体験談(留学・高度)
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今回の先輩
Doan Hong Phuong(ドアン・ホン・フーン)さん
1996年生まれ、ブンタウ省出身
2014年 5月 Ngo Quyen 高校卒業
2014年 8月 ドンズー日本語学校 入学
2015年 9月 ドンズー日本語学校 卒業
2015年 10月 盛岡情報ビジネス専門学校日本語学科 入学
2017年 3月 盛岡情報ビジネス専門学校日本語学科 卒業
2017年 4月 岩手大学 入学
Doan Hong Phuong(ドアン・ホン・フーン)さん
1996年生まれ、ブンタウ省出身
2014年 5月 Ngo Quyen 高校卒業
2014年 8月 ドンズー日本語学校 入学
2015年 9月 ドンズー日本語学校 卒業
2015年 10月 盛岡情報ビジネス専門学校日本語学科 入学
2017年 3月 盛岡情報ビジネス専門学校日本語学科 卒業
2017年 4月 岩手大学 入学
はじめに
私は高校卒業後、ホーチミンの「ドンズー日本語学校」で1年間学んだ後に日本に行き、専門学校の日本語学科を経て国立大学に入学しました。ベトナムの大学に行く場合は、親のすねをかじるしかありませんが、日本に留学すれば、自分で働いて得たお金で大学に行けます。
日本を選んだのは、日本が好きだからです。「名探偵コナン」など日本アニメが好きですし、寿司や天ぷらなど日本の食文化も好きです。実際に日本に来て、空気がきれいですし、食べ物もおいしいので、楽しく生活しています。給料もベトナムより多いので、このまま日本で就職したいと思っています。
今回は、ベトナムで日本語をしっかり勉強してから留学することの大切さや日本の公共施設の活用の仕方を中心に私の留学体験をお伝えします。
訪日前にみっちり日本語学習
母の友人の娘さんが日本で働きながら留学していました。その人が留学前にドンズー日本語学校で勉強したと聞き、私もドンズーに応募しました。
ドンズー日本語学校は1991年に設立され、現在はベトナム南部を中心に7校で日本語教育を行っています。ホーチミンにある同校の「ビンミー留学生日本語センター」では、日本の大学に留学する学生を育成するためにハイレベルの日本語教育を行っています。私はこの日本語センターで1年間、寮生活をしました。日本語は初めてで、ゼロからのスタートでしたが、1年で日本語能力試験(JLPT)のN3程度のレベルになりました。
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N3に合格するまで平均2、3年かかる学校も多い中、1年でN3レベルになるための勉強は大変でした。授業は平日の朝から夕方までと土曜日の午前で、毎月、試験の成績でクラス分けが行われました。授業のレベルについていけず、途中で退学する人もいました。
私は夜や日曜日も自習で忙しく、故郷のブンタウ省までそれほど遠くはないのに帰省する時間がなかなか取れないので、両親の方から私に会いに来てくれました。
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ドンズーに入学する際は、仲介業者への手数料などは不要で、私は、学費と寮費とで合計約50,000,000ドン(1年分)を学校に支払いました。
日本語学校を経て国立大学入学
ドンズーでの1年間の勉強を経て、2015年10月、岩手県の「盛岡情報ビジネス専門学校日本語学科」に入りました。留学先の学校はドンズーでの成績で先生たちが決めます。ドンズーから一緒にこの学校に留学したのは私を含めて14人で、1年半後、ほとんどが日本の大学に進学しました。14人の中で私を含めて2人だけ盛岡に残ることになり、今は岩手大学人文社会科学部で経済を専攻しています。
公共施設や外国人サポートを利用しよう
私は、アルバイトは必要最小限にし、勉強時間をなるべく多く取るようにしています。今は、例えば大学のゼミの研究課題や英語のTOEIC対策などが主なテーマです。勉強場所には、大学の図書館をよく利用しています。静かで冷暖房もあり、ほかにも勉強している人がたくさんいます。
祝日で学校の図書館が休みのときや、用事で町の中心部に出たときは、公共図書館も利用しています。盛岡駅前の「いわて県民情報交流センター」の1~4階には岩手県立図書館があります。また、5階には岩手県国際交流協会が運営する「国際交流センター」があり、外国人向けの学習情報や交流イベントの情報が手に入るほか、生活や学習などの相談にも乗ってもらえます。日本語学習の資料もたくさんあるので、専門学校日本語学科時代は、ここの本をよく無料で借りました。
図書館
国際交流センター
日本での生活とアルバイト
日本に来て最初のアルバイトは新聞配達でした。ドンズーの卒業生に代々引き継がれているアルバイトです。新聞を各家庭に毎朝配るのは、日本独特の文化です。
私は朝4時に起きて6時まで配り、それから学校に行きました。電動自転車で約200軒の住宅のポストに新聞を届けます。1カ月約8万円の給料をもらえましたが、昼間、眠くて勉強に集中できないので、6カ月間でやめました。冬の朝の配達はとても寒かったですし、雨の日の配達がとても大変でした。
その後は、居酒屋などで働きました。 今のアルバイトはホテルでの宴会の給仕(時給1,100円)と技能実習の受入組合での通訳です。合計で毎月8万円~10万円もらっています。
以前に勤務した焼き肉店では、最初は厨房で皿洗いなどを担当しましたが、数カ月して日本語の会話力が上がってからは、注文を聞いたり料理を運んだりする接客の仕事に回りました。この担当になってからは、仕事を通じて日本語がさらに上達しました。その後、居酒屋でも同じように接客を担当しました。
[iconpress id="local_120" title="book" style="color:#525252; font-size:25px;" ]私の家計簿(1カ月の平均)
※100円=21,192 VND(2019年11月29日現在)
収入(合計80,000円~100,000円)
アルバイト2件(ホテル宴会給仕、通訳) | 合計80,000 円~100,000円 ※2018年度は、これに加えて岩手県から毎月20,000の奨学金 |
JASSOの奨学金 | 80,000円 |
支出(合計 70,000円~90,000円)
家賃(寮費) | 29,000円 ※1人暮らし、ワンルーム、wifi込み ※大学の寮なら15,000円だが、バイト先まで遠いので選ばなかった |
授業料 | 0円 ※成績優秀と認められ全額免除 ※これまでに入学金の29万円のみ(アルバイトで貯めたお金で納付) |
