困りごと解決
青果詐欺、多発中!
日本に住むベトナム人が増えるにつれ、ベトナム食材の需要も急増しました。日本では、ベトナム食材店が急増しているほか、それらをFacebookなどで販売する人も増えました。正規業者がオンライン販売している場合はよいのですが、非正規の業者が違法販売しているケースもたくさんあります。このような業者から買う場合のリスクは「代金を振り込んだのに商品が届かない」という詐欺被害です。詐欺の実例やパターン、被害を防ぐ方法について紹介します。
代金を振り込んだが果物が届かない①
北海道に住むベトナム人女性は、ベトナム人が集まるFacebookページの投稿を見て、投稿者にメッセンジャーで連絡し、マンゴーを注文しました。メッセンジャーで下記のようなやり取りを行い、約2500円を振り込みましたが、数日経っても商品は届かず、問い合わせると、相手と連絡が取れなくなりました。どうやら、相手からこちらのFacebookアカウントをブロックされたようです。
注文前の主なやり取り
女性:銀行口座を教えてください。お金を振り込みます。
相手:※郵貯カードの写真を送信
相手:振込が終わったら、振込記録の写真を送ってください。
女性:全部でおいくらですか?
相手:※値段を送信
女性:マンゴー2 kgでお願いします。商品を次の住所に発送してください。 ※住所を送信
振込の翌日
女性:商品を発送してくれましたか?
相手:発送しました。多分、明日着くでしょう。
その2日後
女性:まだ商品が届きません。
表示:「現在、このユーザーはメッセンジャーで連絡できません」
※この女性は「私の詐欺の被害額は大した額ではありませんが、私のような被害にあわないように気を付けてほしい」と呼びかけています。
代金を振り込んだが果物が届かない②
神奈川県の特定技能外国人のベトナム人女性は2021年12月、ベトナム人向けのFacebookグループで「マンゴーを売ります」という投稿を見ました。日本のスーパーででマンゴーを買うとびっくりするぐらい高いのですが、その投稿では格安で販売しており、女性は投稿者とメッセンジャーで連絡を取り、3箱分を注文しました。
相手の指示に従って口座に7200円を振り込み、こちらの住所を送信してマンゴーが届くのを楽しみに待ちましたが、数日経ってもマンゴーは届かず、メッセンジャーで問い合わせると、「現在、このユーザーはメッセンジャーで連絡できません」という表示が出ました。
Facebookで相手の名前を検索しましたが、ヒットしません。どうやら、相手からこちらのFacebookアカウントをブロックされ、連絡ができなくなったようです。
詐欺のパターン
Facebookを使った商品販売の詐欺でよくある手口を説明します。
・他人の写真を勝手に使って虚偽のFacebookアカウントを作成
・そのFBアカウントで商品を販売(商品の写真は偽物の場合が多い)
・FBの投稿を見た読者からメッセンジャーで問い合わせ
・顧客に振込を指示
・顧客からの入金を確認(商品は送らない)
・顧客をブロックして連絡が取れないようにする
・虚偽のFBアカウントを削除
このようにして、買い手が代金を振り込んでも商品を受け取ることができないという被害が発生します。多くの被害者は、被害額が大金ではないことから警察に通報せず、せいぜいFacebookグループに警告を投稿するぐらいにとどまります。
商品を送っても入金されない
販売詐欺をはたらく人は相手に代金を振り込ませ、商品を送らずに連絡が取れないようにします。逆に、商品を送ったのに代金をもらえないという例もあります。
首都圏に住むベトナム人女性は青果販売をFacebookで呼びかけ、注文してきた相手に商品を送ったのに代金を振り込んでもらえませんでした(上の写真の投稿)。その後、相手と連絡が取れなくなりました。送り先の住所という手がかりはありますが、自分の在留資格では本当は販売事業をしてはいけないので、警察に通報できませんでした。
違法業者の特徴
SNSやオークションサイトを利用して物品を販売すること自体は外国人でも自由にできます。ただし、自分が不要になった物を売る程度にとどめなければなりません。他人から仕入れて転売したり営利目的で何度も販売したりする場合は「事業」となります。
