新型コロナウイルス感染症は若い人でも重症化するケースはあります。また、退院後も後遺症に苦しむケースがあります。後遺症について、現段階で指摘されている情報をまとめました。
新型コロナウイルス感染症は「若い人は重症化しないので大丈夫」というのは間違いで、若い人も重症化することがあります。確かに、重症化しやすいのは高齢者で、亡くなった人の多くが70歳以上ですが、20代、30代で亡くなった人もいます。
また、後遺症に苦しむ若者も相次いでいます。21歳大学生の後遺症について紹介します(7月21日毎日新聞記事参照)。
経過
▪ 4月1日=38度近い発熱。
▪ 4月3日=熱が40度を超える。
▪ 4月6日=内科クリニックで受診後、PCR検査。翌日、陽性と判明。
▪ 4月12日ごろ=少し食事ができるようになり、ギョーザを食べたところ、「まるで粘土を食べているような感覚」。味覚、嗅覚障害を自覚。
▪ 4月29日=入院。
▪ 4月1日=38度近い発熱。
▪ 4月3日=熱が40度を超える。
▪ 4月6日=内科クリニックで受診後、PCR検査。翌日、陽性と判明。
▪ 4月12日ごろ=少し食事ができるようになり、ギョーザを食べたところ、「まるで粘土を食べているような感覚」。味覚、嗅覚障害を自覚。
▪ 4月29日=入院。
退院後も苦しい生活
▪ 5月9日=退院。この日も37・5度の熱。退院後も同じぐらいの発熱が続く。倦怠感・頭痛・嗅覚障害も継続。買い物にも出かけられず、3日連続で食事ができないときもあった。
▪ 5月14日=再入院。
▪ 5月20日=退院。退院後は実家に戻り、家族のサポートを受けて生活。発症前と比べて体重は11㌔減。退院後も37度台の発熱や倦怠感、頭痛、湿疹などの症状は継続。試験勉強などができないため、大学を休学。
新型コロナは「少し重いインフルエンザ」にたとえられ、「一部の人に肺炎を起こす病気」などと当初は説明されましたが、その後、患者によってさまざまな症状が出ることが分かってきました。下痢や腹痛、吐き気、嘔吐(おうと)、頭痛、鼻水、目が赤くなる、などの症状が出ます。味覚や嗅覚の喪失や食欲減退、筋肉痛、発疹などの症状もあります。重い症状としては腎臓機能低下や錯乱などもあります。
退院後2カ月で9割弱の患者に症状
米国医師会雑誌「JAMA」2020年7月9日号に「新型コロナにかかった後に長引く症状(Persistent Symptoms in Patients After Acute COVID-19)」という論文が掲載されました。2020年4月~5月に、イタリアで新型コロナから回復して退院した143人(平均56.5歳)を、外来診療で観察した結果をまとめたものです。
論文によると、元患者の87.4%が退院から約2カ月後でも何らかの症状を持っていました。無症状は18人(12.6%)だけで、32%に一つか二つの症状が、55%に三つ以上の症状が認められました。症状の内容は倦怠感53.1%、呼吸苦43.4%、関節痛27.3%、胸痛21.7%でした。
また、2002年に香港で流行したSARSにかかった人の約4割で、発症から3年以上たっても「慢性疲労症候群」が続きました。検査では異常がないのに、深刻な疲労感が持続する病気です。
また、2002年に香港で流行したSARSにかかった人の約4割で、発症から3年以上たっても「慢性疲労症候群」が続きました。検査では異常がないのに、深刻な疲労感が持続する病気です。
新型コロナの後遺症の原因として指摘(推定)されている現象を紹介します。
▪ ウイルスで血管が炎症
肺の細胞から血液中に侵入したウイルスは全身を巡り、各部の血管に悪影響を与えます。血管が炎症を起こし、はれた状態になります。すると、その血管が通じている臓器に血液が十分に届かず、酸素や栄養分が足りなくなって臓器の機能が低下します。
▪ 血栓
新型コロナに感染するとさまざまな皮膚症状が出ます。その原因の一つは血栓(血のかたまり)です。大きな血栓は脳こうそくや心筋こうそくを引き起こす可能性があり、小さな血栓でも、細い血管に詰まるとその先に血が流れなくなり、臓器にダメージを与えたり皮膚に湿疹が出たりします。