体験談(技能)
今回の先輩
Nguyễn Xuân Bình (グエン・シュアン・ビン)さん
1994年生まれ、ホーチミン市出身
2012年 Thu Duc高校卒業
2014年 インターネット広告デザイン会社勤務
2015年10月 日本語センターで勉強(ホーチミン3カ月、ハノイ5カ月)
2016年 6月 訪日し講習受講 2016年 7月 トーインで技能実習開始
2019年 6月 帰国し、TOIN Vietnamに就職
はじめに
ベトナムで身に付けた写真撮影やインターネット広告のノウハウを生かして技能実習中にベトナム人団体の活動に貢献し、仲間と楽しく過ごしたビンさん。実習への取り組み方も評価され、帰国後は実習した会社の現地法人で働いている。日本滞在を楽しんだビンさんの体験談を紹介する。
印刷工場での技能実習
私は2016年から3年間、千葉県内の工場で技能実習をしました。さまざまな商品のパッケージやラベル、添付文書(説明書など)を製造する会社です。私を含むベトナム人3人がこの工場で初めての技能実習生でした。印刷を担当し、インクのチェックや紙の準備など日本人の先輩の補助が中心でした。勤務は交代制で、早番(6時半~14時)と昼番(14時~22時)があり、たまに遅番(18時半~翌朝6時半)もありました。
寮は工場から自転車で十数分のところにあるマンションの9階で、1年目は3人で、2年目からは2人で住みました。寝室は1人に1室ありました。
http://www.toin.co.jp/index.html
日本での生活
手取り給料が十分にあったので、週末は東京に出かけてベトナム人仲間と集まったり、一緒に観光に出かけたりして楽しく過ごしました。また、工場では日本人と話す機会がたくさんあり、ヒアリングが上達しました。ただ、日本語能力試験(JLPT)のN3には少しだけ点が足りませんでした。
私の家計簿(1カ月の平均)
※100円=21,775 VND(2020年4月20日現在)
手取り給料(120,000円~160,000円)
手取り給料 | 120,000円~160,000円 ※税金、社会保険料、寮費を引いた後の手取り額 ※控除額のうち寮費は25,000円(寮の寝室は1人1室) |
支出(合計 50,000円~60,000円)
水道・光熱費、Wi-Fi | 10,000円 ※利用者で分担 |
食費 | 15,000円 ※主に自炊。昼食は会社の補助があり200円のみ負担。 |
雑費・交通費 | 30,000~40,000円 ※仲間とお出かけ、外食 |
差額・貯金(平均90,000~100,000円)
※毎月平均80,000円を実家に送金
※残ったお金で長期休暇時に旅行
ボビナム
技能実習の同期生は少なかったので、休日は職場以外のベトナム人とよく遊びに行きました。仲間づくりの最初のきっかけは東京の「日本ボビナム協会(Vovinam Japan)」に通うことでした。ボビナムとは、1938年にベトナムで生まれた総合武術で、アジア各国を中心に全世界に広まっています。
私はベトナムで高校3年のときから2年間、道場でボビナムを習ったり子どもたちに教えたりしていました。そのときの仲間が先に日本で働いており、協会のことを教えてくれました。訪日3日後にさっそく東京のボビナム協会を訪ねて練習しました。そこにはフィリピン人やタイ人、日本人もいました。ただ、練習開始が19時半ぐらいで寮からも遠く、帰宅が24時ごろになることも多かったので、通ったのは3カ月間ぐらいで、その後はイベントにだけ参加しました。
在日ベトナム学生青年協会 (VYSA)
一方、ボビナム協会の先輩がその後、VYSA主催のテト(旧正月)のパーティーに誘ってくれました。VYSAは各地に支部があるベトナム人の若者の組織です。私はベトナムでインターネット広告の仕事をしていたので、それをきっかけにVYSAのイベント広報(写真撮影、ネットでのPRコンテンツの作成や拡散)を手伝うようになりました。
https://www.facebook.com/VYSAJP/
VYSAの仲間とは、イベント準備で会うのはもちろん、都内各地や横浜などあちこちに一緒に遊びに行きました。当時の東京のメンバーは大学生や専門学校生が多く、実習生は私1人だけで最初は居心地が悪かったのですが、一緒に活動するうちに溶け込むことができました。
VYSAの仲間とはときどき旅行にも行きました。その中で一番感動したのは沖縄で、ベトナムの家屋と似た民家が建っていました。海もとてもきれいでした。
帰国後
私は技能実習での取り組みが評価され、帰国後も現地法人のTOIN VIETNAMで働けることになりました。帰国後の仕事も日本での実習内容と同じです。ただし、日本では日本人の先輩のサポートが多かったのが、帰国後は自分が主担当になりました。また、今の職場では日本語をまったく使わないので、自宅で毎日1時間半ほど日本語の勉強を続けています。
ホーチミンからビンズオン省まで会社のバスで1時間かけて通うのが少し疲れるのと、給料がもう少し上がればという希望はありますが、引き続き今の仕事をがんばっていきたいと思います。