こうしたネット販売事業は「経営・管理」の在留資格(ビザ)で認められる活動内容に近いので、例えば「技術・人文知識・国際業務」や「技能実習」のビザの人が副業でネット販売事業をすると、不法就労活動(入管法違反)となる可能性があります。このような活動を助長しないように注意しましょう。
警察に被害届けを出して捜査をしてもらうと、犯人がつかまって被害額の一部が返ってくる場合もあります。ただし、詐欺で使われるFacebookアカウントに登録されている個人情報は虚偽ですし、振込先の銀行口座は違法に取得した口座(キャッシュカード)です。そのため、犯人を見つけることは非常に難しいです。
まとめ:被害をなくすには
こうした詐欺の被害にあわないための最善の方法は、法律を守る意識を高めることです。違法サービスを利用したり支援したりしないことが被害を減らします。違法の可能性が高い業者を使ったり、帰国する前にキャッシュカードを人に売ったりすることは、絶対にやめましょう。
最近は日本全国にベトナム食材店があり、配送もしてくれます。できるだけ、こうした正規の業者から購入するようにしましょう。
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総まとめ・ベトナム人向け相談窓口
学習や仕事(技能実習・正社員・派遣・アルバイト)、生活、在留資格などの関係で困ったことが起こり、会社や受入組合、学校、先輩などに相談しても解決しない場合、どこに相談したらいいでしょうか? 多くの先輩がこれまでさまざまな相談窓口や支援団体に助けられています。一つの窓口で解決しない場合でもあきらめたり失踪したりせず、複数の機関に相談してみてください。 知っておきたい相談窓口 日越ともいき支援会 外国人技能実習機構(OTIT) 技能実習で困ったことが起き、監理団体(受入組合)や受入会社が適切に対応しない場合は、まずは外国人技能実習機構(OTIT)に相談してください。公式HPからベトナム語で相談内容を送信できます。フリーダイヤルの電話(0120-250-168)もあります。 OTITの事務所を直接訪れるのも有効です。その際、自分の在留カードをコンビニでコピーし、その紙の余白部分にあなたの悩みや不満の要点を書いて持参することをお勧めします。事務所に着いたら、紙を読んでもらってから自分で説明もします。必要がある場合は、OTITが通訳を手配してくれます。 労働基準監督署(労基署) 技能実習生も留学生も、残業代を払ってもらえないなどの相談は全国の労働基準監督署に相談してください。最近は外国人の相談にも対応しています。 全国の労基署 実績のある民間の支援団体 外国人実習生支援 OTITや労基署に相談しても解決しない場合やこのような公的機関に1人でうまく相談できない場合、次のような民間の支援団体のサポートを得る方法があります。いずれも実績の多い団体です。 外国人実習生SNS相談室(Facebook) =技能実習生の労働問題、雇用問題、生活問題、在留資格関連 日越ともいき支援会 =留学生や技能実習生などあらゆるベトナム人の労働・雇用・生活・就職・在留資格などに関する問題 岐阜一般労働組合 第2外国人支部 =甄凱(けんかい)支部長:090・8496・9668(日本語) =技能実習生、正社員、派遣労働者などあらゆる外国人労働者の労働や雇用、在留資格に関する問題 活発なベトナム人団体 在日ベトナム人協会(VAIJ) =生活・医療・健康に関するホットライン:050-6874-8385 在仙台ベトナム人協会(SenTVA) 茨城県ベトナム人協会 ベトナム語の通じる相談窓口(主要都市) 全国の主要都市にあるベトナム語の通じる主な相談窓口を紹介します。 ■東京都 外国人在留支援センター(FRESC) =あらゆる外国人の生活・労働・雇用・就職・在留資格などあらゆる分野の相談 =FRESCヘルプデスク:0120-76-2029=月~金(9:00~17:00) =FRESCの入管電話予約:03-5363-3025=月~金(9:00~17:00) ※ヘルプデスクは全国からの相談に対応。 ※どちらの電話でも、ベトナム語を希望する場合は、最初に「ベトナム語でお願いします」と日本語か英語で告げてください。 ■北海道 北海道外国人相談センター = 011-200-9595(平日9:00-12:00 / 13:00-17:00) ■宮城県 みやぎ外国人相談センター = 022-275-9990 ■茨城県 外国人相談センター =TEL:029-244-3811(ベトナム語:月・火・水) ■埼玉県 外国人総合相談センター埼玉 =048-833-3296 ■千葉県 千葉県外国人相談 =043-297-2966(平日9:00-12:00 / 13:00-16:00) =E-mail:ied@ccb.or.jp ■神奈川県 横浜市多文化共生総合相談センター = 045-222-1209 = E-mail:t-info@yoke.or.jp ■静岡県 静岡県多文化共生総合相談センター かめりあ = 054-204-2000(平日10:00~16:00) = E-mail:sir07@sir.or.jp ■愛知県 あいち多文化共生センター = 052-961-7902(月~土10:00~18:00) ■大阪府 大阪府外国人情報コーナー = 06-6941-2297 = E-mail:jouhou-c@ofix.or.jp ■大阪市 外国人のための相談窓口 = 06-6773-6533(平日 9:00~19:00、土日祝:9:00~17:30) ■兵庫県 神戸国際コミュニティセンター = 078-291-8441(ベトナム語:月・水 09:00~12:00、13:00~17:00) ■兵庫県 日越交流センター兵庫 = 078-646-3110 = E-mail:cntorimoto@yahoo.co.jp ■岡山県 岡山県外国人相談センター = 086-256-6052(平日9:00~17:00) = E-mail:support@opief.or.jp ■広島県 ひろしま国際センター = 0120-783-806 ■福岡県 福岡県外国人相談センター = 092-725-9207(毎日10:00~19:00) = E-mail:fukuoka-maic@kokusaihiroba.or.jp ■福岡市 福岡市外国人総合相談支援センター = 092-262-1799(平日8:45~18:00) 自治体や国際交流協会などの窓口リスト(全県) このコーナーでは、日本全国の都道府県(地方自治体)や国際交流協会などによる外国人向け相談窓口のリスト(ベトナム語版、日本語版)をご紹介します。 あなたのお住まいの都道府県名(日本語とアルファベット)が記載された四角い欄をクリックすると、その地域の相談窓口の一覧表が現れます。ベトナム語で相談できる窓口には赤い文字で「ベトナム語」と記されています。また、出てきた表の中の青いURLをクリックすると、その相談窓口のウェブサイトにつながります。 地域別:国際交流協会などの相談窓口リスト(リンク)
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困りごと相談簿 file 01:日本人の子を未婚で妊娠・出産
留学中に日本人の恋人の子どもを出産しました。結婚はできず、相手は子どもの父親であることも認めてくれません。彼女は支援団体と弁護士のサポートで裁判所に訴え、相手が子どもの父親であることを公式に認定してもらいました。これによって赤ちゃんも本人も日本での在留資格を得ることができました。 カテゴリー 結婚・離婚・子ども 【相談者】 ・日本語学校の留学生 ・べトナム人女性 ・愛知県在住 赤ちゃんを日本で育てたい 支援機関に相談 相談者は日本語学校に留学していましたが、訪日して2年目に妊娠3カ月と判明しました。相手は日 本人の恋人(学生)でした。彼の親が結婚に反対し、相談者は結婚をあきらめましたが、赤ちゃんを 産んで日本で育てたかったので、学校や支援機関に相談しました。外国人ヘルプライン東海、日越と もいき支援会、日本語学校の先生が彼女を支援しました。 支援の概要 支援機関は弁護士を紹介して子どもの認知手続きを行いました。子どもは相手(日本人)の子と認めら れ、日本国籍を取得。相談者は日本人の母として「定住者」の在留資格を取得しました。また、相談者 と赤ちゃんは母子生活支援施設(母子寮)に住み、月数万円のアルバイト代で生活をしています。 