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「正座」は日本の伝統的な座り方?

足を折りたたんで座る「正座」。日本の江戸時代(1603~1868年)、武士が将軍に会うときは、正座をすることで将軍への忠誠心を示しました。現代でも、茶道や華道、書道など日本の伝統文化で正座は正式な座り方とされ、日常生活でも、和室で目上の人と会うときは正座が原則です。ただし、日本で正座が広まったのはそれほど昔のことではありません。それでは、正座は日本でいつごろからどうやって広まっていったのでしょうか? この記事は5カ国語の総合メディアJAPOと共同で制作しました。ベトナムでは、JAPOのウェブサイトに毎月15万件のアクセスがあり、雑誌も毎月2万部を配布しています。TV番組もあります。 昔は「立てひざ」や「あぐら」が一般的だった あぐら かつては「立てひざ」や「あぐら」が一般的 正座は日本の奈良時代(710~784年)に中国から伝わったと言われています。しかし、長らく、正座をするのは、神様や仏様に祈るときや高貴な人にひれ伏す場合などに限られていたようです。 江戸時代(1603~1868年)までは、公的な場でも、男性も女性も片方のひざを立てて座る「立てひざ」の座り方が多かったそうです。その後、座禅(ざぜん)の座り方に近い「あぐら」という座り方(上の写真)も広まっていきます。 十二単の着物 平安時代(794~1185年)の女性貴族や宮廷で働く女性たちの姿が当時の絵に描かれていますが、彼女たちの正装は十二単(じゅうにひとえ)という着物でした。この着物は下半身の部分がゆったりし、あぐらで座ることを前提にデザインされていました。また、平安時代の女性が正座を崩した「横座り」でくつろぐ姿も当時の絵で見られます。 武士や茶道での座り方 「あぐら」をかく武士 江戸時代までは、武士も「あぐら」か「立てひざ」、「そんきょ(しゃがむ姿勢)」の座り方で座っていました。正座で座ると、足がしびれますし、立ち上がるのに時間もかかるので、周囲の人から急に襲われた場合に対応できないという事情もありました。 千利休 また、今は茶道をするときは正座が原則ですが、昔は「あぐら」でよかったそうです。最も有名な茶人である千利休(せんのりきゅう、1522~1591年)もあぐらで茶道をしていたことが、当時の絵から分かります。 正座が広まり始めたのは17世紀 将軍が正座を導入 正座が広まっていくきっかけになったのは、江戸時代(1603~1868年)の初期に将軍(しょうぐん:全国の武士のトップ)が各地の大名(だいみょう:各地の武士のトップ)や家臣(かしん:身近な部下)に会う際に、相手に正座を義務付けたことでした。 将軍はKing...

2024年05月04日
  • マンガ・読書感想文コンクール

    2023年04月05日
    “大同生命”という日本の保険会社をつくった「広岡浅子」の伝記マンガのベトナム語版が発刊されました。このマンガを読んで感じたこと、勉強になったことを、A4・1枚程度の感想文に書いて応募してください。入賞者には賞金が渡されるほか、応募者全員にデジタルギフト券が贈られます。 このコンクールには、ベトナムと日本から計655作品の応募がありました。厳正な審査の結果、12人の受賞者が選ばれ、2023年11月に表彰式を行いました。くわしくはこちらをお読みください。 主人公は女性の実業家 このマンガは広岡浅子(1849~1919年)という19世紀の日本の実業家の生涯を描いたものです。 浅子は今から174年前にとても裕福な商家に生まれ、今の銀行のような事業をしていた大きな商家に嫁ぎます。しかし、その直後に日本では革命が起きて経済環境が大きく変わり、浅子たちの商家も危機を迎えます。 そんな中、浅子は危機を救い、新たに銀行や石炭事業を起こしたり、日本で初めての女子大学を設立したり、生命保険会社を作ったりと、大活躍します。 「男が外で働き、女は家事と子育てをする」のが一般的だった時代に、女性の実業家として活躍した浅子。その人生をマンガで楽しく読み解きます。 