体験談(技能)

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By KOKORO(毎日新聞社+VAIJ主催、在ベトナム日本国大使館など後援)

日本で技能実習をするためには送出機関に依頼しなければなりません。多くの人が親戚や知人、学校の先生などの紹介で送出機関を選んでいますが、実は、送出機関によって費用や教育内容に大きな差があります。自分で情報を集めてよい送出機関を選び、自分で送出機関に連絡することで、費用を大きく節約することができます。

それでは、先輩の技能実習生たちが送出機関に支払った費用はいくらでしょうか?KOKORO編集部が取材した中から8人の実例を紹介します。最後の2社だけが規定の範囲内の費用です。送出機関によって総費用にどれぐらいの差があるのか……驚かないでくださいね。

※100円=21,678VND(2020年4月8日現在)

ケース1:総額187,500,000 VND

・送出機関の所在地:ハノイ

・送出機関の選び方:親の知人の紹介

・技能実習開始年:2017年(食品工場)

・技能実習3年間の送金額=約200万円(約436,820,000 VND)

[iconpress id="local_3262" title="sad" style="color:rgba(215,0,0,1); font-size:25px;" ] 送出機関等に支払った費用

寮費(7カ月分) 500,000 VND
食費(7カ月分) 14,000,000 VND
授業料(7カ月分) 8,000,000 VND
渡航時(送出手数料) 165,000,000 VND
合計 187,500,000 VND

※送出機関に支払った費用の中から、紹介者(親の知人)に1,000 USD相当の謝礼が支払われた。

※渡航時に実際には165,000,000ドンを支払ったが、領収証は3,600ドル分だけだった。ベトナム政府が決めた上限と同額の領収証だが、実際の支払いは領収証記載額の約2倍だった。

【編集部からのアドバイス】

技能実習制度では、仲介者(紹介エージェント)が介入したり仲介者が手数料を受け取ったりすることを送出機関が認めることは禁じられています。在ベトナム日本国大使館は、送出機関を選ぶ際は、仲介者を通さず送出機関に直接連絡(電話・電子メールなど)するよう呼びかけています。送出機関に直接コンタクトしてうまくいかない場合は、別の送出機関を選ぶこともできます。

※仲介業者に関する在ベトナム日本国大使館公式サイトのページ
 
※外国人技能実習機構(OTIT)が公表している送出機関の一覧

【編集部からのアドバイス】

ベトナム政府の規定では、日本語の事前教育費は約520時間に対し590万ドン以下、送出手数料は3,600ドル以下(3年契約の場合)となっています。また、日本への往復の旅費は日本の技能実習先(受入企業)が負担することになっています。これらを上回る金額の場合は、内容を確認した上で領収書をもらいましょう。また、金額が不透明な場合は、他の送出機関の選択も検討しましょう。

ケース2:総額145,000,000 VND

・送出機関の所在地:ハノイ

・送出機関の選び方:親戚の知人の紹介

・技能実習開始年:2016年(食品工場)

・技能実習3年間の送金=約280万円(611,548,000 VND)

[iconpress id="local_3262" title="sad" style="color:rgba(215,0,0,1); font-size:25px;" ] 送出機関等に支払った費用

紹介手数料 20,000,000 VND
寮費(6カ月分) 15,000,000 VND
授業料(6カ月分) 20,000,000 VND
渡航時(送出手数料) 90,000,000 VND
合計 145,000,000 VND

※「紹介手数料」は親戚の知人への支払い

※「送出手数料」には日本に行く飛行機代も含む(=本当は払わなくてよい)

ケース3:総額180,000,000 VND

・送出機関の所在地:ハノイ

・送出機関の選び方:学校の先生の紹介

・技能実習開始年:2015年(工場)

・技能実習3年間の送金=約150万円

(327,615,000 VND)

[iconpress id="local_3262" title="sad" style="color:rgba(215,0,0,1); font-size:25px;" ] 送出機関等に支払った手数料

紹介手数料 なし VND
寮費(7カ月分) 120,000,000 VND
授業料(7カ月分)
送出手数料
教科書
食費、雑費 60,000,000 VND
合計 180,000,000 VND

 ※「送出手数料」には日本に行く飛行機代も含む(=本当は払わなくてよい)

ケース4:総額220,000,000 VND

・送出機関の所在地:ハノイ

・送出機関の選び方:友人が使った送出機関

・技能実習開始年:2016年(食品工場)

・技能実習3年間の送金=約250万円

(546,025,000 VND)

[iconpress id="local_3262" title="sad" style="color:rgba(215,0,0,1); font-size:25px;" ] 送出機関等に支払った手数料

紹介手数料 10,000,000 VND
寮費(6カ月分) 210,000,000 VND
授業料(6カ月分)
渡航時(送出手数料)
合計 220,000,000 VND

ケース5:総額142,000,000 VND

・送出機関の所在地:ハノイ

・送出機関の選び方:大学で説明があった

・技能実習開始年:2014年(工場)

・技能実習3年間の送金=約200万円

(約436,820,000 VND)

[iconpress id="local_3262" title="sad" style="color:rgba(215,0,0,1); font-size:25px;" ] 送出機関に支払った費用

