留学・就活

履歴書の文例と解説:パート1

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2021年04月27日

 【Collaboration blog】

皆さん、こんにちは!

前回のブログ「履歴書を書く前に知っておこう!」では、履歴書記入時の基本コンセプト、履歴書とエントリーシートの違いなど、履歴書を書く前に知っておくべき点について紹介しました。今回は、先輩留学生たちが履歴書に書いた文章をもとに具体的な書き方を考えていきましょう。

日本の履歴書は諸外国の履歴書とフォーマットが異なります。前回ブログで日本の履歴書の基礎知識を説明していますので、まだ読んでいない方は先にお読みください。

履歴書を書く前に知っておこう!

Story(物語)を作成する

皆さんは学校などで「作文の授業」を受けたことがありますね? その際に「story」つまり話の流れを意識して書くように教わったと思います。就活の履歴書では日本語でstory(文章の流れ、構成、物語)を伝えなければなりません。

履歴書に書く文章は皆さんの自己PRですが、そのPR内容は企業の採用担当者に「伝わる」物語でなければなりません。留学生が履歴書に書く文章には、説明不十分でstoryのない短文がしばしば見受けられます。そのような文章では採用担当者にあなたの長所が伝わらず、次の選考(筆記試験や面接)に進むことができません。

それでは、採用担当者に「伝わる」story(物語)とはどのようなものでしょうか?

今回は大きな論点として次の2点にフォーカスして説明します。

✔︎ 結論とその理由を明確にした文章構成
✔︎ 5W1Hを意識する

結論とその理由を明確に

結論とその理由を明確にした文章構成

採用担当者に「伝わる」文章にするためには、「結論」を明確にしたうえで、「その結論に至った理由」を書きます。

採用担当者は数多くの履歴書を読んで、だれを次の面接に進めるべきか選んでいます。その中で採用担当者の「目に止まる」ためには、何を伝えたいのか、結論が分かりやすい文章であることが重要です。その「結論」を読んで採用担当者が興味を持てば、次に知りたいことは「理由」です。結論に至った経緯や理由が分かりやすく具体的に記されていることで、相手にあなたのPRポイントが印象的に伝わります。

5W1Hを意識する

次に、「理由」の部分を書く際に意識すべきことは5W1H(Who, What, Where, Why, When and How)です。この6項目を意識しながら書けば、分かりやすい文章になります。

☑️ Who(誰が)
☑️ What(何を)
☑️ When(いつ)
☑️ Where(どこで)
☑️ Why(なぜ)
☑️ How(どうやって)

社会人になってから職場で報告書(ビジネスレポート)や企画書を書く際にも5W1Hは大切です。履歴書で相手に伝わりやすい文章を書くと、採用担当者が読んだ際にあなたのPRポイントを適切に把握できるとともに、「報告書をきちんと書く能力があり、入社後の仕事に役立つ」という印象を与えることができます。

また、具体的な方法や数字などを盛り込むことも大切です。履歴書で「がんばった」「努力した」など抽象的な表現を多く見ますが、「何をどうがんばって、どういう結果になったのか」が分からないケースが大半です。説明文に「具体的な方法」や「数字・数値」などを用いることで「努力した」内容が具体的に分かります。

■手書きかタイピングか

WA.SA.Bi.の個別相談で留学生から「履歴書は手書きしなければダメですか?」「パソコンでタイピングしたものでも良いですか?」と聞かれることがよくあります。

今はどちらの方法でも応募できることが多く、WordファイルをPDFに変換し、Eメールで送付することもよくあります。ただ、手書きでも応募できる場合は、外国人が一生懸命書いた履歴書を採用担当者が読めば、印象に残る場合もあります。上手な字ではなくても「丁寧な字」を書くことで良い印象を残すことができるかも知れません。

もちろん、手書きよりもタイピングされた美しい履歴書を好んだり、記載内容だけを重視する採用担当者もいますので、会社の雰囲気やその会社で働く先輩の助言なども参考にしてください。

それでは、日本で就活をした先輩留学生たちが履歴書に記載した具体的な文例を見ていきましょう。今回は「学生時代に勉強以外に力を注いだこと」の記入例です。

※誤字・脱字は修正し、実名は伏せています。

文例①:学生時代に勉強以外に力を注いだこと

ケース①:アルバイトについて

=ベトナム人、専門学校生、日本語能力試験(JLPT)N1

原文:『私はスーパーでレジを担当しています。最初入ったばかりの頃はミスが多かったです。 次の日から出勤前にマニュアルを読んで、レジ操作を思い出しながら脳トレをしたり、何回も読むことで自分ですぐに対応できるように心掛けていました。一日の終わりには、今日の自分が良かったこと、失敗したことを全部思い出して反省すると同時に改善策を冷静に考えました。同じ失敗を繰り返さないように自分の日記に書いておくことにしました。できないことはないです。それをできるようにするには努力が大切だということが分かりました。』