大同生命について 左:広岡浅子さん、右:大同生命本社ビル 大同生命は、浅子たちが創立した120年の歴史を持つ日本の生命保険会社です。中小企業向けの保険サービスを提供するほか、中小企業が抱えるさまざまな課題の解決をサポートしています。 感想文コンクール 応募できる人 ベトナム語を母国語とする人(日本に住んでいるベトナム人もベトナムのベトナム人も応募できます) 課題図書 HIROOKA ASAKO小学館学習まんが人物館「広岡浅子」ベトナム語版※電子書籍(ベトナム語)はこちらから無料で読めます。 感想文の形式 ベトナム語か日本語のどちらかで書いてください。・ベトナム語:A4・1枚以内(500~700ワード)・日本語:A4・1枚以内(1000~1400字)フォーマット・ダウンロード※このフォーマットを使ってパソコンや携帯電話で入力しても、別の紙に手で書いてもどちらでも構いません。※フォーマットには感想文のサンプル(文章例)もついています。 応募方法 ・学校や日本語センター、組合などを通じて応募する場合は、先生に作品を渡してください。・個人で応募する場合は、下記にメールしてください。kokoro.vj.2022@gmail.com 応募しめきり 2023年6月30日 審査 ・大同生命の関係者やコンクール事務局(ベトナム人、日本人)が「作品の内容を的確にとらえているか」「自分の意見・感想をわかりやすく表現できているか」などを審査します。・表彰は2023年秋の予定です。 賞金・参加賞
  • ベトナムの常識・日本の非常識_35:「はい」は1回だけ

    2023年03月28日
    あなたが職場の上司から指示を受けたとき、ベトナムでは「はい、はい、はい」と返事をするのは一般的なことです。また、目上の人には車内で助手席に座ってもらうのが普通です。ところが、日本で同じことをすると……。 「はい」と3回連続で言うのは… 失礼です 上司から仕事の指示を受ける場面を想像してみてください。ベトナムでは、あなたが何か仕事の指示を受けたとき、「はい、はい、はい」または「OK、OK、OK」と答えるでしょう。これはベトナムではごく普通の返事で、指示をしっかり理解したという証しであり、礼儀正しい表現です。 しかし、日本で「はい」を2、3回続けて言うと、相手に良い感情を持たれません。上司やお客さんから指示や依頼、説明などを受けたときは、「はい」と1回だけ答えましょう。相手の顔を見て「はい」と1回だけ言えば、「(あなたの指示や説明を)理解しました」という意味になります。日本で仕事をするときは、このことを覚えておいてください。 話す相手が上司ではなくても、日本で「はい、はい、はい」と答えるのはよくありません。ある日本語の先生が教えてくれたことですが、日本人が「Yes」または「OK」と答えるとき、「はい」は1回だけです。「はい、はい」と答えると、「相手を軽く見ている」「聞き流している」「面倒くさそうにしている」などと誤解されてしまうそうです。「はい、はい、はい」も同じです。 ですから、上司とのやり取りだけではなく、アルバイト先の飲食店でお客さんの注文を受ける場面などでも、注文に対し「はい、はい」や「はい、はい、はい」と答えるのは失礼にあたります。お客さんが気分を損ねて帰ってしまうかもしれませんので、気をつけましょう。 食べるときはおわんを手で持つ ベトナムでは、おわんをテーブルに置いてスプーンで食べるのが一般的です。はしを使う場合も、おわんを置いて食べることについて何も気になりません。しかし、日本の文化では、おわんをテーブルに置いたまま、首を伸ばしておわんに口を近付けてはしやスプーンで食べると、「行儀が悪い」と思われてしまいます。日本では、おわんを片手で軽く持ち上げて口に近付けてから、はしやスプーンで食べる方が良いのです。ただし、大きなお皿については、片手で持ち上げる必要はなく、テーブルに置いたままで大丈夫です。 私は、日本の小学校に通う娘から、給食の時間に「3つのノー」運動があるということを聞くまでこのことを知りませんでした。