四国に行ったことのあるベトナム人は少ないのではないでしょうか? しかし、香川県なら、岡山から日帰りで遊びに行けます。有名な金刀比羅宮(ことひらぐう)や知られざる絶景の城「丸亀城」、そして名物「うどん」の有名店などを巡ります。
〈このページの内容〉
瀬戸内海に見とれる / 瀬戸大橋
うどんめぐり / がもううどん
暗闇の回廊を体験 / 善通寺
四国一の観光名所 / 金刀比羅宮
知られざる絶景の城 / 丸亀城
うどんめぐり / おか泉
マリンライナー
大阪・神戸や広島などから岡山を経由して瀬戸内海の向こうにある香川県に行くことができます。私は香川県に住んでいるので、岡山から香川まではカメラマン役の友人に取材を手伝ってもらいました。
JR岡山駅から高松駅(香川県高松市)まで特急料金不要の快速「マリンライナー」が走っています。今回は高松までは行かず、途中で降りて香川県中部を旅します。友人は朝6時台の列車に乗りました。
マリンライナーでは、運転席の斜め後ろの窓から前方の景色を楽しめました。岡山駅を出て約25分後に児島駅を過ぎると、いよいよ瀬戸大橋。児島駅から次の坂出駅に着くまでの約15分間の大半は瀬戸大橋の上です。橋は海の上の部分だけで10㎞近くあります。
橋上を走る列車からの眺めです。朝日に映える瀬戸内海にたくさんの島々が浮かび、美しく幻想的な風景です。
香川県のJRの駅(Y6が鴨川駅)
瀬戸大橋を渡って最初に止まる坂出駅で高松行きの各駅停車に乗り換えます。そして、2駅目の鴨川駅で降りて、あるうどん店を目指します。
「がもううどん」へのルート:Google map
香川県はうどんで有名です。うどん店の多さや味のよさ、うどん消費量の多さから「うどん県」という愛称もあります。私も合流して、香川県で最も人気のあるお店の一つ「がもううどん」を訪れました。鴨川駅から1.2㎞です。
田園地帯の中に、大きな駐車場と、その駐車場に不釣り合いな小さな店があります。店はとても小さいですが、行列が目印です。朝8時半の開店直後に行ったのに、順番が来るまで10分以上かかりました。
店に入ってすぐ左にあるカウンターで最初に注文をします。「冷たいうどん」か「温かいうどん」かということとうどんの量(小・大・特大)を伝えます。私は「冷たいうどんの小」を注文しました。
すると、うどん玉だけが入った丼がカウンターに出てきます。「小」は1玉で、私にはこれで十分。
丼を受け取ったら、好きな天ぷらを自分で取ってうどんの上に乗せます。すると、店員さんが値段を言ってくれますので、ここで支払いをします。うどん「小」は消費税込みで150円、「大(2玉)」は250円、天ぷらや油揚げはどれも100円です。
※100円=20,805 VND(2021年8月19日現在)
次に、自分でうどんにつゆをかけます。冷たいうどん用のつゆはこのタンクから注ぎます。
温かいうどん用のつゆはこちら。香川県にはこのようなセルフサービスの店がたくさんあります。
海老の天ぷらを乗せても全部で250円(約52,000 VND)。安い!!
店内の座席が少ないので、多くの人が表のベンチで食べます。味はもちろんベリーグッドでした!
D14が善通寺駅
うどんで朝食をすませたら、鴨川駅から30分あまり電車に乗り、善通寺駅へ。「善通寺」というお寺が次の目的地です。この寺は空海(774年~835年)というとても有名なお坊さんが生まれた場所にある大きな寺です。
善通寺へのルート:Google map
善通寺駅前からの眺め
善通寺はこの写真の山のふもとにあります。駅からは1.3㎞。この道路を約400m進んだ右手に観光案内所があり、そこで自転車を借りることもできます。
これは観光案内所がある「おしゃべり広場」という施設です。自転車の利用は9:00~17:00で、何時間借りても100円(20,805 VND)です。
善通寺の「赤門」に着きました。近くに「南大門」というもっと大きな門もあります。
中に入ると美しい五重塔がありました。
ここは写真(境内図)の中の❶のエリアです。主目的の❷「御影堂(みえどう)」までは少し距離があります。寺の敷地は約4.5㏊。広い!!
御影堂に着きました。空海上人が生まれた家がこの場所にあったそうです。ここを訪れたのは「戒壇めぐり」という珍しい体験をするためです。建物内の受付で500円(約104,000 VND)を払うと、奥に案内してもらえます。
戒壇めぐりの入口 ※特別に許可を得て撮影(通常は撮影禁止)
戒壇めぐりは地下の回廊を照明なしで約100㍍歩く修行です。階段を降りて回廊に入ると、真っ暗。左手で壁を触りながら進んでいきます。壁の向こうにある仏様の世界とつながるために左手で壁を探るのだそうです。
一切の視界を奪われた状態で進みます。どこを向いても何も見えません。十分な広さがあるのに、何かにぶつかりそうな気がして、最初はゆっくりゆっくりとしか歩けません。何分歩いたでしょうか? 時間感覚もなくなる闇と静寂の中、ずいぶん歩いたと思ったころ、前方にかすかな光が現れます。近付くと小部屋があり、短い説法がスピーカーから流れてきました。
戒壇めぐりの出口 ※通常は撮影禁止
回廊に戻って、今度は短い距離でしたが、再び暗闇を歩き、出口にたどり着きました。たった100mのはずなのに、とても長く感じました。想像していたよりも印象深く、不思議な感覚の体験でした!
