体験談(留学・高度)

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By KOKORO(毎日新聞社+VAIJ主催、在ベトナム日本国大使館など後援)

今回の先輩

ロ・ティ・マインさん
  • 2015年5月ソンタイ高校卒業〈ハノイ〉
  • 2015年8月ハノイ国家大学・外国語大学 日本言語文化学部入学
  • 2018年3月交換留学で明治大学情報コミュニケーション学部=1年間〈東京〉
  • 2019年6月明治大学に短期留学(1カ月間)
  • 2020年7月日系IT企業に就職〈ハノイ〉
  • 2020年7月ハノイ国家大学卒業

〈1997年生まれ、ハノイ市出身〉

はじめに

ボランティアでお菓子配り〈ハノイで2017年12月〉

ハノイの若い女性たちが応募する「さくら親善大使」のコンテストでトップ5に選ばれるなど華やかな経歴のマインさん。学生としては、さまざまなやり方で積極的に日本語を学び、1年間の交換留学生に選ばれた。日本語の勉強方法や留学生活、日系企業への就職活動について、マインさんが体験談を紹介する。

ボランティアでお菓子配り〈ハノイで2017年12月〉

ハノイの日系企業に就職

職場の人たちとハノイのレストランで〈2020年7月〉

私は日本語や日本文化を学び日本に留学もしたので、日本での就職を希望していました。しかし、新型コロナウイルスの影響で渡航できなくなり、2020年7月に地元のハノイで就職しました。就職活動では、自分が今何をしたいのか、また将来はどうなりたいのかをまず考えました。その上で、求人サイトや知人の紹介で求人を探し、出願しました。

就職した会社には日越2カ国語の履歴書を出し、日本語で面接を受けました。事前に面接で聞かれることを考え、何度も受け答えの練習をしました。実際の面接では、「当社はまだ新しく小さな会社ですが、あなたはそれでも大丈夫ですか?」などと聞かれ、「皆さまと一緒に会社を育て、将来、会社に不可欠な人材になりたい」と答えました。

職場の人たちとハノイのレストランで〈2020年7月〉

日本語の勉強

越日学生会議のメンバーと〈ハノイで2016年2月〉

私が大学時代に取り組んだ日本語の勉強方法を紹介します。

学習グループ 大学1年のとき、苦手だった漢字を克服するために日越親友会(JVC)に参加しました。JVCは当時、漢字・会話・文法・読解などに分かれてグループ学習をするサークルでした。ここで知り合った仲間とは、このサークル以外でも一緒に日本語能力試験(JLPT)対策の勉強をしました。 Link:日越親友会

越日学生会議(VJSC) ハノイの各大学から有志が集まり、日本の大学生たちと交流しました。日本から来た大学生たちに観光案内をしたり、日越の文化紹介のプレゼン資料(日本語)を一緒に作ったりしました。 Link:越日学生会議

越日学生会議のメンバーと〈ハノイで2016年2月〉

Riki 日本語センターで講師のアルバイト

日本人主催のボランティア活動に参加 ホアンキエム湖周辺でのボランティアのゴミ拾いに月2回ほど参加しました。日本人の主催で、終了後、コーヒーを飲みながら日本語会話などの練習をします。 Link:Lam sach dep Ho Guom voi Ninomiya

アルバイト 日本語力がついてからは、Riki日本語センターという日本語教室でN4受験クラスの講師をしました。

日本のドラマやアニメ 日本のドラマやアニメ(音声は日本語、字幕はベトナム語)も見ました。リスニング力が向上し、好きなセリフをまねることで発音もきれいになりました。

Riki 日本語センターで講師のアルバイト

日本語学習のツール

大学時代は、授業以外に1日3時間ぐらい日本語を勉強しました。私の使った教材を紹介します。

みんなの日本語=定番の日本語入門書 ◆「新完全マスター」シリーズ(スリーエーネットワーク)=JLPT受験者に評価が高い。練習問題が多い。「読解」が特に人気。 ◆「耳から覚える日本語能力試験」シリーズ(アルク)=「語彙」が特に人気。CDやMP3もあり、聞きながら言葉を覚える。 ◆「日本語総まとめ」シリーズ(アスク出版)=「新完全マスター」と比べて練習問題は少ないが、毎日2ページずつ8週間で完成するプログラムで、独学でも続けやすい。 ◆NHK のNews Web Easy(オンライン)=やさしい日本語ニュースが読める。映像もあり、リスニングの練習にもなる。