「3つのノー」とは、①テーブルにこぼさない ②食べ物を残さない ③テーブルの上におわんを置いたまま食べない、の3つです。 日本人には、おわんやお茶わんをテーブルに置いたまま顔を近付けて食べることはペットのような食べ方と映るのかも知れません。さらに、おわんやお茶わんを手に持つことは、お米を作っている農家の人たちへの感謝の気持ちも表しているそうです。お子さんが日本の学校に通っていたり、職場で日本人の同僚と一緒に食事をしたりする場合は、このことに注意してください。 車に乗るとき、目上の人はどの席? 日本では車に乗る時、ベトナムとは異なる座席のマナーがあります。これは多くの国に共通することかもしれません。 ベトナムでは、運転席の隣の席(助手席)は家族や親しい友人のための優先席だと考えられています。例えば、私の家族が車に乗るとき、父はいつも運転する私の隣(助手席)に座り、後部座席には母と妻と子供たちが座ります。この配置の根拠は簡単で、父は家族で最年長なので一番良い席(広々とした視界がある助手席)に座るのです。これはおそらく多くのベトナム人家庭で共通のルールになっていると思われます。 しかし、日本のルールはこれとは違います。卒業式のとき、友人と車で日本語教師を迎えに行きました。私は友人(運転手)の隣(助手席)に座っていましたが、先生の家に到着すると、いったん車から降りて先生に助手席に座ってもらい、私は後部座席に回りました。それが先生への敬意だと考えたからです。 先生は少しとまどったような顔をしていましたが、何も言いませんでした。行事が終わった後、先生から興味深い文化の違いを聞きました。日本では、目上の人やお客さんを後部座席に座らせることが多いそうです。例えば、会社の上司や先輩とあなたがタクシーで移動する場合、上司と先輩に後部座席に座ってもらい、あなたは助手席に座るのがマナーなのだそうです。日本で仕事をする人はこのことにも気を付けてください。
  • 新入社員向けの基本ビジネスマナー_02

    2023年02月10日
    就職活動を終えてこれから日本で働き始める人や働き始めて間もない人は、日本での基本的なビジネスマナーを学びましょう。「電話の受け方」「お茶の出し方」「ホウ・レン・ソウ」について解説した新入社員向けの基本ビジネスマナー_01に続き、この記事では「メールの基本的なマナー」と「敬語の使い方の注意点」を紹介します。 メールの基本的なマナー 留学生の皆さんは大学・学校の先生や職員の方々と電子メールでやりとりをしたことがありますよね? その中には、学校からの連絡事項であって返事をしなくてもよいメールもあります。しかし、仕事関連のメールとなると、社外からのメールであれ社内からであれ、必ず返信する必要があります。これから紹介する5つのことに気をつけましょう。 件名(タイトル)をよく考える メールの件名には内容や重要度を知らせる役割がある メールを受け取る人が最初に見るのが件名(タイトル)です。そのため、送り手はメールの用件がひと目でわかるような件名を書くことが大切です。 「御社訪問の日程について」 「〇〇記念式典の準備会合について」 「御社ビル清掃サービスの契約更新のお願い」 などと書けば、件名を読むだけでメールの内容がだいたいわかります。 忙しい人は大事なメールから読む 1日に何十本ものメールを受け取る人もたくさんいます。そういう人たちにメールを送信する場合、件名は一層重要です。彼らは件名で判断して重要なメールを先に読み、内容がよくわからないメールは後回し(場合によっては数日後)にする場合も多いからです。 社名を入れる メールの件名にあなたの社名や名前を入れると、相手がメールの内容を想像することが一層容易になります。また、後からメールを検索する際にも便利です。 「3日の打ち合わせ資料(森興産、ブイ・リン)」 などと書けば、相手は一目でメールの内容や送り主がわかります。過去のメールを後から探す際にも、件名にメールの内容や送信者の会社名・名前などが入っていると、とても探しやすいです。 24時間以内に返信する 仕事を進めるためにメールで連絡を取り合うことはひんぱんにあります。