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日本のビジネス文化_02:職場に私物を届けない

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2022年02月17日

ベトナムでは、ネットショップで買った商品を職場に届けてもらうのはよくあることですが、日本ではNGです。また、日本人は長期休暇が終わった次の日から「仕事モード全開」の状態に戻ります。私はベトナムで9年間働いた経験があり、3度の日本留学を経て日本で正社員として働いています。ベトナムと日本のビジネス文化の違いをお伝えしていきます。〈Vân Hoàng〉

「オン」「オフ」の切り替え

ハノイで働いていたとき、日系企業はベトナムの会社より祝日が多いのでうらやましいと、ずっと思っていました。2021年10月に東京の会社に入社すると、正月休み以外にも毎月のように3連休がありました。

すごくうれしいのですが、私にとって大変なこともあります。それは仕事とプライベートの「オン」「オフ」を切り替えることです。連休後にいかに早く気分を切り替えられるかが課題ですが、周りの日本人の同僚たちはプロで、連休明けでも朝からしっかり「仕事モード全開」の状態です。

日本では年末年始に約1週間の休みがあり、1月の初出社の日に社長が社員に新年のあいさつを述べます。それが終わった途端、同僚たちは皆、1週間の休暇がうそのように、完全に通常の仕事モードに入っていました。

ベトナムでは「1月は遊びの月だ」という言葉があります。ベトナムの正月休み(旧正月=テト)の期間はもちろん、その前後を含めて約1カ月は遊びモードで過ごすという意味です。連休前はテトの準備や買い物、連休の過ごし方を考えることでそわそわ過ごし、連休後は新年会や初詣、春の旅といったさまざまなイベントで頭がいっぱいです。

それに比べて日本人の「オン」「オフ」の切り替え方には感心させられるものがあり、日本が大きな経済成果をあげてきた背景の一つだと、一緒に働いてみて感じました。

公私の区別もしっかり

このように「仕事の時間」と「プライベートの時間」をしっかり切り替える日本人は、時間以外の点でも公私をしっかり区別します。例えば、私の同僚たちは勤務時間中は仕事に集中し、雑談や家庭の話はほとんどしません。

また、日本では従業員の私物が会社に配達されることもありません。ベトナムでは、ネットショップで買い物する場合、会社に届けてもらう人もたくさんいます。私もそうでした。しかし、日本の会社ではそのような人はいません。私も今は、ネットショッピングで買った商品は週末に自宅で受け取っています。

昼休みは休んではいかが?

このようにしっかり働く日本人ですが、それが行き過ぎるのか、「オフの時間を大事にするのは少しへたかも」と思う場面があります。それは毎日の昼休みです。

日本の会社に入って一番驚いたことは日本人の昼休みの過ごし方です。以前、ハノイの大学で日本語を教えていたとき、同僚の日本人(法律の授業を担当する弁護士)が、「日本ではランチを5分で済ませる人も多い」と話していました。私はそれを聞いて「大げさだ」と思っていました。

しかし、日本の会社で働いてみると、それはまったく誇張ではなかったことが分かりました。当社には、昼休みを短縮する人もいますし、ランチを食べずにずっと仕事をする人もいます。また、ベトナムではあり得ないことですが、会議に出席しながらランチを食べることもあります。

ベトナムでは「天罰ですら食事の時間は避ける」ということわざがあります。食事の時間を大切にしようという意味です。日本の正社員なら、多くの場合、労働契約書に昼休みは1時間と書かれていますね? その時間をどのように過ごすかは自由ですが、自分のための時間をもう少し大切にしたほうが良いのではないかと思うこともあります。

休憩を取った方が仕事の能率向上にもつながると思います。また、会社の人と一緒にゆっくりランチを食べながら、いろいろな話をするのも有意義です。ベトナム人なら、休憩時間に同僚とプライベートな話題も含めて何でもおしゃべりします。それが良い人間関係やお互いの理解につながっています。

まとめ

私は日本の会社に入って日本人の働き方や仕事の文化を学び、見習うべき点が多いと感じています。ベトナムでの働き方とかなり違います。それは文化の違いであり、どちらが優れどちらが劣っていると評価する種類のものではないと思いますが、採り入れることで自分の仕事を改善できるのであれば、それも一つの方法です。

今回は、日本の職場の良い点として「オン・オフの切り替え」と「公私の区別」を紹介し、残念に感じる点として「昼休みの使い方」をお伝えしました。お互いのビジネス文化を理解し、仲良く働いていきたいですね。