文化

ベトナムの常識・日本の非常識_33:日本人は強い香水が苦手です

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2022年11月04日

ベトナムではステキな香水を付けることであなたの魅力が増し、その香りが強すぎるからといって周囲に嫌がられることはありません。しかし、日本で強いにおいの香水をつけると、周囲の人たちがあなたに近付きたがらなくなる場合もあります。この記事では、「きつい香水のにおいに対する日本人の感性」と「日本で豊かなあごひげを生(は)やすことの意味」について解説します。

香りのルール

ここ数年、ベトナムで香水の人気がますます高まっています。 YouTube や TikTok でも「美しくある必要はない。豪華である必要もない。香りがあればよい」とPRする動画をよく見かけます。友人が日本に留学する前に私にメッセージを送ってきたので、私は日本での生活についてアドバイスしました。その中で、彼が「いつもいい香りでいたいので、香水をたくさん持ってく」と言い出したので、私は即座に「それはやめなさい!」と忠告しました。日本ではきつい香水のにおいは歓迎されないからです。

日本では最近、スメル・ハラスメント(略称スメハラ)という言葉が話題になっています。「スメハラ」とは、体臭や口臭などのにおいによって周囲に迷惑をかけることです。口臭や汗などの体臭、タバコのにおいに加え、強過ぎる香水のにおいも周囲に不快感を与えることがあります。日本人も香水を好んで用いますが、きついにおいはポピュラーではありません。強いにおいを嫌がる日本人が多いためです。

このため、来日すると、強いにおいの香水をつけている人が周りにほとんどいないことに気付きます。私には強い香水を使っている西洋人の友人が何人かいるのですが、その人たちと一緒に電車に乗ると、周囲の乗客がその人たちを何となく遠ざけている様子が分かります。

日本ではきつい香水のにおいは歓迎されない

また、日本の寿司屋さんには、強い香水をつけた人の入店を断っている店もあります。それは、香水のにおいによって他の客が寿司を味わうことを妨げられる可能性があるからです。ベトナムでは、どんな香水をつけても自由ですが、日本ではマイルドな香りを選ぶか、香水を多くつけすぎないようにしてください。

豊かなあごひげを生やすのは慎重に

多くのベトナム人男性は豊かなあごひげを「男らしさ」の証しとして誇りに思っています。それはおそらく西洋文化の影響です。洋画に出てくる、ジーンズとヘビーデューティーなブーツをはいて大型バイクに乗り、豊かなあごひげを生(は)やしている俳優たちにあこがれて、若者がひげを生やす傾向が強まったのだと思います。しかし、日本の文化、特にビジネス社会では、豊かなあごひげはファッショントレンドとして広く支持されているわけではありません。

16~17世紀の日本では、ひげは権力の象徴でした。しかし、第二次世界大戦後、日本の文化は劇的に変化しました。産業や経済が発展し、サラリーマンがスーツを着て仕事に行くようになりました。ひげは毎日そって髪もきちんと整えるのが一般的になったのです。

最近は、若い日本人女性の多くが全身脱毛に多額のお金を使うほか、私の友人の日本人男性にも、顔や腕、脚などの脱毛をするためにサロンに通う人が何人かいます。彼らは、無駄な毛を処理することで清潔感を保てると考えています。ワキ毛を永久脱毛する男性も増えています。

大阪メトロ

ひげを巡っては、大阪市営地下鉄(現・大阪メトロ)の運転士だった男性2人が2016年、「『ひげはきれいにそること』とする職場の内規に従わずひげを伸ばしていたために、人事考課で低く評価された」として、大阪市を相手に訴訟を起こし、「ひげ」が話題になったこともあります。裁判所は「ひげをはやすのは個人の自由」として、大阪市に計44万円の慰謝料を支払うよう命じました。この裁判の影響で、日本人のひげに対する偏見が多少減ったと言えるかも知れません。

ただ、脱毛に走る若い日本人男性たちは「ひげはきれいにそり、全身の無駄な毛も処理した方が、特に女性に好印象を与える」と考えているようです。昔のアメリカ映画によく出てくるような豊かなあごひげが好きな人もそのことは一応知っておきましょう。