「飲食店で紙でおはしをきれいにふく」「友人の携帯電話を借りてゲームする」。ベトナムではよくある行いですが、日本ではある理由で歓迎されません。また、日本人はベトナム人と比べて親にあまり電話をしません。どういうことなのでしょうか?
ベトナムではレストランの紙ナプキンやおしぼりで食前にはしをふいたり、割りばしを割ったときに木片を取り除くためにはしをこすり合わせるのはごく普通のことです。無意識の習慣と言ってもよいでしょう。しかし、この習慣は日本ではポピュラーではありません。それどころか、はしをキレイにしようという行為がレストラン側から不愉快に思われてしまう場合もあります。
これは私が2013年に体験した実際の話です。友人と2人で京都のラーメン店に行きました。注文した後、店主がお茶を運んできてくれました。当時ベトナムでは香港映画がとても流行していて、それらの映画に登場するお茶には主に二つの用途がありました。一つはもちろん飲むこと。そしてもう一つは「はしを浸して洗う」という用途でした。はしを浸した後は紙でふき取ります。ベトナムでは、通常、お茶を飲むには注文してお金を払わねばならず、無料で出てきた場合、そのお茶ははしを洗うためによく使われていますね。
私たちは香港映画に出てくるシーンのように、はしをお茶に浸し、店主に紙ナプキンを持ってきてくれるようにお願いしました。すると、それまでにこにこしていた店主の顔がみるみるくもり、ご機嫌斜めになってしまいました。しばらくして店主が私たちの前に戻ってきて、ぎこちない英語で「はしはしっかり洗っていますので、そのように洗う必要はありません」と話したのです。
日本で飲食店を営業するには厳しい衛生基準を満たさなければならないことを、私はそのとき初めて知りました。衛生管理の厳しい店では、食器洗浄の際に洗剤だけでなく熱湯や熱風で殺菌するなどして清潔さを保ちます。したがって、出されたはしをお茶で洗うという行動は、店主に「はしが汚れているぞ」とクレームをつけるようなものなのです。彼らのプライドは傷つきますし、それを見た他の客にもよいイメージを与えません。
訪日した際は、日本の飲食店の衛生管理を信用してくださいね。
実家から遠く離れて大学に進学したり職場に赴任したりすることは、日本でもベトナムでも一般的です。しかし、親と離れてから後のある事柄について、日本人とベトナム人とで大きな文化の違いがあります。
ベトナム人は実家の様子を知るために学生でも社会人でも親にひんぱんに電話をかけます。日本で技能実習をしている私の知人のベトナム人女性たちもほぼ毎日、実家のお母さんに電話をかけて1時間近く話すそうですが、これはごく普通のことです。
しかし、このようなベトナム人の習慣を日本人に話すと、皆さんが驚きます。日本人は実家の両親にあまり電話をしないからです。
日本人の多くは、仕事が忙しいからということもありますが、ベトナム人のようにひんぱんに実家に電話をすることはありません。このため、子どものことが心配で親から子どもに電話することがあります。しかし、特に若い日本人男性は親からの電話にゆっくり対応しないことも多く、親もあきらめてあまり電話しなくなる傾向があります。
そのような親の寂しい気持ちをなぐさめるために「便りがないのは良い便り」という言葉が昔から使われています。「何か困ったことがあれば連絡してくるはずだから、手紙や電話がないことは無事に過ごしている証拠だ」という意味です。
2020年に私が富士山に近い山梨県でホームステイをしたときのことです。ステイ先の家主(女性)には、約800㌔離れた福岡県で働いている息子さんがいるのですが、彼女いわく「あの子が最後に電話をかけてきたのはいつだったか……、大みそかかだったか正月だったか……。それも、『元気だよ』とか『忙しい』とか、そんなことしか言ってなかったわ」とのことでした。
日本ではこのような親子関係が成り立っていて、日本文化の一つなのです。両親にあまり電話をしないからといって、「日本人は家族愛が希薄なの?」と思わないでくださいね。
ただ、日本では高齢化が進み、年老いた親を案じて子どもが電話をするケースも増えてきました。子どもが普段電話をしないと、お年寄りが、子どもになりすました犯罪者からかかってきた電話を信じて子どもを助けるためにお金を振り込む「オレオレ詐欺」の被害に合うことがあります。こうした被害を防ぐため、「日ごろから親に電話をしようと」いう呼びかけが各所で行われています。
ベトナムでは、友人や同僚の携帯電話を借りて写真を撮ったりゲームをしたりすることはまったく普通のことです。 しかし、日本で同じことをすると、あなたは相手の拒絶反応に出くわすかもしれません。
日本人にとって携帯電話はプライバシーそのものであり、他人に見せたくない個人情報が多く保存されている可能性があります。あなたが他人の携帯電話を手にした場合、その中のフォトアルバムや電話帳を見たりするつもりがなくても、持ち主の日本人は「見られたくないものを見られるかも知れない」と不安で仕方なくなります。
このため、日本人は他人に携帯電話を貸してほしいと頼むことはめったにありません。日本に住んでいると、日本人には「たとえ家族であっても他人の携帯電話を見ない」さらには「触らない」という暗黙のルールがあることが分かってきます。外国人とルームシェアをしている知り合いの日本人男性は携帯電話をバスルームにまで持っていくほどなのです。
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日本人の働き方を見て「なぜそこまでするの?」と思ったことはありませんか。ベトナムにはない日本の企業文化を紹介します。
日本のコンビニには、店内で飲食できる店とそうでない店がありますので、注意しましょう。また、デパートやスーパーにぬれたままの傘を持ち込んではいけません。それと、酔った勢いで上半身裸でビデオ電話をかけるのは日本ではNGです。
日本ではカフェで勝手にスマホを充電をしてはいけません。道路は左右の安全を確認して渡りましょう。勝手にお店の服を試着してもいけません。
部屋着で出かける、エレベーターで中の人が降りる前に乗り込む、自転車の2人乗り、個人情報を根掘り葉掘りたずねるなど…ベトナムでは許容されますが、日本では非常識だったりするのです。