その際、多くの人はメールを送ってから1日以上返事がないと、不安になります。そこで、メールを受信してからなるべく早く返信する習慣を付けましょう。事情があって遅くなっても、受信から24時間以内に返信するように心がけてください。 ・あなたの返信が早いと、相手はあなたに下記のような好印象を持ちます。 仕事が早い 仕事ができる 信頼できる ・あなたの返信がいつも遅いと、相手はあなたのことを下記のように思いがちです。 この人と一緒に仕事をするのは不安だ 返信が遅いので、仕事が円滑に進まない そもそも、相手はあなたの返信を待って仕事を次のステップに進めることが多いので、返信が遅いと、相手に迷惑をかけることになります。 ところで、ほとんどの会社が土日祝に休業します。もし金曜日にメールを受信した場合は、翌週の月曜日までに返信するとよいでしょう。 急ぎの用件はメールだけに頼らない トラブルやミスが起きたとき、納品スケジュールが押しているとき、予定の緊急調整が必要なときなど、急ぎの用件でメールを送る場合があります。しかし、相手がそのメールをいつ読むかはわかりません。場合によっては、2、3日放置されてしまう恐れもあります。 急ぎの場合は、メールを送るだけではなく、相手に早く確認してもらえるように電話やSNSなどでメールを読んでくれるように催促することも大切です。そして、緊急性が高い場合は、メールを送るより先に電話をかける方がよいでしょう。 早めにお礼メールを送る お客さんはあなたのために時間を作ってくれています。そのため、お客さんと打ち合わせをした後には、なるべく「お礼メール」を送りましょう。 お礼メールの内容は、感謝の気持ちのみならず、打ち合わせた内容のまとめや今後の課題・展望も書きましょう。そうすることで、その後の仕事がスムーズに進みます。 送信前に誤字・脱字や添付ファイルを確認する メールの送信ボタンを押す前に、件名、相手の名前、本文などに誤字・脱字がないか確認しましょう。もし、相手の名前を間違えてしまうと、大変失礼になります。また、本文に重要な誤字・脱字があると、あなたの仕事の信用性にかかわります。 また、添付ファイルの付け忘れや間違ったファイルを送ってしまうこともよくあるミスです。間違ったファイルを添付していないか、送信ボタンを押す前に添付ファイルの内容を必ず確認するようにしましょう。そうすることで添付忘れも防げますね。 敬語の使い方の注意点 しっかりとあいさつをする これから一緒に働く人たちと良い関係を築いていくための最初のステップはあいさつです。 社内でのあいさつの言葉 ・おはようございます。 ・お疲れ様です。 社外でのあいさつの言葉 ・お世話になります。 ・お世話になっております。 こうした言葉を欠かさないようにしましょう。仕事でよく使う言葉については、下記の記事でくわしく紹介していますので、こちらも参考にしてください。 仕事で使う日本語 適切な返事やあいづち 「うん」はNG 日本人の友人と話すとき、「うん」「そうだね」などという返事をよくしていると思います。しかし、お客様や目上の人と話すときに「うん」とか「そうだね」などの言葉を使うのは御法度(ごはっと)です。「うん」や「そうだね」は自分と対等か立場が下の相手にしか使ってはいけません。お客様や上司、先輩にうっかり「うん」とか「そうだね」などと答えてしまうと、大変失礼なことになります。 「はい」は1回 返事をする際に「はい、はい」や「なるほど、なるほど」のように、本来は一度ですむ言葉を2回繰り返して使うと、相手は「適当にあしらわれている」と感じたり、あなたのことを「軽薄な人だ」と思ったりしますので、気をつけてください。 同意を表す表現 ・私もそう思います。 ・私もそのように思います。 ・私もそのように感じておりました。 ・おっしゃる通りです。 ・おっしゃる通りかと存じます。 承諾や同意の言葉 ・承知しました。 ・承知いたしました。 ・かしこまりました。 ・左様(さよう)でございます 。 ビジネスシーンにふさわしい言葉を選び、失礼がないように気をつけましょう。 主語に応じた敬語を選ぶ 敬語の中には、「丁寧(ていねい)語」、「尊敬(そんけい)語」、「謙譲(けんじょう)語」があります。 