日越の文化の違いシリーズ第20弾。①日本人の目を見つめて話すと、あまりよい意味にとられないって本当? ②日本人の老後の「楽しみ方」にびっくり! ③日本の社会人の昼休みは「一人ランチ」も普通の光景?――今回はこうした話題を紹介します。
西洋文化が勢いよく流れ込んでいるベトナムでは、アイコンタクトは一種のコミュニケーションスキルとして広まっています。多くの研究でもアイコンタクトは意思疎通の手段として効果が認められていますし、特に若者の場合は、会話中に相手の顔や目をじっと見ることが相手への親愛の情を示す自己表現の一つになっています。
ベトナムで相手をじっと見つめたところで、「そんなに見つめないでよ。わざとらしいわね」と言われる程度で、“変な意味”にとられることはありません。しかし、日本で会話中に長いアイコンタクトをすると、“変な意味”にとられてしまう可能性があります。
日本人は相手を真っすぐ見つめて話すことが苦手
日本には「相手の顔を長く見つめると失礼にあたる」という文化(感性)があります。もちろん、日本人も相手の顔を見て話すのですが、目だけをじっと見続けることは少なく、「ネクタイの結び目」や「額の真ん中あたり」などに目線を置くことが多いのです。そして、あまり長く目を見つめると、「攻撃的」と感じられてしまうケースもあります。
さらに、男性が見つめる対象が女性の場合はより深刻なことになる可能性もあります。実際には恋愛感情がなくても、じっと見つめて話すと、相手の女性に気があると受け取られてしまい、不快に思われることがあります。こうなると、まさしく“変な意味”になってしまいます。
このような精神文化が根付いているため、日本人は相手の目を長く見ることも見られることも苦手です。しかし、グローバル化に伴って、最近では就職活動などの際に「相手の目を見て話しなさい」などと教育されることもあります。文部科学省も小学校・国語の学習指導要領に「相手を見て話したり聞いたりする」という目標を盛り込みました。せめて相手の顔を見て話しましょう、という指導のようです。
日本人の高齢者は働くことを楽しむ
ベトナムでは多くの高齢者が「老後は楽しみの時期」であると捉えています。 家族を養うために長年、仕事に励んだ後、子供が仕事に就いたら、多くの人は「老後はリラックスして楽しみ、子や孫たちとの時間で満たされたい」と思う傾向があります。
このようなベトナムの老後観を普通だと思っていると、日本人の老後の「楽しみ方」かを知ってあなたは目を丸くすることでしょう。彼らはなんと……老後にも働くのです。
総務省の調査によると65歳以上の労働力人口は年々増加しています。2020年は924万人で、15歳以上の労働力人口の13%以上を占めています。継続雇用制度がスタートする前年の2013年が637万人ですから、7年間で300万人近く増えました。
例えば、多くのスーパーで、トイレ掃除、買い物かごやカートの整理、駐車場の交通整理などをお年寄りが担当しています。また、日本の主要駅には大きな有料の自転車置き場がありますが、そこのスタッフもほとんどがお年寄りです。こうしたお年寄りはたいていパートタイムで働いています。
中には75歳以上の人も働いています。彼らの子供たちはすでに成人し養う必要がありません。しかし、彼らは働くことを楽しんでいます。私が知っている福岡県のホテルでは、清掃スタッフの50%が高齢者で、最年長は78歳です。彼らは1日6〜8時間働き、ベッドのシーツや枕カバーが詰まった重い袋を運んでいます。多少の腰痛やひざの痛みがあっても、彼らは頑張り続けるのです。
「ランチに行って数杯飲もうか?」。ベトナムのオフィスでよく聞かれる誘い言葉の一つです。 暑い夏の日には、私自身も昼休みを利用して数杯飲んで涼み、時には友人や同僚と顔が赤くなるまで飲み、午後には通常通り仕事に戻ったものでした。
日本でも昼休みに仲間を誘ってランチを食べる文化はあります。しかし、ビールやワインを何杯も飲むことはほとんどありません。取引先とお互いに合意したうえでビールなどを飲みながらビジネスランチをすることはありますが、昼からたくさん飲むことはありません。日本の会社は規律に厳しく、昼間から酒を飲んで職場に戻ると、勤務態度が不真面目だと思われるからです。
ベトナムと日本の昼食文化も大きく異なります。 ベトナムでは、オフィス近くの飲食店で昼食をとり、その後コーヒーを飲みながらおしゃべりをするのが一般的です。私も「決して一人で昼食をとらない」という原則を尊重する多くの人々を知っています。
しかし、日本では、「一人ランチ」のケースもたくさんあります。同僚と昼食をともにすることも多いですが、忙しい場合などに、コンビニエンスストアなどで買った弁当を公園や自分の机で一人で食べるという光景もしばしば見かけます。そもそも日本ではランチタイムがかっちり1時間以内と決められ、昼間からプライベートタイムを長く取る習慣がありません。ベトナムのように友だちや仕事仲間との親交を深めようと長いランチタイムを楽しむと、日本人からはとても不思議に思われてしまうでしょう。
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