→→この事例では、結論が初めに書かれておらず、「失敗をくり返さないためには努力が大切」という結論が分かるまでに時間がかかります。先に結論を書き、その結論を考えるに至ったプロセスを説明する方が、PRポイントが分かりやすく適切に伝わります。

そこで、この文章を添削して新しい例文を作りました。

修正例:『私はアルバイト経験を通じ、失敗を記録して次の改善に生かすという姿勢を身につけました。私は大学1年の夏から3年間、スーパーでレジ担当のアルバイトをしましたが、当初はマニュアルでは対応できないことがたくさんありました。例えば、レジを打ち終わった直後にお客様から一部返品を依頼され、レジをどのように打ち直したらよいか分かりませんでした。そのようなときは指導役の人を呼んで対応し、お待たせしたことをお客様に謝りましたが、次回からは自分で対応できるように、必ずその日のうちにメモしました。それ以外にも、アルバイトでの失敗や成功、対処方法を毎日、ノートに記録し続けました。これにより、数カ月後には、失敗や分からないことがなくなるとともに、「継続する」という習慣も身に着けることができました。ノートの内容は後輩にも伝え、一部は最近のマニュアルにも反映して頂いております。』

→→結論を最初に書くことで、読んだ人があなたのPRポイントを理解しやすくなりました。また、当初の失敗の内容を一部具体的に書くことでStoryが伝わりやすくなるとともに、「表現や報告のスキルが高い」という印象を与えることにもなりました。

文例②:学生時代に勉強以外に力を注いだこと

ケース②:アルバイトについて

=ベトナム人、大学生、JLPT N1

原文:『学業以外で最も力を入れたのはアルバイトです。1年生から株式会社◯◯でアルバイトとしてベトナム人の実習生の日本語教室を担当させて頂きました。実習生は全員で20人でしたが、教室に参加する人は2~5人と少なかったです。 私は出席率を上げるために計画を立て全員と話し合い、改善点や意見をまとめて会社の責任者に相談しました。それによって 、開催時間を変えたり出席率が90%以上の人にギフト券をあげたりしたことで参加者は10人まで増えました。私はこの経験から、自分で考え取り組むことが仕事の成果を左右することを学びました。』

【改善点】

この事例でも、結論を先に書いてから理由を展開すると、もっと分かりやすくなります。

例えば、『学業以外で最も力を入れたのはアルバイトです。私は大学1年から続けてきたアルバイトを通じて、自らの提案と行動によって仕事の成果を左右できるということを学びました。』というふうに、自分自身が成長した内容を最初に記載します。

採用担当者は、入社した場合にその学生がどのような活躍をするかを知りたがっています。この前文を読めば、この生徒が「提案する力」や「行動する力」を持っている(かもしれない)という印象を受けます。

【良い点】

①この例文(原文)では、「技能実習生を相手とした日本語教室」というアルバイト内容を紹介しています。これは「外国人特有の業務」や「語学力の高さ」を示し、採用後の仕事に直結する経験として採用担当者に興味を持たせるポイントとなっています。

②「参加率が低い状況を改善するための取り組みを提案したこと」「それを実行したこと」「結果につながったこと」を延べ、提案力と行動力が伝わります。

③改善への取り組み内容も簡潔で具体的に書かれ、その取り組みがもたらした結果(2~5人しかいなかった参加者が10人に増えた)も数字を使って具体的に描かれています。全体的に具体性があって分かりやすく、この人が入社後に活躍するイメージを採用担当者が思い描くことにつながります。

履歴書作成支援ツール

WA.SA.Bi.の履歴書作成ツール

履歴書作成を支援するウェブサイトもいくつかあります。WA.SA.Bi.でも、HPから履歴書作成ツールを利用できるほか、外国人スタッフが履歴書作成や面接などの指導も行っています(対面またはオンライン)。

WA.SA.Bi.履歴書作成サポート

WA.SA.Bi.サイトで会員登録をしたら、「MyPage」から履歴書作成ツールを利用することができます。

求人情報

JobHunting」のページでは、求人情報が頻繁に更新されます。ここではベトナム語でも求人情報を読むことができます。

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