尊敬語と謙譲語を使い分けるのは外国人には難しいことですが、次の手順を知っておくと、少し簡単になります。まず、「その行為をするのはだれ?」と考えると、主語が分かります。主語を確認した上で、次の原則に当てはめると、敬語の間違いが激減します。 ・主語が相手や他人(主に目上の人)のとき→尊敬語 ・主語が自分や身内のとき→謙譲語 敬語の大事な原則や間違いやすい事例を知りたい方は下記の記事を読んでください。 これでスッキリ!敬語はこうして覚える また、丁寧語の「〜です」「〜ます」は使用頻度(ひんど)が高いので、意識しなくても使えるように普段から使って慣れておきましょう。 まとめ この記事では、新入社員が覚えておくべきビジネスマナーとして「メールの基本的なマナー」と「敬語の使い方の注意点」について説明しました。 【メールの基本的なマナー】 ・件名をよく考える(端的でわかりやすい件名を付ける) ・24時間以内に返信する ・急ぎの用件はメールだけに頼らない ・早めにお礼メールを送る ・送信前に誤字・脱字や添付ファイルを確認する 【敬語の使い方の注意点】 ・しっかりとあいさつをする ・「うん」はNG ・「はい」は1回 ・主語に応じた敬語を選ぶ これから日本で働く皆さんや日本で働き始めて間もない皆さん、この記事と新入社員向けの基本ビジネスマナー_01で紹介したマナーを覚えれば、基本的には大丈夫です。職場や取引先の皆さんから信頼される社員に早くなれるよう、ビジネスマナーにも注意しながらがんばってください。

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【在ベトナム日本国大使館後援】

  • ベトナムの常識・日本の非常識_21:バスケットボールシューズでランニングはしません

    日本人には直接的な言い方を避ける傾向があります。タクシーの乗り方もベトナムとは違います。今回もベトナムと日本の文化の違いをKOKORO編集部と一緒に見ていきましょう! 「遠回しな表現」は美徳 私たちベトナム人はあいまいな表現や言葉づかいを避けます。例えば、友人とコーヒーを飲んでいる場合を想像してください。つい時間を忘れて話し込んでいたらお腹が減ってきました…。 そのような場合、ベトナムでは、友人にはっきりと「お腹がすいたので、何か食べに行ってくるから、待っててね」とごく普通に言います。しかし、日本人はこのように言うでしょう。「そろそろ夕食の時間ですね」。この言葉の本当の意味は「お腹がすいた」ですが、はっきりそう言うのではなく「夕食」という単語を使って遠回しに空腹を伝えようとしているのです。これを聞いた人は、相手がお腹をすかせているのだと察しなければなりません。日本で外国人が遭遇する「日本人の言うことが理解できない!」の典型的な例です。 相手への配慮を忘れずに会話をする日本人 日本に住んだ私の外国人の友人たちも「日本人は直接的な表現を避け、何でも遠回しに言う傾向がある」と言っています。日本人には自分の思いや考えをストレートに表現せず、示唆に富んだ間接的な言い方をする文化がありますので、あなたは、彼らが何を言おうとしているのか推測しなければなりません。 日本人が直接的な表現を避けるのは、「相手の状況を考えながら話す」という文化があるからです。例えば、「お腹がすいた」とはっきり言うことは「相手の状況を無視して自分のことだけを考えた発言」だと、多くの日本人は考えます。自己中心的な人だと思われることを避けたいという意識が働き、遠回しな表現をすることが礼儀だと考えています。 ちなみに、空腹であることを「夕食の時間」と表現する場合は、暗に「そろそろ夕食の時間ですが、よかったら一緒にどうですか?」というお誘いの意味を含む場合も多いので、覚えておきましょう。 並んで待つタクシー 次は日本のタクシーについてです。こんな場面をイメージしてみてください。あなたがベトナムのバス停に到着しました。バスを降りると、すぐにタクシー運転手たちが寄ってきて「こっちに乗りなよ」と囲まれます。