があるので、失踪して別の仕事をしたい」というケースがよくあります。実習先の会社から無断で逃げ出すことを「失踪」といいます。また、Facebookなどで高賃金の仕事を紹介する投稿があり、失踪を加速させています。 しかし、技能実習生が失踪して別の仕事に就いても、高収入が安定的に続くことはありません。そして、下記のようなたくさんのリスクや不利益があります。 〈失踪による不利益〉 他の仕事をすると不法滞在・不法就労になる。 雇用が不安定で、長期的な収入は元の会社より低くなる。 病気や大けがのときに医療保険が適用されない。 仕事で大けがをしても補償がないことが多い。 不法滞在(犯罪)なので、外を自由に歩けない。 紹介料をだまし取る詐欺も横行している。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 失踪中の不法就労の様子(体験談) [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 失踪、不法就労、そして失職(体験談) 失踪して得なことはありません。失踪する前にOTITや支援団体に相談しましょう。 どうしても転職したい 受け入れ先の会社が残業代を払わない、暴力を振るうなどの法律違反をしている場合は、OTITの支援を受けて会社を変えることができます。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 支援団体とOTITの支援で転職した事例(体験談) 解雇(強制帰国)されそうだ 受け入れ先の会社や組合が気に入らない技能実習生を途中でやめさせ、帰国させようとすることがあります。ひどい場合は、空港まで連れて行かれることもあります。多くの場合、自主的にやめるという趣旨の文章を書かされ、署名を強要されます。 しかし、日本の法律では「やむを得ない事由」がなければ、契約期間の途中で解雇することはできません。支援団体の助けで強制帰国を免れたり転職したりしたケースがいくつもありますので、知っておいてください。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 強制帰国を通告されたケース_01 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 強制帰国を通告されたケース_02 有給休暇をもらえない 自分で交渉して1週間の有給休暇を取得した先輩 技能実習生には有給休暇を取得する権利があります。自分で交渉するか、OTITや支援団体などに相談してください。 パスポートや在留カードを預かる 実習先の会社や組合がパスポートや在留カードなどを預かることがあります。これは法律で禁止されていますので、OTITに連絡してください。対処してくれます。 難民認定申請をすると日本で働ける? 悪質なブローカーが「難民認定申請をして6カ月すると日本で自由に働けるようになる」と持ちかける場合があります。しかし、今では、本当の難民ではない人が難民認定を申請しても許可されず、ベトナムに強制送還されるリスクもあります。技能実習生が日本で難民として認められたケースはありません。 妊娠した 技能実習生が妊娠するケースが増えています。多くの場合、実習を途中で終えて帰国するように言われますが、法律では妊娠を理由に技能実習生を解雇することはできません。生まれた子どもの育児をだれかに手伝ってもらう必要がありますが、しばらく休業してから実習に戻ることも可能です。 支援団体の「NPO法人日越ともいき支援会」は妊婦の支援実績も豊富です。
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ボランティア日本語教室(総まとめ)