日越ともいき支援会(全国から相談を受け付け) ポイント:認知と子どもの国籍 国籍、在留資格 外国人女性が日本人の子どもを出産した場合、その子どもは日本国籍を取得できます。また、日本国籍を選 ばなくても「日本人の配偶者等」という在留資格を得られます。そして、そのお母さんも正当な理由があれ ば「定住者」という在留資格を取得できます。ただし、結婚していない場合は、その子どもが自分の子であ ることを父親(日本人)が認知することが必要です。 認知 このケースでは、元恋人が認知に応じなかったので、出産後、裁判所に調停を申し立てました。調停では、 DNA型鑑定の結果も踏まえ、赤ちゃんが元恋人の子であることが認められました。これによって赤ちゃん に日本国籍を取得させることができました。 国籍を慎重に選ぶ 相談者は当初、児童相談所という行政機関から、駐日ベトナム大使館に出生届を出し、赤ちゃんのベトナ ム・パスポートを取得するように示唆されました。しかし、1度ベトナム国籍を取得してしまうと、後で日 本国籍に変更したいと思った場合に大変な手間がかかります。支援機関は相談者に熟考を促し、相談者は 赤ちゃんに日本国籍を取らせることを選びました。 ポイント:子どもの養育 母子生活支援施設 出産直後から数カ月間、相談者に生活力がなかったことなどから、児童相談所が赤ちゃんを強制的に引き取って保護しました。相談者は赤ちゃんと一緒に暮らしたかったので、支援機関の紹介で弁護士を代理人に立て、児童相談所と交渉しました。 交渉と並行して、弁護士が、相談者と赤ちゃんを受け入れてくれる母子生活支援施設(母子寮)を探しました。相談者はアパートから母子寮に移り、弁護士が「生活の見通しが立ったので、赤ちゃんを母親に返してほしい」と交渉し、赤ちゃんを返してもらえました。 【母子生活支援施設とは】 18歳未満の子どもとそのシングルマザーなどが一時的に居住できる施設です。入所した母子に対して、心身と生活を安定させるための相談・援助を行いながら、自立を支援します。 支援の結果、赤ちゃんと一緒に暮らせることに ポイント:在留資格 ①定住者 上記の通り、外国人女性が日本人の子どもを出産した場合、正当な理由があれば「定住者」という在留資格を得られます。 ②就労のための在留資格 日本で就職してその仕事に関係する在留資格を取ることもできます。 ③特定活動 子どもの認知や離婚を巡る裁判が長引く場合、裁判のために「特定活動」という在留資格で日本に残ることができます。ただし、裁判が終わればこの在留資格は更新できません。 今回のケースでは、相談者は「留学」から「定住者」の在留資格に変更しました。このようにさまざまな選択肢があり、その在留資格が認められるかどうかは最終的には入管が決めます。
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全国のベトナム人の相談機関「日越ともいき支援会」:2021年版
東京都港区の寺に拠点を置くNPO法人「日越ともいき支援会」は昔から在日ベトナム人(技能実習生、留学生など)の支援を行ってきました。新型コロナの感染拡大後は、困窮した在日ベトナム人の生活や就職・再就職のサポートに特に力を入れています。 食料、生活、就職の支援 食料支援 支援会は新型コロナの影響で生活に困っている在日ベトナム人たちへの食料支援を行ってきました。段ボール箱に米やラーメン、調味料などを詰め、日本各地に発送しています。2020年3月~7月に約5,000箱を送り、その後も神戸のNPOと連携して食料支援を続けています。 生活支援、就職支援 2020年3月から約半年間で、新型コロナの影響で帰国が困難な元技能実習生や元留学生を中心に約100人の在日ベトナム人を保護しました。保護した人は無償で寺に住まわせ、食料も提供しています。 2020年9月以降は、帰国を待つ人よりも就職・再就職を希望する人への支援が中心になりました。無償で寺に住ませて食事を提供する以外に、特定技能外国人になるために必要な日本語能力試験(JLPT)や技能試験の勉強を指導しています。さらに、在留資格変更や就職先探しもサポートしています。 在留資格変更の支援 支援会が最近保護したベトナム人の大半が就職や再就職を希望しています。