光熱費 | 12,000~13,000円 ※電気・水道・ガスの合計 |
インターネット | 0円 ※家賃に含む |
携帯電話 | 0円 ※wi-fiしか使わない |
食費 | 20,000円 ※バイト先の飲食店で格安で食べる日もある |
雑費 | 8,000円~28,000円 ※衣類、学習教材、交通費など |
毎月の差額(貯金)平均1~2万円
※大学の試験などでアルバイトがあまりできない場合や緊急の出費があった場合、貯金を取り崩して生活する月もある。
※ベトナムへの仕送りはなし。将来、就職活動などでお金がかかるので貯金をしている。
さまざまな交流活動に参加
日本では、様々な交流イベントに参加しました。大学で「多文化コミュニケーション」という授業があり、この授業の一環で年に2回、1泊2日の合宿交流会に参加して岩手県各地の中学生たちと交流しました。一緒に運動会のポスターを作ったり、1つの部屋に留学生2人、中学生2人が一緒に泊まっておしゃべりを楽しんだりしました。
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また、大学1年の時は、大学の先生の勧めで留学生7人で「浴衣コンテスト」に参加しました。私たち外国人が浴衣で並ぶ姿は地元の新聞に掲載されました。ドラマや映画で見た着物や浴衣に昔からあこがれていたので、初めて浴衣を着られてうれしかったです。大学の卒業式では着物を着る予定です。また、日本で就職したら、浴衣を着て花火大会に行きたいと思っています。
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私はこうして日本語を勉強した
私は日本に来て約2年半後、日本語能力試験(JLPT)のN1に合格しました。JLPT対策では、日本語レベルの高い先輩ベトナム人や友人に紹介されたテキストを使いました。その中で主なものを紹介します。
[iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 「新完全マスター」シリーズ(出版社:スリーエーネットワーク)
[iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 「耳から覚える 日本語能力試験」シリーズ(出版社:アルク)
[iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 「日本語能力試験問題集N1読解スピードマスター」
また、N1受験対策の講座をYou-tubeで探して何度も見ました。これら以外には、映画や化粧関係の日本語の動画をよく見ました。好きな分野の動画だと、言葉も覚えやすいからです。
ヒアリングの練習にはアニメも適しています。私は「名探偵コナン」をよく見ました。子どもの時から見ていてストーリーは何となく頭に入っているので、動画を楽しみながら日本語の発音やアクセントを学びました。これは、娯楽と勉強がセットになっているので、続けやすい学習方法だと思います。
今後の夢
私は日本で就職しようと思っています。その準備として、2019年7月には岩手県内の中小企業が集まる合同就職フェアに参加し、10月には地元の銀行やビール醸造所をゼミの仲間と一緒に見学しました。私は化粧が好きなので、化粧品関係の会社に就職できたら一番いいなあと思っています。
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日本は、空気がきれいで、公共交通も便利だし、道路や歩道もきれいです。日本の食事も大好きで、焼き肉やラーメン、居酒屋のいろんな料理のほか、盛岡名物のジャージャー麺も絶品です。また、今はアルバイトと勉強で旅行に行く時間がありませんが、就職活動が本格化したら、全国の大学に散らばっているドンズーの同窓生を訪ねて泊めてもらい、観光もしたいです。
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これから日本に留学する皆さんも、ベトナムでしっかり日本語を学んでから日本に来てくださいね。そうすることで、日本に来てからの勉強もアルバイトもとても充実したものになると思います。
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総まとめ:年金に関する重要ポイント
日本に住む外国人が年金制度について正しい知識を持たないためにさまざまな不利益を受けることがあります。「留学生は年金に入らなくてもよい」と聞いて、信じていたら、就職したときに数年分の年金保険料をまとめて請求された▽留学生向けの年金保険料免除手続きを知らなかった▽仕事中に大けがをして障害を負ったが、会社が従業員を年金に加入させていなかったので、「障害年金」を受給できない――などといったケースがたくさんあります。年金に関する正しい情報をまとめました。 年金の種類とメリット 日本の公的な年金制度として「厚生年金保険」と「国民年金」があります。日本に住む外国人にも加入する義務があり、大きく分けてサラリーマンが厚生年金保険、それ以外が国民年金に加入します。 年金保険料を支払うことで下記のような年金を受給できます。 ①老齢年金10年以上保険金を納めた人は、65歳になれば、年金を毎年受け取れます。これは海外で受け取ることもできます。受給額は納めた保険料の額によって変わります。 ②障害年金病気やけがで障害を負った場合に支給 ③遺族年金本人が亡くなった場合、配偶者か子どもに支給 数年だけ働く外国人の場合、特に注意が必要なのは②の障害年金です。仕事中に大きなけがをした場合、労災保険が支給されることがありますが、障害が残った場合、障害の程度によっては、さらに障害年金も支給されます。しかし、年金に加入していなかった人には支給されません。 年金制度全体についてくわしく知りたい場合は、下記の記事をお読みください。 健康保険と年金 留学生の年金と保険料免除 「厚生年金保険」は会社などが加入手続きを行いますが、「国民年金」は自分で加入し、自分で保険料を納めます。20歳以上の留学生も国民年金に入らなければなりません。国民年金の2022年度の保険料は毎月16,590円です。 加入方法 ・ 20歳以上で入国→市区町村の役所か近くの年金事務所で手続き ・ 19歳以下で入国→20歳の誕生日から約2週間以内に自宅に「国民年金加入のお知らせ」や年金保険料の納付書が届きます。 留学生の保険料免除 学生の場合、卒業まで保険料を納めなくてもよい「学生納付特例制度」がありますが、申請が必要です。申請せずに保険料を納めないと「滞納」になります。すると、日本で就職したときなどに、滞納していた保険料をまとめて請求されます。 