日本に来たからと言って自動的に日本語が話せるようになるわけではありません。しかし、エンジニアや技能実習生は仕事をしていますので、日本語を学ぶチャンスがあまりありません。また、留学生も日本語会話の機会が増えるに越したことはありません。これから日本に来る皆さまや日本に住んでまだ数年の皆さまに、KOKOROはボランティア日本語教室の活用をお勧めします。 〈このページの内容〉 1.ボランティア日本語教室とは 2.ボランティア日本語教室の探し方 3.ボランティア日本語教室の探し方(応用編) 4.先輩の体験①:夫婦で先生に助けられ 5.先輩の体験②:先生たちと教室以外でも交流 6.さまざまな先輩の体験談(リンク集) 1.ボランティア日本語教室とは ボランティア日本語教室とは 日本には、国際交流協会やベトナム人グループなどが主催する無料や低額の日本語教室がたくさんあります。こうした教室では、ボランティアか半ボランティアの日本人や先輩ベトナム人が先生となって、外国人や後輩ベトナム人の日本語力アップをサポートしてくれます。 多人数で学ぶ教室ではカリキュラムがあり、定期的に学力テストが行われる場合もあります。ただし、語学学校のようにボキャブラリーや文法を重視するのではなく、コミュニケーションスキルの向上を重視するクラスがほとんどです。 マンツーマンレッスンの教室では、カリキュラムを組まず生徒の提案やニーズに沿ってレッスンを進めるところもあります。日本語学校(有料)の定期試験対策のためにテキストを持ち込み、先生に復習をお願いする留学生もいます。 ボランティア日本語教室のメリット ボランティア日本語教室のメリットは日本語力のアップだけではありません。一緒に学ぶ外国人仲間ができて交流や情報交換が芽生えたり、日本で暮らしていたくための悩みや疑問に先生が相談に乗ってくれたりもします。日本人の相談者ができると、日本で暮らしていくうえで心強いですね。 2.ボランティア日本語教室の探し方 【探し方1】 各都道府県や市で外国人支援や国際交流を担当している部署にたずねる。 【探し方2】 地域の国際化協会や市区町村の国際交流協会にたずねる。 ※通常、国際交流協会などのHPでも日本語教室を紹介しています。 全国の国際化協会や国際交流協会のリスト(日本語) 【探し方3】 例えば次のサイトで全国のボランティア日本語教室を探すことができます。 U-Biq(全国のボランティア日本語教室情報) 【探し方4】 ベトナム人の団体や先輩たちが主催する日本語教室も増えてきています。在仙台ベトナム人協会(SenTVA)は宮城県仙台市で大規模な日本語教室を開いています。茨城県ベトナム人協会も2021年からボランティア日本語教室を始めました。宮崎県では、日本に長く住む先輩ベトナム人有志たちが2020年からボランティア日本語教室を開いています。Facebookなどであなたの地元のベトナム人団体やグループを探してみてください。 3.ボランティア日本語教室の探し方(応用編) 先輩(留学生、女性)の体験 私の場合、来日直後に(東京都の)杉並区役所に行き、住民登録などが済むと、スタッフが日本での暮らし方や地元の生活情報に関する資料を渡してくれました。その中に「杉並区交流協会」が発行した日本語教室のリーフレットがあり、日本語教室(初級~中級)や日本語能力試験(JLPT)対策の教室が紹介されていました。マンツーマンの教室や多人数の教室、子ども連れで学べる教室がありました。費用は、無料のものや10回2000円のものなどがあり、一番高くても1レッスン800円ぐらいでした。 杉並区交流協会(低額の日本語教室) 私はこの教室を利用し、さらに他の教室も探しました。日本語会話をたくさん練習したかったからです。そこで、杉並区の教室の同級生にたずねたり留学先の語学学校に置いてあるパンフレットを集めたりして府中市と武蔵野市(いずれも東京都)の教室を見つけ、その2つにも通いました。私の経験上、教室を直接訪ねて様子を見たり担当者に相談したりするのが自分に合った教室を見つける一番の近道だと思います。 府中国際交流サロン(ボランティア無料日本語支援) 武蔵野市国際交流協会(低額の日本語教室) 4.先輩の体験①:夫婦で先生に助けられ 日本語教室の先生が持ってきてくれた着物 先輩(エンジニア、男性)の体験 群馬県でエンジニアとして働いていた私を追って妻も訪日し、間もなく妊娠しましたが、妻は、最初は日本語が分からず苦労しました。週末は私が一緒ですが、平日は周囲にベトナム人仲間がいませんでした。そんな妻を助けてくださったのはボランティア日本語教室の日本人の先生方でした。 妻は当初、約5㌔離れた教室に自転車で週2回通いました。年配の女性の先生2人は日本語を教えるだけではなく、妻を気遣って通院や買い物にも付き添ってくださいました。そして、妻のおなかが大きくなって教室に通えなくなると、交代でわが家に来て日本語を教え、さまざまなサポートもしてくださいました。私たちは本当に助かり、この先生方を恩人だと思っています。 日本語教室で友だちづくり その後、私は群馬県から神奈川県に転職しました。