その中には元留学生や失踪していた元技能実習生もいます。 失踪中の元実習生を保護した場合、その人にまず「短期滞在」の在留資格を取らせ、不法滞在の状態を解消させます。 次に、「短期滞在」から再就職のための在留資格(雇用維持支援の「特定活動」)に変更できるように入国管理局(入管)と交渉します。失踪者であっても、職場の暴力などやむを得ない事情で失踪したということを証明できれば、再就職が可能です。 それを証明するには、監理団体(組合)や受入企業とのやり取り(メッセンジャーやLINE)、動画、写真などが証拠になります。支援会が2020年9月~2021年7月に保護した305人の失踪実習生のうち189人が「特定活動」(雇用維持支援)を取得することができました。 ただし、この在留資格を申請するには、元の監理団体に書いてもらう書類も必要です。監理団体がなかなか協力してくれないことが多く、支援会は苦労して交渉しています。 もちろん、技能実習を良好に修了した実習生は簡単な手続きでこの在留資格を取得できます。しかし、失踪期間が長すぎた場合などは、在留資格を変更できない場合もあります。その場合は、その人が帰国するまでアルバイトで収入を得られるようにサポートします。 また、技能実習の在留期間が残っている人の場合は、その人が実習を続けられなくなった事情をよく聞いたうえで、外国人技能実習機構(OTIT)・監理団体・受入企業の3者と協議し、その人を元の実習先(職場)に戻すか新しい実習先を探してもらうように調整します。 無料の日本語授業 支援会の日本語授業 雇用維持支援の「特定活動」は特定技能外国人になることを前提とした在留資格です。特定技能外国人になるには日本語能力試験(JLPT)N4以上と希望職種の技能試験の合格が必要です。支援会は保護したベトナム人らの試験勉強も支援しています。 支援会には日本語を教えるスタッフが数人おり、このうち3人は日本語教師養成講座を修了しています。また、技能試験の勉強は、先に合格した先輩ベトナム人たちが週末に教えに来てくれます。 2021年は日本語の無償授業を毎日3時間行い、JLPTの模擬試験も毎週行ってきました。特定技能を目指す元実習生や元留学生たちは、授業以外にも毎日数時間、自分で勉強しています。 就職サポート 一方、保護しているベトナム人を雇用したいという企業が見つかれば、支援会が彼らに情報を提供します。彼らは働きたい職場があれば面接を受けますが、支援会は紹介料を一切取りません。 彼らの多くは、面接に合格すると、最初はアルバイトとして働き、JLPTや技能試験に合格すると「特定活動」から「特定技能」に在留資格を変更します。特定技能外国人は最長5年間、日本で働けます。 50年近いベトナム人支援歴 滞在者は毎晩一緒に食事 日越ともいき支援会は2021年7月15日現在、26人のベトナム人を保護しています。 代表の吉水慈豊さん(52)の父(前住職)はベトナム人僧侶の日本留学支援を1963年から続け、寺の離れに住まわせてきました。2011年の東日本大震災では、被災した86人のベトナム人を1カ月間保護し、その後も、困窮者を寺に一時的に住まわせる対応を続けてきました。 技能実習生(左)の職場変更のために新しい会社と交渉する吉水慈豊さん 慈豊さんはさらに、技能実習や留学などで行き詰まったベトナム人の支援を数年前から本格的に続けています。実習先の会社で不当な扱いを受けて困っている技能実習生を助けたり、予期せぬ妊娠で悩むベトナム人の出産や生活を支援したりもしています。 相談を受けた案件については、専門家と協議しながら、受入企業や監理団体、OTIT、学校などと交渉し、解決を目指します。2019年度の支援実績(関係先と交渉した案件数)は218人、保護実績は46人。2020年度は支援6,500人、保護306人でした。 【NPO法人・日越ともいき支援会】 ◇電話:03-6435-6644 ◇住所:〒105-0011東京都港区芝公園2-11-1-203 ◇E-mail:n.tomoiki@gmail.com ◇代表理事:吉水慈豊(※電話に出た人に「りえさんをお願いします」と言うと、つないでくれます。)
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包丁持ち歩きで逮捕!?