あなたは運賃や車種などを比較し、どのタクシーに乗るのが最適かを考えてタクシーを選ぶことができます。 しかし、日本では、あらゆる駅や空港、観光名所などでタクシーが「タクシー乗り場」の前できれいな列を作って並び、順番を待っています。タクシー乗り場の場所は、その場所の管理者(行政や鉄道会社など)が決めます。乗客もタクシー乗り場の前に並び、乗る順番を待ちます。タクシーも乗客も順番が回ってきた者同士がマッチングされ、どのタクシーに乗るかは自動的に決まっていきます。 ただし、例外的に、タクシーチケット(特定のタクシーで使える後払いチケット)を持っている客やタクシーに乗り慣れた客がチケットの使えるタクシーや好きなタクシーに乗るために、そのタクシーが来るまで順番を人に譲る場合もたまにあります。 また、交通量の多い都会の道路では、ベトナムと同じように手を挙げてタクシーをつかまえることができます。日本人は駅前などに並んでいるタクシーを「客待ちタクシー」、道路で手を挙げて止めるタクシーを「流しのタクシー」と呼んでいます。ちなみに、ベトナムの Grab タクシーのようなシステムは日本では普及していません。マイカーで有料で人を運ぶ行為は日本では法律違反になるからです。 ところで、日本の多くのタクシーは会社に所属し、「個人タクシー」も協同組合に所属しています。すべてのタクシーにメーターが付いており、同じエリアでは、どのタクシーに乗っても短距離の料金は大きく変わりません。ただし、深夜の割増料金なしの会社や一定額を超えた部分を半額にする会社などもあり、遠距離の場合は、タクシー会社を選ぶ日本人も結構います。とはいえ、いったんタクシーに乗ってしまえば、各会社が行政から認可された基準に従ってメーターが正確に距離と料金を計算するので、価格交渉はできません。 それから、日本でタクシーに乗るときは、ドアが自動で開きます。タクシー会社によっては運転手が降りてきてドアを開けてくれるケースもあります。多くの運転手は白い手袋を着用し、支払い方法は現金やクレジットカード、ICカードなど多様です。また、運転手へのチップは必要ありません。 「運動」の違いあれこれ だれでもエクササイズをしますね。ストレッチやランニング、腕立てふせや懸垂(けんすい)など、そのメニューにベトナム人と日本人とで大きな違いはありません。しかし、スポーツに関する習慣の違いには興味深いものがたくさんあります。 一つは、エクササイズの基本的な位置づけや考え方の違いです。多くのベトナム人にとって午後遅い時間の運動は、友だちが集まって一緒に運動やおしゃべりをし、少し汗をかいたら切り上げてビールを飲みに行くという流れです。ベトナム人はグループで運動するのが好きで、仲間との結束を示す活動とさえ考えられています。しかし、日本人は単独でジムなどに通うのが好きです。たまに数人のグループで走っている光景も見かけますが、基本的には独り黙々とトレーニングに励む人が多い傾向があります。つまり、「運動は運動」なのです。 ランニング専用のウエアやシューズで走る日本人たち〈東京〉 運動の服装にも大きな違いがあります。ベトナム人は運動するとき、なるべく自分が快適な服を選ぶ傾向があります。タンクトップやショートパンツ、さらにはシルクの部屋着という人もいます。彼らは快適さを最優先に服装を選びます。 一方、日本人は時と場所、場合(TPO)に合わせた服装を重んじます。仕事でも冠婚葬祭でもアウトドアでもそうですが、自分が参加する活動に合った服を着用します。運動も例外ではなく、走るときはランニング用の服や靴、山に登るときは登山の服と登山靴を着用します。 このように、日本人はその運動に合わせたウエアやシューズを着用するので、バスケットシューズでランニングに出ることはありませんし、ランニングシューズでテニスをやることもありません。したがって、日本では、野球をするときにテニスウエアを着たり、サッカーをするときにバスケットのユニフォームを着たりしないでください。それはとても(悪い意味で)面白がられてしまうでしょう。

    2021年09月09日

  • ベトナムの常識・日本の非常識_20:日本人は目を見て話すのが苦手?