新しい職場で外国人は私だけでしたが、転居先のボランティア日本語教室で私たちと同じような境遇のベトナム人3家族と出会いました。この仲間たちとは食事会をするなど家族ぐるみで交流し、妻の「ママ友」もできました。 5.先輩の体験②:先生たちと教室以外でも交流 先輩(技能実習生、女性)の体験 私は地元の国際交流協会が主催する無料日本語教室に通っています。私が勤める大阪府の工場にはベトナム人の特定技能外国人や技能実習生が計約10人いますが、女性は私だけです。近所に女性の友人があまりいませんが、日本語教室の先生たちから娘のようにかわいがっていただき、先生のお宅にお邪魔して一緒に料理を作ったり、おしゃべりをしたりしています。私がJLPTのN3に合格したときは、先生2人が焼き肉屋でお祝いをしてくれました(=写真)。 6.さまざまな先輩の体験談(リンク集) 他の先輩たちによるボランティア日本語教室の活用体験談も下記のリンク先で読めます。 ◇留学生の妻(大阪府) まずボランティア日本語教室で学び、有料日本語学校に中級から入学 ◇技能実習生(三重県) スカイプ利用のオンライン無料日本語教室でN2目指して勉強 ◇技能実習生(奈良県) ボランティア日本語教室で会話力を磨き、日本人の恋人と国際結婚 ◇技能実習生(栃木県) 毎週末、ボランティア無料日本語教室で2時間勉強 ◇技能実習生(山梨県) 目先の金より生涯年収 / 私のN1必勝法 ◇技能実習生(静岡県) 国際交流団体で日本語学習や様々な地域活動
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Vol. 11 目先の金より生涯収入 / 私のN1必勝法
今回の先輩 Cường Đỗ Mạnh(ドー・マイン・クオンさん) 1995年生まれ、ハノイ出身2013年 6月 DAN PHUONG高校卒業2013年 9月 ハノイ工業大学入学2014年 6月 送出機関の日本語センター入学2014年 6月 ハノイ工業大学休学2014年 12月 山梨県で技能実習開始2017年 12月 技能実習修了、ベトナムに帰国2018年 1月 送出機関入社2018年 10月 送出機関退社2019年 1月 日本の健康器具販売会社のベトナム法人入社 Mail: domanhcuong271195@gmail.com 実習3年でN1に合格した日本語力が武器 ハノイ市内の小さなオフィスの2階。長い順番待ちの末にやっと27席の一つずつに座った中高年の男女がクオンさんの健康講座に聞き入る。いすには電気健康器具の通電シートがしかれ、30分の講座を聴く間、器具を無料体験できる。肩こりや頭痛など様々な症状に効果があるといい、これが目的で何度も足を運ぶ人が多い。ここは日本の健康器具販売会社のPRセンターで、ハノイに7カ所あるうちの一つだ。講座は4人のスタッフが30分ずつ交代で担当し、1日に14回行う。初回に会員登録し、2回目からは受付に会員カードを出した順に受講できるが、1階待合室はいつも満員で、3時間待ちのこともある。 健康について講義をするクオンさん【2019年10月】 この器具は1台129,000,000ドン(税込・約61万円)と89,000,000ドン(同・約42万円)の2種類。皆が買うわけではないが、来てくれるだけで歓迎するのがクオンさんの方針だ。器具は買わなくても、友人を連れてきてくれる人もいるし、無料体験で健康になってくれればPRにもなる。来場者は居心地がよいのか、2019年4月のオープンから10カ月間で会員は約400人に達した。そのほとんどが口コミで、器具は1カ月に7台から十数台売れる。クオンさんの手取り月給は約16,000,000ドンだが、センターの売り上げに応じてコミッションが加算され、その額が月給の3、4倍になることもしばしばだという。 収入安定で家庭もますます安泰。妻とハノイ市内のフォー店で。【2019年10月】 クオンさんはセンター長で、人材会社のサイトで「N2以上、営業が得意」という条件を見て応募した。技能実習の3年間で日本語能力試験(JLPT)のN1に合格した日本語力がクオンさんの武器だ。 以下に、クオンさん本人による日本での実習体験を紹介する。 日本語センターで先々まで予習 私は大学で溶接を専攻していましたが、ある日、学内で技能実習生の送出機関のポスターを見ました。「日本に行けば毎月15万円(約30,000,000ドン)稼げる」「日本語を身につけ、日本語の先生になれる」と書いてありました。