在日ベトナム人も飲食品や食器などを持ち寄って友人宅や野外でよく宴会をします。しかし、その際に料理を手伝おうと思って包丁を持って行くと、場合によっては警察につかまってしまいます。包丁やナイフなどの持ち歩きに関する注意点をお伝えします。 包丁所持で交番に同行① 私は以前、留学生として全国チェーンの居酒屋でアルバイトをしていました。店は東京・渋谷にありましたが、うちの店が忙しいときは、近くのグループ店のスタッフがうちの店にサポート(手伝い)に来ましたし、近くの店が忙しいときには、逆にうちからだれかがサポートに行きました。 ある日の午後8時ごろ、同僚のベトナム人留学生が店長から「包丁を持って隣の店にサポートに行ってください」と指示されました。包丁は厨房の仕事で使います。包丁を持って他店のサポートに行くことは当時よくあることで、彼は包丁1本を新聞紙で包み、そのまま手に持って出かけました。 渋谷の繁華街 すると、彼が数百メートル離れた他店に歩いて向かう途中、警察官2人に呼び止められ、職務質問されました。日本では警察官が不審に思った人を呼び止めるのはよくあることです。何をしているのか聞かれ、場合によっては所持品も調べられます。彼は新聞紙で包んだ包丁を持っていたことがもとで近くの交番に連れていかれてしまいました。 彼は警察官に事情を説明しましたが、日本に来てまだ2年目で日本語力が足りず、意味があまり伝わりません。やがて、警察からうちの店に「おたくのスタッフが包丁を持って繁華街を歩いていたため、交番で一時的に保護している」と電話がかかってきました。 店長が交番に出向いて事情を説明し、やっと納得してもらえましたが、店長も同僚も「すぐに使える状態で包丁を持ち歩くのは危険だ」と警察から注意されたそうです。彼が警察から解放されたのは、店を出てから約2時間後のことでした。 包丁所持で交番に同行:ケース② 上野公園の夜桜 私は東京に長く住んでおり、ベトナム人仲間で宴会をしたり、桜や紅葉を見に行ったりすることがよくあります。その際、食べ物や飲み物、果物、食器など、飲食品や備品の準備を分担します。2017年春に東京の上野公園に二十数人で花見に出かけたときもそうでした。 このとき、果物の皮をむくための包丁や肉を切るはさみを持ってくる担当になった留学生がいました。彼は包丁と大きなはさみをカバンに入れて電車に乗り、上野駅で降りましたが、駅の近くで警察官たちから職務質問を受け、カバンに包丁が入っていたため、やはり交番に連れて行かれました。 彼も日本語があまり話せなかったため、包丁を持っていた理由をきちんと説明できませんでした。また、彼は普段は携帯電話をWi-FiにつないでSNSで仲間と連絡を取っており、携帯にSIMが入っていなかったので、Wi-Fiのない警察から私たちに連絡することもできませんでした。 警察は結局、彼の留学先の日本語学校に電話し、学校の担当者と通訳が警察に説明に来てやっと理解してもらえました。彼が職務質問されてから解放されるまで4時間半ぐらいかかりました。 刃物に関する日本の法律 日本には銃や刃物の携帯を規制する法律があります。包丁やナイフ、はさみなどは仕事や生活に必要なので、所有することは自由です。しかし、正当な理由なくこれらを持ち歩くことは法律で禁止されています。刃物の携帯は犯罪につながるので、必要な場合に警察が取り締まることができるようにするためです。 この法律では、刃渡りが6 cmを超える刃物について、「業務その他正当な理由による場合を除いては、これを携帯してはならない」と定めています。違反すると刑罰の対象になります。 ここで「業務その他正当な理由」とは次のような意味です。 「業務」とは仕事です。例えば、調理師が包丁をカバンに入れて職場に持って行く場合は「業務のため」なので合法です。また、「その他正当な理由(それ以外の正当な理由)」とは、例えば、店で包丁を購入し、パッケージされた状態のままカバンに入れて自宅に持ち帰る場合などを指します。しかし、護身のためにナイフなどを持ち歩く行為は「正当な理由」とはみなされず、違法となります。 居酒屋のアルバイトで包丁を持って他店に行くことは仕事上の行為ではあります。しかし、新聞紙に包んだ包丁を持ち歩くと、包丁をすぐに使える状態なので、周囲から見ると非常に危険です。したがって、警察から厳重に調べられてしまいます。カバンに入れて持ち歩いても、ケースなどに入れずカバンからすぐに取り出して使える状態であれば、同じように危険なので、やはり警察から詳しく調べられる可能性があります。 なお、刃渡り6 cm以下の刃物の携帯も別の法律で規制されており、正当な理由が必要です。正当な理由なく刃物を持ち歩くと周囲に不安を与え、場合によっては警察に逮捕されます。日本では、基本的に刃物を持ち歩かない方がよいでしょう。
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