    日越の文化の違いシリーズ第20弾。①日本人の目を見つめて話すと、あまりよい意味にとられないって本当? ②日本人の老後の「楽しみ方」にびっくり! ③日本の社会人の昼休みは「一人ランチ」も普通の光景?――今回はこうした話題を紹介します。 真っすぐ見つめるのが苦手 西洋文化が勢いよく流れ込んでいるベトナムでは、アイコンタクトは一種のコミュニケーションスキルとして広まっています。多くの研究でもアイコンタクトは意思疎通の手段として効果が認められていますし、特に若者の場合は、会話中に相手の顔や目をじっと見ることが相手への親愛の情を示す自己表現の一つになっています。 ベトナムで相手をじっと見つめたところで、「そんなに見つめないでよ。わざとらしいわね」と言われる程度で、“変な意味”にとられることはありません。しかし、日本で会話中に長いアイコンタクトをすると、“変な意味”にとられてしまう可能性があります。 日本人は相手を真っすぐ見つめて話すことが苦手 日本には「相手の顔を長く見つめると失礼にあたる」という文化(感性)があります。もちろん、日本人も相手の顔を見て話すのですが、目だけをじっと見続けることは少なく、「ネクタイの結び目」や「額の真ん中あたり」などに目線を置くことが多いのです。そして、あまり長く目を見つめると、「攻撃的」と感じられてしまうケースもあります。 さらに、男性が見つめる対象が女性の場合はより深刻なことになる可能性もあります。実際には恋愛感情がなくても、じっと見つめて話すと、相手の女性に気があると受け取られてしまい、不快に思われることがあります。こうなると、まさしく“変な意味”になってしまいます。 このような精神文化が根付いているため、日本人は相手の目を長く見ることも見られることも苦手です。しかし、グローバル化に伴って、最近では就職活動などの際に「相手の目を見て話しなさい」などと教育されることもあります。文部科学省も小学校・国語の学習指導要領に「相手を見て話したり聞いたりする」という目標を盛り込みました。せめて相手の顔を見て話しましょう、という指導のようです。 日本人の老後の「楽しみ方」 日本人の高齢者は働くことを楽しむ ベトナムでは多くの高齢者が「老後は楽しみの時期」であると捉えています。 家族を養うために長年、仕事に励んだ後、子供が仕事に就いたら、多くの人は「老後はリラックスして楽しみ、子や孫たちとの時間で満たされたい」と思う傾向があります。 このようなベトナムの老後観を普通だと思っていると、日本人の老後の「楽しみ方」かを知ってあなたは目を丸くすることでしょう。彼らはなんと……老後にも働くのです。 総務省の調査によると65歳以上の労働力人口は年々増加しています。2020年は924万人で、15歳以上の労働力人口の13%以上を占めています。継続雇用制度がスタートする前年の2013年が637万人ですから、7年間で300万人近く増えました。 例えば、多くのスーパーで、トイレ掃除、買い物かごやカートの整理、駐車場の交通整理などをお年寄りが担当しています。また、日本の主要駅には大きな有料の自転車置き場がありますが、そこのスタッフもほとんどがお年寄りです。こうしたお年寄りはたいていパートタイムで働いています。 中には75歳以上の人も働いています。彼らの子供たちはすでに成人し養う必要がありません。しかし、彼らは働くことを楽しんでいます。私が知っている福岡県のホテルでは、清掃スタッフの50%が高齢者で、最年長は78歳です。彼らは1日6〜8時間働き、ベッドのシーツや枕カバーが詰まった重い袋を運んでいます。多少の腰痛やひざの痛みがあっても、彼らは頑張り続けるのです。 “ランチで一杯”はやらない? 「ランチに行って数杯飲もうか?」。ベトナムのオフィスでよく聞かれる誘い言葉の一つです。 暑い夏の日には、私自身も昼休みを利用して数杯飲んで涼み、時には友人や同僚と顔が赤くなるまで飲み、午後には通常通り仕事に戻ったものでした。 日本でも昼休みに仲間を誘ってランチを食べる文化はあります。しかし、ビールやワインを何杯も飲むことはほとんどありません。取引先とお互いに合意したうえでビールなどを飲みながらビジネスランチをすることはありますが、昼からたくさん飲むことはありません。日本の会社は規律に厳しく、昼間から酒を飲んで職場に戻ると、勤務態度が不真面目だと思われるからです。 ベトナムと日本の昼食文化も大きく異なります。 ベトナムでは、オフィス近くの飲食店で昼食をとり、その後コーヒーを飲みながらおしゃべりをするのが一般的です。私も「決して一人で昼食をとらない」という原則を尊重する多くの人々を知っています。 しかし、日本では、「一人ランチ」のケースもたくさんあります。同僚と昼食をともにすることも多いですが、忙しい場合などに、コンビニエンスストアなどで買った弁当を公園や自分の机で一人で食べるという光景もしばしば見かけます。そもそも日本ではランチタイムがかっちり1時間以内と決められ、昼間からプライベートタイムを長く取る習慣がありません。ベトナムのように友だちや仕事仲間との親交を深めようと長いランチタイムを楽しむと、日本人からはとても不思議に思われてしまうでしょう。

    2021年08月19日

  • ベトナムの常識・日本の非常識_19:日本の小学生は毎日同じルートで登下校?