「留学生は年金(保険料)を支払わなくてもよい」という情報がSNSなどに掲載されていることがありますが、それは間違いです。年金保険料を支払わなくてもよいのは、「学生納付特例制度」の適用を申請し、認められた場合だけです。 留学生の年金についてもっとくわしく知りたい場合は、下記の記事をお読みください。 「留学生は年金を払わなくてもよい」は間違い! 会社が従業員の年金加入を怠るケースもある 滞納した年金保険料の催告状(督促状) 会社が従業員を厚生年金保険に入れることは法律で決められた義務です。 厚生年金保険の保険料は会社と従業員が半分ずつ支払い、従業員の負担分は毎月の給与明細に記載されます。給与明細の「厚生年金」などの欄に金額が記入されていない場合は、あなたが厚生年金に入っていない可能性があります。そのときは次のように対処してください。 ・厚生年金保険への加入を会社に依頼する。 ・年金事務所に相談する。(その後、年金事務所が調査し、会社に加入を促します)。 「日本でエンジニアとして3年間働いた後、転職した。すると、最初の会社が自分を厚生年金に加入する手続きや年金保険料の支払いをしていなかったことが分かり、3年分の年金保険料を請求された」というケースもあります。くわしくは下記の記事で紹介しています。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 困りごと相談簿 file 10 会社でもこのようなケースがありますし、農業などの個人事業者が技能実習生を雇用している場合でも、年金の加入漏れが多数報告されています。注意してください。 給与明細をチェック! [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 給与明細の見方など 会社や雇用主があなたの年金保険料を払っているかどうかは、給与明細でチェックできます。給与明細の「厚生年金」などの欄に金額が書き込まれているかどうかをチェックしてください。 滞納した保険料を納めないとどうなる? 年金保険料を滞納し、役所からの督促に応じなかった場合、次のような重大な不利益を受ける可能性があります。 ・在留期間を更新できない。 ・財産(貯金や給料など)を差し押さえられる。 ・永住権を取得できない。 ・遺族年金や障害年金を受給できない。 滞納分をまとめて請求されて困った場合は、納付方法などについて、勤務先の会社や近くの年金事務所に相談しましょう。分轄納付もできますし、収入が少ない場合は、納付を一部免除してもらえるケースもあります。 「学生納付特例制度」は後から申請し、過去にさかのぼって適用してもらうこともできます。ただし、申請時点から2年1カ月前の分までにしか適用されません。 まとめ 日本に住む外国人に年金に関する正確な知識が行き渡っていません。この記事では年金に関するポイントをまとめました。 ・年金加入は在住者の義務・年金加入のメリット:老齢年金・年金加入のメリット:障害年金・年金加入のメリット:遺族年金・留学生が年金に加入する方法・留学生の年金保険料の免除手続き・会社が従業員を年金に加入させていないケース・給与明細をチェックしよう!・滞納した年金保険料を納めなかったらどうなるか? 日本に住む際、年金保険料の納付や免除手続きはとても重要です。わからないことは外国人向けの相談窓口や年金事務所などに確認してください。 [iconpress id="local_1803" title="external link" style="color:#525252; font-size:22px;" ] 総まとめ・ベトナム人向け相談窓口
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★基本情報=留学生の就活スケジュール
留学生の就活スケジュール 1.就職活動の全体スケジュール 2.自己分析(己を知る) 3.仕事と企業の研究(相手を知る) 4.インターンシップ 5.履歴書とエントリーシート 6.エントリーシートの書き方 7.エントリー・試験・面接・内定 留学生の就活スケジュール 「エントリー」「合同説明会」「会社説明会」「エントリーシート」「履歴書」「筆記試験」「面接」「内々定」。留学生の就職活動の進め方の全体像と、エントリーシートや面接の成否を分ける「自己PR」や「志望動機」を書くための準備について解説します。活動が遅れがちな留学生が多いので、全体の流れを理解し、早めの準備を心がけましょう。 1.就職活動の全体スケジュール 大学3年からスタート 大学3年・M1 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 インターンシップ説明会 夏のインターンシップ 秋のインターンシップ 合同説明会が多い(3月には大きな会社の単独説明会もある) 自己分析(価値観・興味・長所) 仕事(業界・職種・企業)の研究=検索、先輩訪問、企業訪問、インターンシップ 2022年卒業予定者の就活スケジュール 大学生の場合、日本での就職活動(就活)は3年生の最初から始まると考えてください。就職活動で一番大事なのは、自分にとってやりがいのある仕事を探すことです。自分の経験や知識、価値観をどのような分野で生かせばよいか、そのためにはどの企業のどの職種を目指すのがよいか、それを考え、研究する時期が大学3年生です。 また、3年のうちからインターンシップに積極的に参加しましょう。インターンについては、後で詳しく説明しますが、さまざまな職場や仕事を経験することで仕事選びのノウハウも高まり、自分の長所や課題に関する分析も深まります。そして、学年末に近付くと、いよいよ合同説明会などの会社説明会が始まります。就活の本格スタートです。 大学4年:エントリーシート提出→試験→面接 大学4年・M2 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 筆記試験・面接 内々定 内 定 式 ビ ザ 変 更 春のインターンシップ 4年生になっても会社説明会は続きます。多くの場合、4~6月に面接がありますが、それより遅い時期でもインターンシップや面接はあります。なかなか内々定が出なくてもあきらめないでください。 就職活動にかかる時間 就職活動には時間がかかります。 ・自己分析、会社探し……なるべく時間をかけて自己分析や会社探しをすることをお勧めしますが、短い期間でやろうとする場合でも会社探しには2、3カ月かかります。 ・正式な採用内定をもらうと在留資格変更の手続きに入りますが、変更手続きには通常3カ月ぐらいかかるので、大学4年の12月ごろに申請を行います。 2.自己分析(己を知る) 就活では、自分にとってやりがいのある仕事、自分の能力や適性を発揮できる職場を探しましょう。