JR琴平駅
善通寺駅に戻って隣の琴平駅(香川県琴平町)へ。ここでは「こんぴらさん」の愛称で知られる金刀比羅宮(ことひらぐう)を訪れます。一般人の旅行が制限されていた江戸時代に許された数少ない参拝地の一つで、この神社への参拝は「こんぴら参り」と呼ばれ、多くの人のあこがれでした。「こんぴらさん」は愛媛県の道後温泉などと並んで四国で最も有名な観光地の一つです。
駅から正面に見える山はゾウの頭に似ていることから象頭山(ぞうずざん)と呼ばれ、この山の中腹に「こんぴらさん」があります。駅から山に向かって約400m進んで突き当たりを左折すると、旅館や商店が連なる通りに入ります。
駅から約200mの場所に高灯籠(たかとうろう)があります。1860年にできた高さ27mの日本一高い灯籠で、こんぴらさんへの目印です。
表参道
高灯籠の前の大きな鳥居をくぐって突きあたりを左に曲がって数分歩くと、右手に、象頭山が見える石畳の道が始まります。これが表参道で、ここから本宮まで約30分です。山に向かって進むと、途中から石段が断続的に現れます。
表参道には店がたくさんあります。うどん作りを体験できる「中野うどん学校」もあります。新型コロナ前は、この通りに人がぎっしり歩いていました。
進んでいくと、いよいよ石段が始まります。本宮までは785段、奥社までだと計1368段あり、多くの人は本宮までで疲れ果てます。
途中から長い階段があり、息を切らしながら登ると、「大門」に到着。大門までの石段は365段です。
大門で振り返ると、市街地を見下ろす景色がいきなり開けます。本宮までまだ半分以上ありますが、すでに結構高いところに来ました。
大門をくぐると神社の境内で、150mほど平坦な道が続きます。両わきに桜並木があり、春には桜のトンネルになるそうです!
平坦な道が終わり、再び石段を昇ると、「こんぴら狗(いぬ)」と呼ばれる犬の銅像に会えます。昔、こんぴら参りに行けない人が行く人に自分の飼い犬を託し、代わりにお参りに行ってもらったという話にちなんだ像です。
再び石段を昇っていくと、壮麗な木造建築が現れました。初めて来た人の多くが本宮と勘違いしますが、まだゴールではありません。これは「旭社(あさひしゃ)」で、ここまでで628段。急な石段が多かったため、社の前のベンチにたくさんの人が腰かけ、本宮までの最後の石段に備えていました。
最後に傾斜のきつい133段の石段を昇り切ると、とうとう本宮に到着しました! 785段を昇り切った達成感と参拝できる喜びで皆さんに笑顔があふれています。「こんぴらさん」は海の守護神として知られています。
本宮前の展望台(標高251m)からの眺めは爽快。緑豊かな讃岐平野とやさしい形の山々の眺めに心がいやされていきます。
帰りはお店を見物しながらのんびり下山。昔ながらの飲食店や土産物店に混じって、おしゃれなお店もちらほらありました。
表参道には無料の足湯もありました。ひざまでまくれる服装の人は、疲れた足をお湯で温めてはいかがでしょうか?
7月末だったので、ジュースやかき氷を売る店が目立ちました。私はかき氷とソフトクリームが入った品を食べました。税込み350円(約72,800 VND)。
表参道の入口まで戻って右に曲がり、約300m歩くと、鞘橋(さやばし)という橋があります。刀のさやのような形です。10月の大祭のときにだけ、神輿(みこし)を通すために使われます。
JR琴平駅に戻り、丸亀駅に移動します。次の目標は丸亀城です。
丸亀城へのルート:Google map
丸亀駅から徒歩1.1㎞の場所にある丸亀城。石垣の高さは60mを超え、日本一と言われています。天守は木造3階建てで、1660年に建てられたものが今も残っています。
天守(写真↑)までは長く傾斜のきつい坂道と石段があります。金刀比羅宮ほどではありませんが、けっこう体力を使います。
しかし、天守に着くと、前の広場から360度の大パノラマ!左の飯野山は富士山に形が似ているので、讃岐富士(さぬき・ふじ)と呼ばれています。「讃岐」は香川県の昔の呼び方です。
讃岐平野と山々が夕日に包まれ、心が穏やかになるようなやさしい景観です。
そして、瀬戸内海と島々もすぐそこに!
奥に瀬戸大橋も見えますね。
丸亀城は有名な観光地ではありませんが、天守付近からのパノラマは圧巻。このような絶景ポイントがなぜあまり知られていないのか不思議です。
香川観光の締めくくりはやはりうどんです。うどん店をはしごするために他県からやって来る観光客も多い香川県。超人気の「おか泉」は丸亀駅の隣の宇多津駅から950m。ここはセルフではなく一般店です。
「おか泉」へのルート:Google map
私が選んだのは冷たい「ぶっかけうどん」。冷たいつゆがかかっているうどんで、税込み418円(約87,000 VND)。普通のうどんとどう違うのか言葉で説明するのは難しいのですが、とにかくおいしい!
おかずはおでん。自分で選んでお皿に取ります。
瀬戸大橋、金刀比羅宮、丸亀城といった絶景ポイントと善通寺の戒壇めぐりを楽しんだ密度の濃い1日。2店のうどんも最高でした。あなたもぜひ一度、讃岐を歩いてみませんか?
※この記事はJNTOのご協力で作成しました。
external link JNTOの詳しい日本観光情報(ベトナム語)
リポーター
Mai Thị Phương Thanh (マイ・ティ・フォン・タイン)
1997生まれ、ナムディン省出身。2018年から香川県で技能実習。地元のベトナム人仲間と香川県や岡山県での観光経験多数。
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