溶接の仕事に興味を感じていなかった私は技能実習生になろうと決心しました。大学を休学して送出機関に入りました。寮から約10㌔離れた実家には毎週1回帰りましたが、勉強に集中するため宿泊せず日帰りでした。 送出機関の日本語センターで使った「みんなの日本語」という教科書は1~25課がN5向け、26~50課がN4向けで、授業で35課まで習いました。しかし、私は自分で50課まで勉強してから日本に行きました。最後は、成績が8クラス計約200人の中で一番でした。先に自習したことを授業で復習する形になり、よく覚えられたのだと思います。 目先の金より将来の収入 私はセンターで約8カ月間勉強して2014年12月に日本に行きました。実習先は、金属ワイヤーを加工して金網などを作る山梨県内の工場でした。ベトナム人男性が10人(3年目は15人)いて、日本人と合わせて100人余り。コイル状のワイヤーをクレーンで直線機という機械にセットし、機械からワイヤーが真っすぐになって出てきたら指定の長さに切断するのが私の仕事でした。 9台の機械を受け持ちましたが、機械からワイヤーが出てくるのを待つ時間が長いので、その間に日本語を勉強しました。また、残業はなるべく入れないよう会社にお願いし、夜の勉強時間を確保しました。最初はたくさん残業したのですが、「技能実習3年分の残業代」と「日本語を身につけた後に何年にもわたって稼げるお金」を比較し、「目先のお金」より「将来の仕事と生活」を選んだのです。 機械から直線になって出てきたワイヤーを切断【2017年】 会社の役員(手前左から2人目)やベトナム人の実習生仲間たち【2016年】 私のN1必勝法〈ツール編〉 私は訪日から1年後の2015年12月に日本語能力試験(JLPT)のN2に不合格(あと1点で合格)でしたが、2016年7月にN3に合格し、2017年12月にN1に合格しました。 JLPTのN1に合格【2017年12月】 ◇参考書、問題集◇ 私は日本語教材にお金を惜しみませんでした。日本に行く前に約1万円(約2,116,000ドン)、訪日後も約19万円(約40,197,000ドン)使いました。日本語力を確実に身につければ、将来回収できると確信していたからです。私が使った教材の中で、ある程度勉強した人には「新完全マスター」シリーズが特にお勧めです。 ・「新完全マスター」シリーズ(出版社:スリーエーネットワーク) お世話になった日本語教材の数々 ◇ヒアリング◇ ヒアリングは「耳から覚える日本語能力試験 語彙トレーニング」に付いていたCDを毎日聴きました。CDの中身をパソコンを使ってアイフォンに保存し、仕事中にイヤホンで聴いたのです。また、インターネットの「SAKURA TV」もよく視聴し、仕事中や休日には、日本人と積極的に会話もしました。 ・「耳から覚える 日本語能力試験」シリーズ(出版社:アルク) ・SAKURA TV ◇単語暗記アプリ◇ 単語は「AnkiMobile」という有料アプリ(アンドロイド携帯からは無料)を使って覚えました。私はヒアリング力と単語力が強かったのですが、単語力はこのアプリの力によるところが大きかったです。 AnkiMobile 私のN1必勝法【生活編】 仕事のない週末は、アパートか山梨県立図書館で勉強しました。図書館はエアコンが効いていて快適ですし、静かで、勉強に最適でした。早めに起きてJR甲府駅構内のベンチで朝8時から勉強し、駅近くの県立図書館が開くとそちらに移りました。お昼は近くの甲府城でお弁当を食べ、その後、国立山梨大学に行きます。ここでボランティアの日本人が無料の日本語教室(毎週日曜日14時~16時)を開いており、いろんな国の人と一緒に勉強しました。 山梨県立図書館 Ⓒ毎日新聞社 同僚の実習生は休日は遅くまで眠るかスマートフォンで遊ぶことが多く、だれも日本語の勉強をしていませんでした。私はあまり遊ばず、「生活費を稼ぎながら日本に留学(自習留学)」という感覚で、できるだけ学習に時間を取りました。勉強に集中するため最初の2年間はFacebookもやめたほどでした。 私の家計簿(1カ月の平均) ※100円=21,156 VND(2020年2月17日現在) 手取り給料(100,000円~155,000円) 手取り給料 85,000円~93,000円※税金、社会保険料、寮費を引いた後の手取り額※このうち寮費は20,000円(2ベッドルームのアパートに3、4人/冷蔵庫・洗濯機・エアコンなど家電は会社が用意) 支出(合計40,000円~50,000円) 光熱費 0円※寮費に込み(水道、電気、ガス) インターネット 1,000円※寮の6、7人でシェア※携帯電話はSIMなし(Wi-Fiのみ使用) 食費・交通費 37,000~60,000円※勉強時間確保のため主に外食中心※図書館への交通費。