皆さんは日本での就職活動(就活)のスケジュールをご存知でしょうか? 留学先の学校で「就職活動は4月から始まります」と説明を受ける場合がありますが、就活が4月に正式に始まってから動き始めても遅いです。それでは、なぜ「遅い」のかをこの記事で説明しましょう。
まず、一般的な就活の流れを紹介します。
●3月〜5月:会社説明会
求職者に会社のことをより詳しく知ってもらうために開催します。1社の単独説明会と複数の会社が合同で行う合同説明会があります。
●6月〜9月:面接、内々定
履歴書やエントリーシートなどの書類審査で合格すると会社から連絡があり、学生が会社を訪問して面接を受けます。9月までに内々定が出て、内定式(多くは10月)で正式内定となるケースが一般的です。
(最近は新型コロナの影響によってオンライン面接もかなり増えています)
●12月〜入社:入社手続き
※留学生の皆さん、この流れを知った上で、今あなたは何をしなければならないでしょうか? 順番に説明していきます。
ジョブフェア(合同説明会の一種)の様子
俯瞰逆算(ふかんぎゃくさん)とは「目的地を明確に定め、そのゴールから逆算して計画を立てること」です。就活では特にこれが重要です。それでは、留学生の就活を一緒に俯瞰逆算してみましょう。
【1】まず、ゴールを先に決めます。
卒業後のあなたのゴールは何ですか? 次の2つの中から選びましょう。
①日本で就職 ②母国へ帰国
もし、あなたの選択が①であれば、以下の内容を続けて読んでください!
【2】10月〜3月(卒業直前)
3月に卒業しますが、その直前の1〜2月は在留資格の変更を申請する時期になります。申請するためには、もちろん「内定」が必要です! 正式な内定は基本には10月ごろに発表されます。遅くとも12月までに内定をもらわないと、在留資格変更の申請に遅れます。
【3】3月(卒業1年前)〜9月
・3月〜5月:会社説明会+エントリーシート
会社説明会に参加しながら、入りたい会社にエントリーシートや履歴書を送ります。会社はこれらの書類をもとに書類選考を行います。
・6月〜9月:面接
書類選考に合格したら、会社から呼び出されて面接を受けることができます。面接の回数は会社によって違いますが、 2、3回の場合が多いです。例えば次のようなパターンがあります。これより早い時期に面接が行われる場合もたくさんあります。
1回目:人事部の担当者 2回目:部署の担当者 3回目:社長
こうして見てみると、内定をもらうまでそんなに時間はかからないと思う人がいるかも知れません。しかし、そんなことはありません!
例えば、このようなケースがあります。
✔︎ 4月1日にチャンさんはA社の会社説明会に参加しました。
✔︎ 参加後、書類選考に応募するためエントリーシートや履歴書を会社に送りました。書類選考には通常1〜2週間かかるので、その間はじっと待ちました。
✔︎ 2週間後の4月15日、やっと結果が発表されました。残念ですが、落選・・・。そこで、次の会社の説明会に参加し、エントリーシートや履歴書をまた送りました。
このような流れを繰り返していくと、1カ月に多くても2社にしか応募できません。どこからも内定をもらえずにこの流れを続けた場合、4月~9月の半年間で12社にしか応募できません。12社のどこかから必ず内定をもらえるという自信はありますか?日本人の学生の多くは何十社にも応募します。留学生ももっとたくさんの企業に応募しましょう。
また、書類選考や面接に合格するには、応募する会社のことを十分に理解しておかなければなりません。それにはネット上の情報を調べることはもちろん、先輩訪問も有効です。また、自分の長所や経験によってその会社でどのような貢献ができるかという自己分析をしたうえで、エントリーシートや履歴書を書いたり面接を受けたりしなければなりません。きちんと準備するには何カ月間もかかります。
このように、4月に就活が正式に始まるまでに長期間の準備が必要です。就活の事前準備についてさらに説明します。
①日本語能力向上
「日本語能力試験(JLPT)」で高いランクを取得すると就活でも有利ですが、日本語検定には「BJTビジネス日本語能力テスト」という試験もあります。ビジネスでの日本語会話力を測るテストで、受けたその日にスコアが分かります。JLPTだけではくBJTのスコアも持っておくと、就職に一層有利です。
日本語能力試験(JLPT)
BJTビジネス日本語能力テスト
②インターンシップに参加
大学生の場合、インターンシップは3年生の夏から始まります。大学の「キャリアセンター」など就職を支援するセクションに行くと、インターン先を紹介してもらえます。
自己分析を進める上でも仕事の研究をする上でもインターンは重要です。実際にその仕事をしてみることで、その仕事が自分に向いているかどうか、自分にはどのような長所や課題があるのか、会社を選ぶ際には何に着目したらよいかなど、さまざまなことが見えてきます。
✔︎ 仕事内容を具体的に理解できる ✔︎ 自分の長所や課題が分かる ✔︎ 仕事に必要な知識・能力・スキルがわかる ✔︎ エントリーシートや面接でPRするための経験にもなる ✔︎ さまざまな助言をもらえる ✔︎ 会社を見る目が養われる
③職種や企業の研究、求人探し
インターンも経験しながら自分(興味や長所など)を分析し、ウェブサイトや先輩訪問などで業界や会社の研究もします。すると、自分がどんな業界や会社で働きたいのかが決まってきます。そこで、今度は会社(求人情報)を探します。求人情報を紹介している代表的なサイトと使い方を紹介します。
マイナビ(学生のための就職情報サイト)
日本の大きな求人サイトの一つで、外国人向けの求人情報も載っています
まず、会員登録
会員登録をする際に「無料の外国人留学生のための情報提供を希望する」にチェックを入れると、留学生向けのイベントや特集に関する情報がメール等で通知されます。
次に、求人検索
条件を入力して「 検索」をクリックすると、求人情報が出てきます。このサイトを通じてエントリーシートや履歴書を企業に提出したり、会社説明会に申し込んだりすることができます。会社概要や採用情報、会社説明会の情報、特集記事、先輩のリポートなどを読むこともできます。
エントリーシートや履歴書はマイナビにもサポート・ツールがありますが、多数の留学生の就活に寄り添ってきたWA.SA.Bi.(外国人のための支援サイト:多言語) も親切です。サイトやWA.SA.Bi. VN(ベトナム語のFacebookページ)から求人情報が得られるほか、就活に関する個人的な質問や悩みにベトナム人スタッフたちが対応します。相談はWA.SA.Bi.のLINEアカウントを通じて受け付けます。
LINEアカウントのQRコード
履歴書作成サポート
WA.SA.Bi.サイトで会員登録をしたら、「MyPage」から履歴書作成ツールを利用することができます。
求人情報
「JobHunting」のページでは、求人情報が頻繁に更新されます。ここではベトナム語でも求人情報を読むことができます。
個人サポート
WA.SA.Bi. は様々な就活サポートを行っています。Facebookで就活の基礎知識を配信したり、希望者に対して模擬面接や面接練習を行ったりもしています。
元留学生や現役留学生のスタッフがたくさんいるWA.SA.Bi. チーム。様々な外国人が日本でより安定した生活を送るためのサポートがWA.SA.Bi. の役割です。
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