日本では、あまりに短い期間で転職をくり返すと、再就職先の選択肢が減っていきます。採用する側が「この人を採用しても長続きするのだろうか」と不安になるからです。長く働き続けるためにも、仕事を通じてやりがいを感じ充実した人生を過ごすためにも、自分に合った仕事や職場を見つけることが大切です。 そのための第一歩が自己分析です。自己分析ができていないと自分に合った仕事も分かりません。自分の経験(学校生活、社会活動、アルバイトなど)を振り返りながら、下記のようなポイントをくり返し分析してください。 ・自分の価値観 ・自分の興味 ・自分の能力(何が得意か、何ができるか) 3.仕事と企業の研究(相手を知る) 自分の価値観、興味、能力が見えてきたら、それに合う仕事や職場を探しましょう。それには、仕事や会社の内容を知らなければなりません。どのようにすれば、仕事や会社の内容を調べられるのでしょうか。 「なぜ当社で働きたいのですか?」 採用面接でよく聞かれる質問に次のようなものがあります。 ✔︎「なぜ当社を志望するのですか?」 ✔︎「なぜこの仕事をしたいのですか?」 ✔︎「あなたはどうやって当社に貢献できますか?」 自己分析や会社分析ができていないと、これらの質問に的確に答えられません。逆に、十分な自己分析と会社分析を経て応募した会社なら、その会社があなたに合っている確率が高く、こうした質問にも的確に答えることができます。 会社と仕事の研究 やりたい仕事、行きたい会社を探すには、次のような角度から情報を収集し分析していきましょう。 業界研究 興味のある業界を広く調べましょう。その業界はだれに何を提供しているのか、その業界で自分のできる仕事は何かなどを調べます。その際、学生は消費者に商品やサービスを提供しているB to C(Business to Consumer)の業界だけに目を向けがちですが、企業向けに商品やサービスを提供しているB to B(Business to Business)の業界についても調べましょう。 企業研究、職種研究 エントリーシートや面接で「この業界の中でなぜ当社を志望するのですか?」と問われたときに説得力のある答えを用意できるよう、会社の事業内容や強み、社風、他社との違いなどをしっかり調べましょう。当然、その会社にどういう職種があるのかも知らなければなりません。そのためには、例えば次のような方法があります。 ✔︎ インターネットで情報を集める ✔︎ 先輩に聞く(できれば、先輩に会って聞く) ✔︎ 会社説明会に参加する ✔︎ インターンシップでその会社か同業他社で働く 大学での専攻と就職の職種 学校での専攻と就職先の職種 留学生の場合、学校で専攻した内容と就職での職種が合致しないと、技術・人文知識・国際の在留資格を取得できないことがあります。在留資格の関係で自分にできる仕事とできない仕事があることに留意してください。 留学の専攻と就職時の職種 特定技能 また、中には日本で働くのは数年と決めている留学生もいることでしょう。その場合、「特定技能」という在留資格を目指す留学生も増えてきています。日本語能力試験(JLPT)・N4以上と働きたい産業分野の技能測定試験に合格し、企業と雇用契約を結べば、特定技能の在留資格を取得する条件がそろいます。 特定技能について何でも分かる 留学生の就活スケジュール 4.インターンシップ 自己分析が進み、仕事の研究にも役立つ 大手人材会社「マイナビ」の調査によると、2020年卒業の大学生の約80%がインターンシップに参加しました。1人がインターンシップをする会社の数は平均3・6社です。インターンシップは大学や専門学校のキャリア支援室(キャリアセンター、就職支援室)で紹介してもらえます。 自己分析を進める上でも仕事の研究を深める上でもインターンシップは重要です。>アルバイトとは違う種類の仕事も体験できます。実際にその仕事をしてみることで、その仕事が自分に向いているかどうか、自分にはどのような長所や課題があるのか、どんな仕事が自分に向いているのか、会社を選ぶ際には何に着目したらよいかなど、さまざまなことが見えてきます。 ✔︎ 仕事内容を具体的に理解できる ✔︎ 自分の長所や課題が分かる ✔︎ 仕事に必要な知識・能力・スキルがわかる ✔︎ エントリーシートや面接でPRするための経験にもなる ✔︎ さまざまな助言をもらえる ✔︎ 会社を見る目が養われる 採用型のインターンと体験型のインターン 人材不足(採用難)に伴い、インターンシップを実施する企業は増えています。面接だけでは人物を的確に評価しきれないケースも多いので、ミスマッチを防ぐため、企業がインターンシップを実施して有望な学生を採用するのです(採用型インターン)。一方、採用枠のない企業が学生に体験の場を提供するためにインターンシップを実施している場合もあります(体験型インターン)。 2カ月のインターンを経て内定を得た先輩留学生の体験談 日本のインターンシップの特徴 ・短いインターンも多い。1日だけのインターンもある。 ・学生がお金を払うことはない。逆にお金をもらうことはあり、その場合は、アルバイトと同じで1週間28時間以内。 5.履歴書とエントリーシート 履歴書とエントリーシートの違い 履歴書は自分のデータや経歴を示す書類で、履歴書に記載した氏名、生年月日、学歴などが従業員データとして使われます。また、履歴書は公的書類のため、虚偽を記載した場合は、採用取り消しや解雇の原因にもなり得ます。 エントリーシートは採用選考の重要資料です。多くの場合、志望動機や自己PR、学生時代にがんばったことなど、選考するために知りたい項目を企業が設定します。 エントリーシートと履歴書の内容重複はOK 選考前にエントリーシートと履歴書の両方を提出させる企業もあります。エントリーシートと履歴書は使う目的が違うので、内容にある程度の重複があっても構いません。 エントリーシートにと履歴書の両方に「自己PR」や「志望動機」の欄がある場合はどうしたらいいでしょうか?選考ではエントリーシートを中心に使うので、エントリーシートに詳しく書き、履歴書には、エントリーシートに書いた内容を要約して書いてもいいでしょう。 中には、履歴書だけでエントリーシートの提出を求めない企業もあります。その場合は、履歴書に自己PRや志望動機を詳しく書き込んでください。 手書きの履歴書 手書きの履歴書提出を求められた場合は、履歴書を通して記入の正確性や仕事のていねいさなどを見られます。誤字・脱字に注意し、間違えた場合は、なるべく最初から書き直すようにしましょう。 6.エントリーシートの書き方 自己PRと志望動機 エントリーシートでも面接でも最も重視されるのが「自己PR」と「志望動機」です。 ①自己PR 自己PR欄には、自分の長所や経験、売り込みたいポイントを少なくとも2、3点盛り込んでください。