たまに仲間とレジャー。※教材費は別途 差額(貯金) 平均40,000円 ※貯金を2、3カ月に1回、両親に送金。1回の送金は10万円程度。 ※送出機関に支払うための借金を3年間で返しただけで貯金はゼロ。しかし、帰国後、高収入を継続し、両親にも還元。 寮(会社が実習生のために借りたアパート)。周囲にはモモやブドウの畑がありました。【2017年】 送出機関での仕事 2017年12月に帰国後、父の知人の紹介で大手送出機関に入社しました。資料の翻訳や面接での通訳、営業などが仕事です。営業先は、日本の受入組合や受入会社などで、ハノイから日本に電話して面会約束を取り、出張して技能実習などの求人を回してくれるよう交渉します。合意すれば、先方にベトナムに視察に来てもらい、その際に飲食店やマッサージ、カラオケなどで接待します。しかし、ほどなく仕事内容に疑問を感じるようになり、10カ月で退職しました。仕事をするからには、なるべく世の中の役に立つ仕事をしたいと思っていたのですが、この仕事は違うのではないかと思ったからです。 送出機関でもよいことはありました。例えば、妻と出会えたこと(笑)。【2018年】 日本人の親切 ほとんど仕事と勉強だけの生活でしたが、目標に向かって努力を続けたので充実感がありました。また、職場で楽しい仲間や親切な先輩たち恵まれ、楽しい思い出もたくさんできました。 【日本の「お父さん」「お母さん」】 私たち技能実習生にとても親切にしてくれる三科さんという60歳代の先輩がいて、野菜や果物を私たちの寮によく差し入れてくれました。「ベトナム人には日本の冬の寒さはつらいだろう」と、服や靴下、手袋を買って持ってきてくれたこともあります。私たちは5、6人で月に1、2度、電車に乗って三科さん宅に遊びに行き、ご飯をごちそうになったり、一緒にボーリングに出かけたりしました。私たちは三科さんご夫妻のことを「お父さん」「お母さん」と呼んでいました。山梨大での無料日本語教室を見つけてきてくれたのも三科さんで、最初の日、ご夫婦で車で私を大学に連れて行き、教室が終わるまで外で待っていてくれました。 三科さん宅で日本のお正月をお祝い。実習生仲間6人で訪問。【2016年1月】 三科さんと工場の社員食堂で【2017年秋】 【国際交流イベント】 常務の福岡さんは、地元自治体が主催する年2回の国際交流イベントに私たちをポケットマネーで行かせてくれました。地元の外国人約100人が集まるイベントで、職場の実習仲間約10人でよく参加させていただきました。 【日本人の先輩たち】 日本人の先輩たちと私たち実習生とでバーベキューを楽しんだりスケートに行ったりもしました。こういう時は、先輩たちが費用をほとんど負担してくれました。また、年に2、3回、先輩たちとベトナム人仲間とで飲みに行くこともありました。 職場の十数人で魚釣りの後、釣った魚でバーベキュー【2015年6月】 山梨県の遊園地「富士急ハイランド」でアイススケート。背後に富士山。【2016年】 【寮の仲間】 寮の仲間とは、後輩実習生の歓迎会をしたり、時々花見や近くに観光に行ったりしました。休日の夕方はサッカーをすることもありました。私が図書館から帰るのに合わせて夕方に設定してくれたのです。 職場の仲間たちと桜の花見【2015年4月】 甲府市内の中学校グラウンドで技能実習仲間でサッカー【2017年秋】 仲間の部屋で私(左下)と同期生の送別会【2017年12月】 せっかく行くならよい留学・就労を このように、私の日本滞在は充実した内容でした。日本に行ったからといって、何もせずに自動的に日本語が身につくわけではありません。逆に、しっかり準備してから訪日し、日本でも毎日努力すれば、日本語力や仕事に対する日本的な考え方など大きな財産が身につきます。なるべく少ない借金で日本に行き、日本在留中はお金を稼ぐより能力を磨くことを優先すれば、留学や技能実習が終わってからの仕事のやりがいも収入もまったく違ったものになるでしょう。後輩の皆さまのご検討をお祈りします。
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