時間があるときはYou Tubeの学習チャンネルも見ます。何かをしながら日本の歌を聴くこともあります。

1. あかね的日本語教室 2. Hiro Vlog 3. The Hanoi Chamomile 4. Samurai Chan 5. Giang Vũ

1年間の交換留学

明治大学で留学仲間と〈2019年〉

日本語が上達したので、大学3年のときに約1年間、交換留学生として東京の明治大学に留学しました。留学中は、牛丼店でホール担当(接客、配膳、レジ)としてアルバイトをしました。牛丼店で最初は日本人の同僚の言うことが分からないときもありましたが、同僚たちはとても親切で、分からない日本語があると、いつも親切に教えてくれました。休みの日には彼女たちと一緒に遊びにいくこともありました。

牛丼店のアルバイトはタウンワークというウェブサイト(日本語)で探しました。

明治大学で留学仲間と〈2019年〉

私の家計簿(1カ月の平均)

 ※交換留学中の東京での生活費 ※100円=21,943 ドン(2020年8月9日現在)

※交換留学中の東京での生活費 ※100円=21,943 ドン(2020年8月9日現在)

収入(合計115,000円~120,000円)
アルバイト1件  

115,000円~120,000円

※牛丼店

支出(合計92,000円~97,000円)
家賃

50,000円

※水道・電気・ガス・Wi-Fiの料金込み

※ワンルーム(家具付き)に1人

※風呂・シャワー・キッチン・トイレは共同

学費

0円

※ハノイ国家大学と明治大学との協定で学費免除

携帯電話

2,000円

※LINE Sim利用

食費

25,000円

※バイト中は店のメニューを6割引で食べられた

雑費

15,000円~20,000円

※外食、衣類、交通費、化粧品

毎月の差額・貯金(平均23,000円)
差額

平均23,000円

※長期休暇時に長く働いて10カ月足らずで約30万円を貯め、一部を帰国の飛行機代や土産(ユニクロの服や菓子、化粧品など)に使った。

住居は、大学から紹介されたシェアハウスで、社会人もいました。食堂・台所が共用なので入居者同士で仲良くなり、5~20人で宴会をすることが毎月ありました。宴会では私もときどきベトナム料理を振る舞いました。特に仲がよかったのは年上の社会人の女性と言語学の研究をしている男性でした。彼らとは一緒に観光や外食にも行きました。

東京のシェアハウスで宴会〈2018年8月〉

東京のシェアハウスで宴会〈2018年8月〉

シェアハウスの仲間と高尾山(東京)へ〈2018年11月〉

シェアハウスの仲間と高尾山(東京)へ〈2018年11月〉

学部大使として再訪日

派遣留学のプログラムで浴衣体験〈2019年6月〉

交換留学からハノイに戻って3カ月後、明治大学に再び1カ月間留学しました。日本言語文化学部で毎年行われるJapan Day Festivalの大使コンテストで優勝し、学部の大使として派遣留学(旅費・滞在費無料)をさせていただいたのです。大学の仲間6人と一緒に渡航して大学のゼミなどに参加したほか、立山(富山県)や鎌倉(神奈川県)を観光し、皇居や国会議事堂、明治神宮などを見学しました。

派遣留学のプログラムで浴衣体験〈2019年6月〉

日本人女性の化粧

以前は化粧にそれほど興味がなかったのですが、留学して日本人女性のナチュラルで美しい化粧に感心しました。例えば、ほおが薄いピンクになっている人がたくさんいます。最初は地肌かと思っていましたが、やがて化粧だと分かり、びっくりしました。それからは、私もネットで化粧の勉強をしたり、デパートの化粧品売り場でメイクをしてもらったりして参考にしました。留学の1年間で化粧がずいぶんうまくなったように思います。

留学後も、航空便のキャビンアテンダントをしている友人にときどきお願いし、日本で化粧品を買ってきてもらっています。

さくら親善大使ファイナリスト

「さくら親善大使」の最終選考でトップ5に入選〈2019年3月〉

ハノイでは2年に1回、ハノイ市や在ベトナム日本国大使館、AICグループの共催で「さくら親善大使」を選ぶイベントがあります。ハノイ市在住の18~28歳のベトナム人女性で日本語を話せることが応募条件です。2019年3月、書類選考で選ばれた50人のうち面接で15人が最終選考に進みました。私もこの15人に入り、お茶会やすし作りなど日本文化を体験したほか、同年9月に日本に約1週間行かせていただきました。

「さくら親善大使」の最終選考でトップ5に入選〈2019年3月〉

将来の夢

私は現在、ITコミュニケーターをしています。日本の親会社が日本で受注したアプリ開発業務を私たちの会社が請け負う際、顧客の依頼内容をエンジニアに伝える役割です。発注に関する日本語資料をベトナム語に翻訳する仕事も含まれます。

将来は、親会社で勤務する機会があればと希望しています。日本語力をもっと高めたいですし、日本ではベトナムより給料も高いからです。留学が楽しかったので、もう一度日本に住みたいという気持ちもあります。当面は、今の仕事で会社に貢献できるよう、しっかりがんばりたいと思います。