自分の長所や目標について書く際は、受験勉強や部活動、社会活動、アルバイト、インターンシップなど自分の体験やエピソードと結びつけて説明してください。そして、体験・経験やエピソードは具体的に分かりやすく書いてください。 ②志望動機 志望動機欄には、その会社の事業内容と自分の長所・経験とを結びつけ、自分がその会社のどの事業にどのように貢献できるか、どのような仕事をしたいかなどを具体的に書ければ、選考担当者の目にとまりやすくなります。面接の際にも、「志望動機」や「自己PR」の欄に書いたことをベースにして自分をPRするとよいでしょう。 志望企業の事業内容や強み、特色、社風を調べるためには、ウェブサイトの企業情報やその会社のホームページなどをまず調べましょう。また、ネットだけではなく、インターンシップに参加したり先輩を訪ねたりしてリアルな情報も収集するようにしてください。そのような努力はエントリーシートや面接に必ず生きてきます。 ③その他の注意点 ・他人のエントリーシートの丸写しに近い記述では、面接で質問された際に自分の長所や経験を相手にうまく伝えられません。自分の言葉で書きましょう。 ・経験・体験はできるだけ具体的に書きましょう。 最大のPRは自分の人柄と経験 自分の経験やそこから得たことを文章に具体的に盛り込もう 就活では自己表現の仕方などノウハウだけにとらわれがちですが、最も重要なのはあなたの経験や蓄積、人柄です。勉強やアルバイト、社会活動など、あなたがまじめに取り組み真剣に努力した経験があれば、それを大事に考え、自信を持って売り込んでください。逆に、これから留学する人やまだ留学歴の浅い人は、就活にも役立つように、学習や経験、交流などを積み重ねてください。 7.エントリー・試験・面接・内定 エントリーシート 興味のある企業が見つかったら、人材会社のサイトなどを通じて「エントリー」という手続きをします。1人が平均20~30社にエントリーしています。エントリーしたからといって、会社説明会への参加やエントリーシートの提出を義務付けられるわけではないので、多めにエントリーするとよいでしょう。人材会社のサイトから企業にエントリーした後、その企業からエントリーシートの提出を求められることもあります。その会社に就職したい場合は、応じましょう。 3月までは主に会社説明会だけで、選考はその後です。このため、エントリーシートの提出は4月以降が大半です。 筆記試験 エントリーシートでの書類選考を通過すると、筆記試験を受けます。試験は、語彙力や読解力を問う「言語」、計算力などを測る「非言語」、「性格・適性」の3カテゴリーに分けられます。「英語」「時事」「作文」などを課す企業もあります。 面接 書類選考と筆記試験を通過すると、いよいよ面接です。面接には下記のような形式があります。 ・個人面接…学生は1人。15~20分。 ・集団面接…2、3人同時に面接を受ける。一次面接に多い。 ・グループディスカッション…与えられたテーマについて数人で議論する。 「あなたはいつまで日本で働きますか?」 留学生の場合、志望動機や自己PR以外に面接前に準備することがあります。それは「あなたはいつまで日本で働きますか?」という質問への答えです。KOKORO編集部が取材した留学生の中には永住OKという人もいますが、「いつか母国に帰る」と考えている人の方が多数でした。 このことはエントリーシートに書く必要はありません。しかし、外国人留学生の場合、面接で高い確率で聞かれる質問です。いつごろ母国に帰るつもりかについて自分の計画を正直に伝えるべきか否か、悩むところですし、返答に対する会社の反応もさまざまです。しかし、どう答えるか考えておかないと、面接で急に聞かれても適切に答えられません。準備が必要です。 内定 採用内定が出れば、特別な事情がない限り、卒業後にその会社に就職できます。正式な内定の前に出される「内々定」も内定とほとんど同じ意味で用いられます。約8割の学生が大学4年の7月末までに1社以上から内々定をもらうという調査結果もあります。特に中堅・中小企業の採用は大企業よりも先に進むことが多いので、情報入手と早め早めの行動を心がけてください。
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Vol. 29 特集:N1・N2合格者たちの学習の秘訣
Vol. 28では、日本に行って3年以内に日本語能力試験(JLPT)のN1かN2に合格した先輩たちが使っていた学習ツールを紹介しました。今回は、先輩たちが後輩の留学生や技能実習生に向けて語った耳寄りな勉強のこつをご紹介します。 先輩1(N1、技能実習、女性) ・寮で勉強…夕食後、だれもいなくなった寮の食堂でYou Tube動画やテキスト、CDで1人で勉強しました。 ・職場で日本人と会話…日本人と話す機会の多い職場でした。このことが私の日本語力の向上に役立ちました。仕事のことで分からないことがあったら、すぐに日本人をつかまえて話しかけました。日本人の先輩たちは皆さんとても親切に対応してくれました。 この先輩の体験談 先輩2(N1、留学、女性) 公共図書館を利用 ・訪日前にみっちり勉強…ドンズー日本語学校で1年間寮生活。日本語はゼロからのスタートでしたが、1年でJLPTのN3程度のレベルになりました。夜や休日も自習で忙しく、ホーチミンからブンタウ省まで帰省する時間もないほどでした。 ・図書館で勉強…大学の図書館をよく利用しています。静かで冷暖房もあり、ほかにも勉強している人がたくさんいます。大学の図書館が休みのときなどは、公共図書館も利用しています。 ・国際交流センター…地元の国際交流協会が運営する「国際交流センター」では、外国人向けの学習情報や交流イベントの情報が手に入るほか、生活や学習の相談にも乗ってもらえます。日本語学習の資料もたくさんあります。 この先輩の体験談 先輩3(N2、留学、女性) ・訪日前に安い日本語学校利用…私はハノイ国家大学時代、民間の日本語教室で勉強し、JLPTのN4を取得してから訪日しました。ハノイでは、授業料が安いSOFLという教室に週2、3回通いました。授業料は4カ月で400万ドンでした。 この先輩の体験談 先輩4(訪日10カ月でN3、技能実習、男性) ・ビデオ電話で授業…送出機関では、授業にも宿題にも真面目に取り組み、You Tubeでも勉強して、約300人の中で一番の成績でした。送出機関の先生(N2)には、今でもメッセンジャーのビデオ電話で文法などを教えてもらっています。1回1時間で、月に10回です。 ・休憩時間に勉強…Facebookで紹介されている単語や模擬試験の問題などを携帯電話に保存し、仕事の休憩時間に覚えています。分からない問題は、周りの日本人に聞くと、皆さん親切に教えてくれます。 