旅行・グルメ

iShite Book Cafe -東京のベトナムカフェ

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2022年04月05日

東京にできたベトナムコーヒー専門店。ベトナム語の本がたくさんあり、ベトナム人が集まるスポットになっています。東京や周辺に住むベトナム人も、観光で東京を訪れるベトナム人も、このカフェで故国の雰囲気を楽しみ、交流することができます。

ベトナム人が集まるカフェ

日本で暮らすベトナム人の皆さんは「マンガ喫茶」というお店のことを聞いたことがあると思います。マンガがたくさん置いてあるコーヒーショップのことで、ドリンクを注文すると店内のマンガが読み放題というお店です。

東京に住む若者からマンガ喫茶に似たベトナムコーヒーショップ「iShite Book Cafe」がオープンしたと聞き、2022年2月の暖かい日に訪れてみました。JR四ツ谷駅から歩いてすぐの静かな路地にかわいらしい白い建物があります。地下へ続くらせん階段をおりると、やさしい音楽が流れていて本がたくさん並び、コーヒーの良い香りがするお店がありました。木目のテーブルが並び、親しみやすい雰囲気です。

元留学生2人が経営

この店の共同経営者であるトラン・ディン・クオンさんとブ・リン・フォンさんに話を聞きました。1995年生まれの若い2人は、日本のベトナム人コミュニティのために取り組みたいことなどについて話してくれました。

2人は2016年、日本語を勉強するために来日し、VYSA(在日ベトナム学生青年協会)の活動を通じて知り合いました。クオンさんは大学在学中に起業し、人材や民泊の会社を立ち上げました。その後、中退して、さらにビジネスの幅を広げ、コーヒーショップやレストラン、不動産コンサルタントの会社を創業して成功しました。

フォンさんは日本語学校から大学を経て会社に勤めましたが、1年で辞めてクオンさんとこの店を開きました。

ベトナムの本と出会える場所を

iShite Book Cafe

フォンさんは学生時代から「いつの日か、日本に住むすべてのベトナム人にベトナムの本を届け、だれもが自由に集まっておしゃべりをしたり本を読んだりすることができる場所」を作りたいと夢見ていました。

クオンさんも、日本に来るベトナム人が増え在日ベトナム人2世も増えていることから、ベトナム人がベトナムの本に簡単に出会える場所を作ることは大切だと考えていました。

2人はお互いの夢がかなう場所としてブックカフェを開くことにしました。しかし、それは簡単ではありませんでした。立地の良い場所を見つけることも難しいですし、見つけても、外国人であるという理由で貸してもらえないこともありました。こうした困難を乗り越えて2022年1月、iShite Book Cafeが誕生しました。

ベトナムコーヒーと約5,000冊の本

新型コロナのパンデミックのためメニューはまだ少なく、エスプレッソ(400円)や練乳入りコーヒー(500円)、Bánh bông lan trứng muối (バン・ボン・ラン・トルン・ムオイ、500円)=写真=などしかありません。ただし、ココナッツコーヒーやベトナムの「コンカフェ」で人気のヨーグルトコーヒー(650円)もあります。

本棚には、販売用と閲覧(えつらん)用のビジネス書籍や文学、児童書、自己啓発の本など約5,000冊が並んでいます。ベトナム人作家の本もあれば、日本人を含む外国人作家の作品のベトナム語版もたくさんあります。社会人のベトナム人客から特に重宝されているのは、証券や不動産などビジネス関連の本だそうです。

ベトナム人が集まるスポットにしたい

このカフェは、週末はたくさんのベトナム人でにぎわっています。ギターを弾いて友人と楽しく歌う人や地域活動について話し合うグループもいます(店のギターも持ち込みのギターも使えます)。先日は、Nguyễn Thị Thanh Thủy (グエン・ティ・タイン・トゥイ)博士の新刊「日越の通訳スキルトレーニング」のサイン会=写真=を行い、約30人が参加しました。

クオンさんたちは今後もサイン会やさまざまな分野の専門家・有名人のトークショーを開催し、日本にいるベトナム人の若者に向けて知識や情報を発信していこうと計画しています。また、このカフェを小さな子どもを持つベトナム人家族の待ち合わせ場所にして、本を読んだりベトナム語を学んだり子どもをあずけたりできる場所にしたいと考えています。

ベトナムからコーヒー豆を直輸入

ベトナムはブラジルに次ぐ世界第2位のコーヒー豆生産国です。海外にたくさん輸出されていますが、残念ながら「ベトナムのブランド」は少ないようです。クオンさんはベトナムのコーヒー農家から直接買い取って輸入し、高品質な独自ブランド商品を作って販売することを計画しています。日本人にもベトナムコーヒーのおいしさを知ってもらい、ベトナムコーヒーを日本でもっと広めたいと思っています。

コーヒーを注文すると、いろんな色のフィルターが付いたカップが出てきました。コーヒーが落ちるのを待つ間、私はバンボンラントルンムオイをひと口食べてみました。これは熱いミルクコーヒーとよく合います。今後はメニューを増やし、持ち帰りできるバインミーも販売する予定です。

iShite Book Caféのまとめ

ベトナムの本がたくさん並ぶ空間で上質のベトナムコーヒーを楽しめるiShite Book Café。「iShite」は日本語で「愛して」と読みます。「私たちが提供する空間とサービスを愛してね」という意味です。iPhoneと同じように頭に iの文字をつけることで若者に覚えてもらいたいという狙いもあるそうです。

このカフェにあらゆる世代のベトナム人が集って交流し、助け合うための大切な場所になる。それがクオンさんとフォンさんの願いです。

iShite Book Café

・東京都新宿区四谷1-1-6 -B1
・JR四ツ谷駅赤坂口から徒歩約3分
・東京メトロ四ツ谷駅①出口から徒歩約3分
・03-6233-9468
・11:00~22:00(年中無休)