紹介手数料 不明 VND
寮費(4カ月分) 142,000,000 VND
授業料(4カ月分)
渡航時(送出手数料)
合計 142,000,000 VND

※これ以外に渡航時に「保証金」として2,000 USDを送出機関に預け、帰国後に返してもらった。技能実習の途中で失踪しないようにするための保証金だった。

【編集部からのアドバイス】

ベトナム政府の規定では、送出機関が保証金を預かることは禁止されています。

ケース6:総額140,000,000 VND

・送出機関の所在地:ハノイ

・送出機関の選び方:親戚の勤務先

・技能実習開始年:2018年(建設)

(917,322,000 VND)

・技能実習3年間の送金(見込み)=約420万円

※【編集部・註】日本でどんなに節約しても、これほど大きな金額を送金できるケースはめったにありません。

[iconpress id="local_3262" title="sad" style="color:rgba(215,0,0,1); font-size:25px;" ] 送出機関に支払った費用

紹介手数料 なし VND
寮費(6カ月分) 140,000,000 VND
授業料(6カ月分)
渡航時(送出手数料)
合計 140,000,000 VND

 

ケース7:総額90,000,000 VND

・送出機関の所在地:ホーチミン

・送出機関の選び方:インターネットのレビューをよく読んで、よさそうな送出機関を探した

・技能実習開始年:2015年(工場)

・技能実習3年間の送金=約200万円(約436,820,000 VND)

[iconpress id="local_99" title="smile" style="color:rgba(0,207,249,1); font-size:25px;" ] 送出機関に支払った費用

紹介手数料 なし VND
寮費 なし(通学) VND
授業料(12カ月分) 90,000,000 VND
送出手数料
合計 90,000,000 VND

 

 

【編集部によるこの送出機関への取材結果】

※有料の紹介は受けない

※寮はあるが、強制ではない

※行政が決めた費用の上限を守っている

※この人は社会人向けの日本語コースに1年間通った

ケース8:総額105,000,000 VND

・送出機関の所在地:ハノイ

・送出機関の選び方:親戚の勤務先

・技能実習開始年:2019年(食品工場)

・技能実習3年間の送金(見込み)=約300万円(約655,230,000 VND)

[iconpress id="local_99" title="smile" style="color:rgba(0,207,249,1); font-size:25px;" ] 送出機関に支払った費用

紹介手数料 なし VND
寮費(12カ月分) 105,000,000 VND
授業料(12カ月分)
送出手数料
合計 105,000,000 VND

 

【編集部によるこの送出機関への取材結果】

※行政が決めた費用の上限を守っている

※食事は自炊か近くの食堂利用(自己負担)

まとめ:送出機関の選び方

①知人や親戚の紹介がベストの送出機関とは限らない

②送出機関によって総費用が大きく異なる

③高い費用を払ったからといって、よい技能実習先を紹介されるとは限らない。逆に、安い費用でもよい実習先を紹介してもらえる事例はたくさんある。

④送出機関に自分で連絡して手続きをするだけで、違法な紹介手数料(1,000 USD相当のケースが多い)を支払わなくてすむ。直接の申し込みを断られた場合、他の送出機関を検討してもよい。

⑤情報を収集して自分で送出機関を選ぶことが一番大事

・まずKOKOROサイトの体験談を読み、いろんなケースがあることを理解する。
https://www.kokoro-vj.org/vi/post_category/category/kinh-nghiem-cua-toi

・場合によっては、KOKOROで体験談が紹介されている先輩に問い合わせる(=メールアドレスを掲載している先輩がいる)。

・他のインターネットサイトも調べる(特にレビューをたくさん読む)。

・複数の技能実習経験者に送出機関に関する情報を教えてもらう。

⑥紹介手数料(紹介者に支払う謝礼)を禁止している送出機関は費用の上限を守っている確率が高いので、そういう送出機関を探す。

【送出機関に詳しい専門家からのアドバイス】

・これから送出機関を選ぶ人へのアドバイスは?

――技能実習経験者から情報を集めるのが有効です。ただし、実習を終了して帰国した人よりも、現在日本にいる現役の技能実習生から話を聞くのが一番よいと思います。帰国した実習生は特定の送出機関と結びつき、手数料と引き換えにその送出機関に生徒を集める役割を持っているケースが多いからです。

・現役の実習生に何を聞けばいいですか?

――この特集記事に書かれているような、送出機関に支払った費用や送出機関での教育内容を聞きましょう。また、現役の実習生は受入組合で知り合った他の実習生とも情報交換していますので、他の送出機関の情報も知っています。

・一般には、親戚・知人や学校の先生から送出機関を紹介してもらうケースが多いですが。

――全員とまではいいませんが、大半が送出機関から手数料をもらう「ブローカー」という立場の人たちです。自分で情報を収集することで費用を大きく節約できる可能性があります。

 ※送出機関の選び方について、詳しくはKOKOROサイトの下記ページも参照してください。

5. Những điểm cần chú ý trong chế độ thực tập kỹ năng : [Lựa chọn công ty phái cử]

【送出機関の手数料のポイント】

 送出機関が技能実習生から受け取る費用は海外労働管理局(DOLAB)の通達で下記のように定められています。

・送出手数料(渡航に関する費用)…通常(3年契約)の場合で3,600 USD以下

・在留資格認定証明書が発給される前の費用徴収は禁止

・保証金を徴収することは禁止・約520時間の日本語教育に対する「事前教育費」は5,900,000 VND以下