この先輩の体験談 先輩5(N1、技能実習、男性) ・先々まで予習…訪日前に日本語センターで使った「みんなの日本語」は1~25課がN5向け、26~50課がN4向けで、授業で35課まで習いました。私は自分で50課まで勉強してから日本に行きました。成績は約200人の中で最後は一番でした。先に自習したことを授業で復習するので、よく覚えられたのだと思います。 ・仕事の合間などに勉強…機械にワイヤーを設置した後、ワイヤーが加工されて機械から出てくるのを待つ時間が長いので、その間にも日本語を勉強しました。 ・残業を断って勉強…残業はなるべく入れないように会社にお願いし、夜の勉強時間を確保しました。「技能実習3年分の残業代」と「日本語を身につけた後に何年にもわたって稼げるお金」を比較し、「目先のお金」より「将来の仕事と生活」を選んだのです。 ・公共施設を利用…週末は、アパートか県立図書館で勉強しました。図書館はエアコンが効いていて快適ですし、静かなので、勉強に最適でした。 ・ボランティア日本語教室…地元の大学でボランティアの日本人が無料の日本語教室(日曜日に2時間)を開いており、いろんな国の人と一緒に勉強しました。 ・留学感覚で技能実習…同僚は休日は遅くまで眠るかスマートフォンで遊び、だれも日本語の勉強をしていませんでした。私は「生活費を稼ぎながら日本に留学(自習留学)」という感覚で、できるだけ学習に時間を取りました。勉強に集中するため最初の2年間はFacebookもやめたほどでした。 この先輩の体験談 先輩6(N2、技能実習、男性) ・訪日前に猛勉強…送出機関で半年間勉強しました。クラス36人の中で1、2番の成績でした。そのためには、自習もがんばりました。7時~11時と19時~22時に自分で勉強しました。1日のうち授業が4時間、自習が7時間でした。さらに、試験前には朝2時~5時にも自習をしました。ほかにも同じように努力している人が何人かいました。 ・少し話せる状態で日本に行こう…ほとんど話せない状態で日本に行く人もいますが、その場合は、行ってから苦労します。そして、基礎的な日本語力や学習の習慣がついていないので、日本に3年間住んでも日本語はあまり上達しません。 この先輩の体験談 先輩7(N2、技能実習、男性) ・毎日勉強…日本に行ってからも毎日勉強し、訪日2年目に日本語能力試験(JLPT)のN2に合格しました。土曜・日曜も4時間ぐらい勉強しました。 ・休憩時間や移動時間にも勉強…単語や文法はFacebookの学習ページを携帯電話に保存し、仕事の休憩時間や移動の車内で覚えました。 この先輩の体験談 先輩8(一流通訳、留学、女性) ・アルバイトで日本語…最初のアルバイトは日本語学校からの紹介で、スーパーでの仕事でしたが、日本人との会話が少なかったので、半年間でやめました。当時は留学生のアルバイト先が少なく、求人雑誌を見て電話しても面接にこぎつけるが困難でした。そこで、ハローワークに行って、担当者から「仕事を探しているベトナム人留学生がいますが、どうですか」と電話してもらい、面接を受けて合格しました。居酒屋で、お客さんの注文を聞いたり料理を運んだりしました。店長や店員との会話も多く、日本語の練習になりました。 ・授業態度と図書館…日本語学校では、アルバイトで疲れて授業中に眠る人も多くみかけましたが、なんとしても日本語を身につける覚悟で留学したので、眠らないようにがんばりました。また、週末は、近くの公共図書館に行って勉強しました。 ・ボランティア日本語教室…日本人のボランティア数名が毎週水曜に1時間半ぐらい外国人と会話する日本語サークルを開いていました。私はこの日はバイトを入れず、毎週ここに行きました。日本人教師1人、外国人4、5人の少人数教室でした。これ以外に、ボランティアによる無料の料理教室にも参加しました。これらの教室やアルバイト先での会話が日本語力の向上に大きく役立ちました。 この先輩の体験談 先輩9 (N2、技能実習、女性) ・職場の日本人と交流…職場の日本人たちは親切でした。仕事もていねいに教えてくれ、週末に雪や雨で自転車に乗りにくいときは、車で買い物に連れて行ってくれました。食事や観光にもよく連れて行ってくれました。先輩たちとは、遊びでも仕事の休憩時間でもよく一緒におしゃべりをしました。楽しかったですし、日本語の会話力もつきました。技能実習は、給料だけではなく職場環境も大事だと思いました。 ・残業少なく勉強時間確保…残業が少なかった分、仕事が終わってから毎晩2時間、日本語の勉強ができました。また、よい送出機関を選んだので、借金なしで訪日できました。 ・ボランティア日本語教室…毎週末、日本人のボランティアによる無料の日本語教室(2時間)に通いました。 ・日本語で日記…1年間、日本語で日記を書き、それを職場のリーダーに時々添削していただきました。 この先輩の体験談 先輩10(N2、技能実習、男性) ・早寝早起きで勉強時間確保…実習先の寮は4人部屋だったので、集中できるように仲間が眠っている時間に勉強しました。夜11時に寝て朝4時に起き、6時まで勉強です。 ・休憩時間にも勉強…昼休みにも30分間、勉強しました。 ・職場で日本人と会話…帰国後の仕事を考えた結果、お金を稼ぐだけではなく日本語学習をがんばろうと思いました。そして、机上の学習に加え、できるだけ会話の機会を作りました。職場では、日本人に積極的に話しかけ、休日もいろいろな人と交流しました。 ・ボランティア日本語教室…日曜日に2時間、日本人ボランティアによる日本語授業を受けました。様々な国の生徒がおり、ここでの共通言語は日本語で、休日も日本語を使う機会ができました。 この先輩の体験談 先輩11(N1、留学、女性) ・日本語で日記…日本語学校時代、先生に積極的に日本語で質問し、授業後も図書室で3時間勉強しました。また、日本語で日記を毎日書き、学校の先生に時々添削してもらいました。 ・アルバイト先で日本人と会話…日本人とたくさん話すように心がけました。アルバイトは居酒屋が中心で、勤務中にたくさん会話できました。 この先輩の体験談 先輩12(N2、留学、女性) アルバイトが終わり、日本人の先輩・後輩とおしゃべりタイム ・半年間の集中学習…日本語がほとんど分からない状態で訪日しましたが、半年間はアルバイトに行かず、授業も自由時間も日本語の勉強に専念しました。その結果、半年間でJLPTのN3のレベルになりました。 ・アルバイトで日本語…大学の紹介で食品工場でアルバイトをしましたが、会話力がついたので居酒屋に採用され、3年半働きました。お客さんから注文を聞いたほか、休憩時間や終了後に日本人のアルバイト仲間とたくさん会話をし、日本語が上達しました。 ・新しく覚えた言葉を実際に会話で使う…勉強で工夫した点は、漢字やフレーズを紙に書き、声を出して覚える▽新しく覚えた単語や文法を実際の会話ですぐに使う▽使い方や意味が分からなければ日本人に聞く▽mazziなどのアプリも活用する――といったことでした。 