日本に来たばかりのころ、私はひらがなも満足に読めなかったので、1人で昼食を食べに行った時はいつも店の前にあるショーケースの中から注文しやすそうな(無難な)料理を選んでいました。その頃は、 「定食」といえば小さな器(お茶碗)に盛られたご飯とみそ汁と焼いたお肉かお魚、そしてお漬物が付いているもの、「麺」は大きな器にスープと麺、その上に野菜や肉が覆いかぶさっているものだと思い込んでいました。だから、定食が“ご飯もの”、大きな器に盛られているものはすべて“麺もの”だと思っていました。
日本の外食に少し慣れてきたある時、偶然に「どんぶり」を注文しました。出てきた料理を見て、「大きな器でも“ご飯もの”ってあるんだ」と知ることができたのです。
どんぶりは、大きな器である「丼」にご飯、その上に卵やお肉、魚、野菜などを調理したものが乗った料理のことです。一つの器で完結する料理ですが、様々な具材が乗って栄養満点、しかも早く食べられます。今回は日本の代表的などんぶり料理と、私がベトナム人に向いていると思うどんぶり料理をご紹介します!
1. 天丼
海鮮や野菜を揚げた「天ぷら」が乗ったどんぶりです。大きなエビの天ぷらやふっくらした衣で覆われたキスなどの切り身、サツマイモ、レンコン、ナス、そしてカボチャなどが器いっぱい、はみ出るほど盛られています。衣はサクサク、エビや魚はプリプリした食感。その具材の下にかかっているタレには、出汁とミリン、砂糖と醤油が使われています。とてもボリュームがあるので、お昼に天丼を食べるたび、午後はずっと私のお腹はいっぱいのままです!
2. カツ丼
豚肉に衣を付けて揚げた「豚カツ」を卵でとじたどんぶりのことをカツ丼といいます。カツ丼という名前はカツレツ(フランス語でcôtelette)の“カツ”からきていると言われています。おだしに玉ねぎを入れて煮込み、そこに豚カツを乗せて溶いた卵を回しかけ、卵がほどよく半熟に固まるまで煮たら、どんぶりのご飯の上にかけます。最後に刻んだ三つ葉を少々…。日本の受験生は試験の前にこのカツ丼をよく食べると言われています。それは、名前にカツ=“勝つ”が入っているからだそうです。みなさんも日本人に習って試験前にカツ丼を食べてみてはどうでしょうか⁉
3. 親子丼
“鶏肉”と“たまご”、そして玉ねぎが入ったどんぶりです。私の日本語の先生が「この料理は母と子(親と子)、つまり材料が鶏(親)と卵(子)の料理なのよ」と教えてくれて初めて知りました。だから親子丼は、私が一番初めに知ったどんぶりものであり、かつ「簡単に作れて美味しい!」と思っている料理です。鶏肉と薄切りにした玉ねぎを甘辛い出汁で煮込み、溶いた卵を流し込んでさらに煮て仕上げます。油はほとんど使いませんが、うまみと甘みが出ます。最後に、香りづけの刻みネギと三つ葉を添えます。
4. 牛丼
具材は牛のバラ肉と玉ねぎで、甘辛いタレで味付けされているのが牛丼です。牛丼は日本で最もポピュラーで身近などんぶりものであるうえ、美味しくて栄養も満点です!日本人はこの牛丼の上によく“生卵”をまんべんなくかけるのですが、温かいご飯と一緒に食べることで生卵独特の生臭さも感じず、滑らかな食感になります。日本には牛丼店がたくさんあるので、是非食べてみて下さい!
5. 海鮮丼
新鮮な魚介類(刺し身)が乗ったどんぶりのことです。正直言うと、私が海鮮丼を食べたのは来日して2年も経ってからのことで、当時はやっとお刺し身を食べられるようになった時でした。海鮮丼は、ルビーのように澄んだ赤色のマグロや鮮やかなオレンジ色のサーモン、イカ、エビ、ホタテなど色とりどりの魚介が真っ白なご飯の上に乗っています。ご飯の上に重ねるように盛り付ける技も、様々な魚介の色をさらに際立たせています。食べる時は、醤油にワサビを少しだけ混ぜてみてください。温かいご飯と海鮮を一緒に食べるので、お寿司とはまた違う感じが楽しめますよ!
どんぶり料理は、早く食べられるうえに栄養満点なので「日本のファーストフードだ!」と言う人も少なくありません。私のママ友も、短時間で大人数の料理を作る時によくどんぶり料理を作ります。また、冷蔵庫の残り物を使ったり、いろんな材料を組み合わせてオリジナルどんぶりを作ったりして楽しんでいます!皆さんも是非試してみてくださいね!