この先輩の体験談 いかがでしたか? せっかく日本に滞在するので、成功した先輩たちの経験やアドバイスを生かし、あなたの留学や技能実習を実り多いものにしてくださいね。日本語学習の秘けつについては、下記のページにも詳しくまとめられていますので、参照してください。 留学で日本語を身に付ける7つのこつ 技能実習で日本語を身に付ける7つのこつ Vol. 28では、日本に行って3年以内に日本語能力試験(JLPT)のN1かN2に合格した先輩たちが使っていた学習ツールを紹介しました。今回は、先輩たちが後輩の留学生や技能実習生に向けて語った耳寄りな勉強のこつをご紹介します。 先輩1(N1、技能実習、女性) ・寮で勉強…夕食後、だれもいなくなった寮の食堂でYou Tube動画やテキスト、CDで1人で勉強しました。 ・職場で日本人と会話…日本人と話す機会の多い職場でした。このことが私の日本語力の向上に役立ちました。仕事のことで分からないことがあったら、すぐに日本人をつかまえて話しかけました。日本人の先輩たちは皆さんとても親切に対応してくれました。 この先輩の体験談 ベトナム人がたくさん務める商社に就職 ・訪日前にみっちり勉強…ドンズー日本語学校で1年間寮生活。日本語はゼロからのスタートでしたが、1年でJLPTのN3程度のレベルになりました。夜や休日も自習で忙しく、ホーチミンからブンタウ省まで帰省する時間もないほどでした。 ・図書館で勉強…大学の図書館をよく利用しています。静かで冷暖房もあり、ほかにも勉強している人がたくさんいます。大学の図書館が休みのときなどは、公共図書館も利用しています。 ・国際交流センター…地元の国際交流協会が運営する「国際交流センター」では、外国人向けの学習情報や交流イベントの情報が手に入るほか、生活や学習の相談にも乗ってもらえます。日本語学習の資料もたくさんあります。 公共図書館を利用 この先輩の体験談 先輩3(N2、留学、女性) ・訪日前に安い日本語学校利用…私はハノイ国家大学時代、民間の日本語教室で勉強し、JLPTのN4を取得してから訪日しました。ハノイでは、授業料が安いSOFLという教室に週2、3回通いました。授業料は4カ月で400万ドンでした。 この先輩の体験談 先輩4(訪日10カ月でN3、技能実習、男性) ・ビデオ電話で授業…送出機関では、授業にも宿題にも真面目に取り組み、You Tubeでも勉強して、約300人の中で一番の成績でした。送出機関の先生(N2)には、今でもメッセンジャーのビデオ電話で文法などを教えてもらっています。1回1時間で、月に10回です。 ・休憩時間に勉強…Facebookで紹介されている単語や模擬試験の問題などを携帯電話に保存し、仕事の休憩時間に覚えています。分からない問題は、周りの日本人に聞くと、皆さん親切に教えてくれます。 この先輩の体験談 先輩5(N1、技能実習、男性) ・先々まで予習…訪日前に日本語センターで使った「みんなの日本語」は1~25課がN5向け、26~50課がN4向けで、授業で35課まで習いました。私は自分で50課まで勉強してから日本に行きました。成績は約200人の中で最後は一番でした。先に自習したことを授業で復習するので、よく覚えられたのだと思います。 ・仕事の合間などに勉強…機械にワイヤーを設置した後、ワイヤーが加工されて機械から出てくるのを待つ時間が長いので、その間にも日本語を勉強しました。 ・残業を断って勉強…残業はなるべく入れないように会社にお願いし、夜の勉強時間を確保しました。「技能実習3年分の残業代」と「日本語を身につけた後に何年にもわたって稼げるお金」を比較し、「目先のお金」より「将来の仕事と生活」を選んだのです。 ・公共施設を利用…週末は、アパートか県立図書館で勉強しました。図書館はエアコンが効いていて快適ですし、静かなので、勉強に最適でした。 ・ボランティア日本語教室…地元の大学でボランティアの日本人が無料の日本語教室(日曜日に2時間)を開いており、いろんな国の人と一緒に勉強しました。 ・留学感覚で技能実習…同僚は休日は遅くまで眠るかスマートフォンで遊び、だれも日本語の勉強をしていませんでした。私は「生活費を稼ぎながら日本に留学(自習留学)」という感覚で、できるだけ学習に時間を取りました。勉強に集中するため最初の2年間はFacebookもやめたほどでした。 この先輩の体験談 先輩6(N2、技能実習、男性) ・訪日前に猛勉強…送出機関で半年間勉強しました。クラス36人の中で1、2番の成績でした。そのためには、自習もがんばりました。7時~11時と19時~22時に自分で勉強しました。1日のうち授業が4時間、自習が7時間でした。さらに、試験前には朝2時~5時にも自習をしました。ほかにも同じように努力している人が何人かいました。 ・少し話せる状態で日本に行こう…ほとんど話せない状態で日本に行く人もいますが、その場合は、行ってから苦労します。そして、基礎的な日本語力や学習の習慣がついていないので、日本に3年間住んでも日本語はあまり上達しません。 この先輩の体験談 先輩7(N2、技能実習、男性) ・毎日勉強…日本に行ってからも毎日勉強し、訪日2年目に日本語能力試験(JLPT)のN2に合格しました。土曜・日曜も4時間ぐらい勉強しました。 ・休憩時間や移動時間にも勉強…単語や文法はFacebookの学習ページを携帯電話に保存し、仕事の休憩時間や移動の車内で覚えました。 この先輩の体験談 先輩8(一流通訳、留学、女性) ・アルバイトで日本語…最初のアルバイトは日本語学校からの紹介で、スーパーでの仕事でしたが、日本人との会話が少なかったので、半年間でやめました。当時は留学生のアルバイト先が少なく、求人雑誌を見て電話しても面接にこぎつけるが困難でした。そこで、ハローワークに行って、担当者から「仕事を探しているベトナム人留学生がいますが、どうですか」と電話してもらい、面接を受けて合格しました。居酒屋で、お客さんの注文を聞いたり料理を運んだりしました。店長や店員との会話も多く、日本語の練習になりました。 ・授業態度と図書館…日本語学校では、アルバイトで疲れて授業中に眠る人も多くみかけましたが、なんとしても日本語を身につける覚悟で留学したので、眠らないようにがんばりました。また、週末は、近くの公共図書館に行って勉強しました。 ・ボランティア日本語教室…日本人のボランティア数名が毎週水曜に1時間半ぐらい外国人と会話する日本語サークルを開いていました。私はこの日はバイトを入れず、毎週ここに行きました。日本人教師1人、外国人4、5人の少人数教室でした。これ以外に、ボランティアによる無料の料理教室にも参加しました。これらの教室やアルバイト先での会話が日本語力の向上に大きく役立ちました。 この先輩の体験談 先輩9 (N2、技能実習、女性) ・職場の日本人と交流…職場の日本人たちは親切でした。仕事もていねいに教えてくれ、週末に雪や雨で自転車に乗りにくいときは、車で買い物に連れて行ってくれました。食事や観光にもよく連れて行ってくれました。先輩たちとは、遊びでも仕事の休憩時間でもよく一緒におしゃべりをしました。楽しかったですし、日本語の会話力もつきました。技能実習は、給料だけではなく職場環境も大事だと思いました。 ・残業少なく勉強時間確保…残業が少なかった分、仕事が終わってから毎晩2時間、日本語の勉強ができました。また、よい送出機関を選んだので、借金なしで訪日できました。 ・ボランティア日本語教室…毎週末、日本人のボランティアによる無料の日本語教室(2時間)に通いました。 ・日本語で日記…1年間、日本語で日記を書き、それを職場のリーダーに時々添削していただきました。 この先輩の体験談 先輩10(N2、技能実習、男性) ・早寝早起きで勉強時間確保…実習先の寮は4人部屋だったので、集中できるように仲間が眠っている時間に勉強しました。夜11時に寝て朝4時に起き、6時まで勉強です。 ・休憩時間にも勉強…昼休みにも30分間、勉強しました。 ・職場で日本人と会話…帰国後の仕事を考えた結果、お金を稼ぐだけではなく日本語学習をがんばろうと思いました。そして、机上の学習に加え、できるだけ会話の機会を作りました。職場では、日本人に積極的に話しかけ、休日もいろいろな人と交流しました。 ・ボランティア日本語教室…日曜日に2時間、日本人ボランティアによる日本語授業を受けました。様々な国の生徒がおり、ここでの共通言語は日本語で、休日も日本語を使う機会ができました。 この先輩の体験談 先輩11(N1、留学、女性) ・日本語で日記…日本語学校時代、先生に積極的に日本語で質問し、授業後も図書室で3時間勉強しました。また、日本語で日記を毎日書き、学校の先生に時々添削してもらいました。 ・アルバイト先で日本人と会話…日本人とたくさん話すように心がけました。アルバイトは居酒屋が中心で、勤務中にたくさん会話できました。 この先輩の体験談 先輩12(N2、留学、女性) ・半年間の集中学習…日本語がほとんど分からない状態で訪日しましたが、半年間はアルバイトに行かず、授業も自由時間も日本語の勉強に専念しました。その結果、半年間でJLPTのN3のレベルになりました。 ・アルバイトで日本語…大学の紹介で食品工場でアルバイトをしましたが、会話力がついたので居酒屋に採用され、3年半働きました。お客さんから注文を聞いたほか、休憩時間や終了後に日本人のアルバイト仲間とたくさん会話をし、日本語が上達しました。 ・新しく覚えた言葉を実際に会話で使う…勉強で工夫した点は、漢字やフレーズを紙に書き、声を出して覚える▽新しく覚えた単語や文法を実際の会話ですぐに使う▽使い方や意味が分からなければ日本人に聞く▽mazziなどのアプリも活用する――といったことでした。 アルバイトが終わり、日本人の先輩・後輩とおしゃべりタイム この先輩の体験談 いかがでしたか? せっかく日本に滞在するので、成功した先輩たちの経験やアドバイスを生かし、あなたの留学や技能実習を実り多いものにしてくださいね。日本語学習の秘けつについては、下記のページにも詳しくまとめられていますので、参照してください。 留学で日本語を身に付ける7つのこつ 技能実習で日本語を身に付ける7つのこつ
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技能実習とアルバイト、ここに気をつけよう(生活編)
食品工場で多数の技能実習生やアルバイト留学生と関わってきた立場から、前回は、仕事上の注意点を紹介しました。今回は、私生活での注意点をお伝えします。平穏で快適な日本在留をするため、下記の点に注意してください。 寮生活、ここに気をつけよう ● 貴重品をきちんと管理する - 個人の持ち物・お金・重要書類は紛失しないよう、しっかり保管しましょう。特にお金の紛失はルームメートにあらぬ疑いをかけることにもなり、仲間同士の信頼関係を壊してしまいます。 ● 人の物を勝手に使わない - 冷蔵庫の中の食べ物や室内の化粧品・衣服・アクセサリーなどを持ち主の許可なく使わないこと。 ● 金の貸し借りをしない - お金の貸し借りはしないこと。後で争いのきっかけになります。 ● 部外者をむやみに寮の部屋に入れない - 寮に住むことができる人は契約で決まっており、他の人を住ませることはできません。また、寮の規則で、外部から人を招くことができない場合や事前に許可が必要な場合があります。 ● 騒音を出さない - 寮に友だちを誘って、歌ったり踊ったりして騒ぐケースがあります。また、仲間の誕生祝いや歓迎会、お別れ会などで多人数で部屋に集まり、宴会をすることがあります。そのときに大きな声で騒いだり大音量の音楽をかけたりすると、周りの住人に迷惑がかかります。あなたの会社に苦情が寄せられることもあります。 ● ゴミの分別が重要 - ゴミを分類することや決められた日に決められた場所にゴミを出すことは、日本では非常に大事です。分類の仕方がわからない場合や大きなゴミを出す場合、大量にゴミを出す場合は、会社か通訳に相談してください。 外出や旅行の際は、ここに気をつけよう ● 旅行は会社に事前報告 - 旅行のスケジュールが決まり次第、会社に報告することをお勧めします。どこに行くのか、出発日や戻ってくる日、交通手段、宿泊先などを伝えておくと、会社の人は安心しますし、何かあった際に会社の人が対応をしやすくなります。 ● 身分証明書など必要書類を携帯 - 在留カードなど必要時に自分の身分を証明できる書類を常時、携帯しましょう。 ● 交通安全やルールを厳守する - 日本ではベトナムに比べて交通ルールをしっかり守ります。車やバイクのドライバーは、みんなが交通ルールを守るという前提で運転をしていますので、歩行者や自転車が信号無視などをすると、周りが予期しない行動となり、交通事故に遭う確率が高くなります。 その他、ここに気をつけよう ● 不法行為に誘われても応じないこと - 私の見聞きした範囲で、ベトナム人技能実習生が友人のベトナム人に誘われて、スーパーで万引きをしたり失踪(不法滞在)したりするケースがいくつかありました。万引きはもちろん犯罪ですが、実習生が入管に届けた実習先以外で働くと不法就労となり、やはり犯罪です。その場合、技能実習の在留資格も無効になるので、不法滞在にもなります。 以上が、生活面での注意点です。一人一人の行動が在留ベトナム人全体の評判につながります。これから日本に来るベトナム人の後輩のためにも、自覚を持って行動しましょうね。