    日本では小学生が毎日決まったルートで通学するのをご存知ですか?また、日本の道路でクラクションの音がほとんど聞こえず静かだと感じたことや、住所から建物を探すのが難しいと思ったことはありませんか? なぜでしょう? 決められた通学路で登下校 日本とベトナムでは、小学生の登下校に大きな違いがあります。 ベトナムで公立小学校に通うほとんどの子どもは、両親など保護者が毎日送迎します。これは「学校が児童に対して管理責任を持つのは校内だけで、校外での管理は家族の責任である」という考え方が背景にあるようです。 しかし、日本ではそうではありません。子どもが小学校に入ると、保護者は学校から地図を渡され、子どもの通学路を記入して学校に提出することが一般的です。学校がその通学路に同意すると、児童は毎日そのルートで登下校することがルールとなります。そして、日本では、保護者が送迎することは、特別な事情がある場合を除いてほとんどありません。その代わり、数人から十数人がグループで登校する「集団登校」というシステムを採っている学校もあります。その場合でも、下校時はばらばらに帰ります。 スクールゾーン また、ベトナムでは子どもをバイクなどで送迎することが多いのに対し、日本の小学生は通常、学校まで歩いて行きます。小学校近くの道路には「スクールゾーン」という表示が記され、通行車両に注意を促しています。そして、児童が登下校中に不審者に出会うなど危険を感じたときに助けを求めるための家が指定され、家に「こども110番の家」というステッカーが貼られています。 短いクラクションは「ありがとう」 ベトナムでの生活に慣れている私たちにとって、道路のあちこちでクラクションが鳴っているのは日常的なことです。ベトナム人はいろいろな目的でクラクションを鳴らすので、道路は金管楽器だけの交響曲を聴いているかのように騒音であふれています。それは主に道路上で他の自動車や歩行者に自分の存在を示すためです。 しかし、日本の道路でクラクションを鳴らすと、周りから不快感のこもった視線を浴びることになります。 日本のドライバーはクラクションをほとんど鳴らさないからです。日本人に聞くと、日本では譲り合いの気持ちを大事にするドライバーが多く、本当に危険なときにしかクラクションを鳴らさないそうです。もちろん、たまには鳴らしますが、それはよほど危険なときか運転手が気の荒い人の場合です。 また、日本人は「プッ」とか「プップッ」と短くクラクションを鳴らすことがあります。これは、例えば道を譲ってくれた人や自動車に感謝の気持ちを伝えるための合図です。 ところで、長崎市に住む私のベトナム人の友人は車線変更のために割り込もうとして何度もクラクションを鳴らし、パトカーに止められたことがあります。日本では、無理な割り込み(危険運転)もそのためにクラクションを鳴らすことも御法度です。 複雑な住所 ハノイでは住所から建物(家)を探すのは比較的簡単です。例えば、25番のHang Dao、95番のNguyen Thai Hoc、複雑な場合でも路地番号200の30番 Au Co ……。また、サイゴンではそれに地区名を追加するだけです。  しかし、日本ではインターネットにつながったスマホ(地図アプリ)などが手元にないと家を探すのは簡単ではありません。日本の住所はエリアやブロックごとに数字が割り当てられています。例えば、町名のあとに1-13-22と続く住所の場合、最初の1は「1丁目(1-chome)」というエリアを示し、次の13は「13番地(13-banchi)」という1丁目エリア内のブロックを指します。そして、最後の22が建物の番号です。 もう1つ大きな違いがあります。ベトナムでは街路に沿って家の番号が連続しているのがほとんどで、例えば、通りの片方に家番号が1、3、5、7…と並んでいると、通りの反対側には2、4、6、8…と並んでいるのが一般的です。しかし、日本の家の番号は、家が建てられた順に新しく割り振られることが多いので、連続した番号が並んでいないケースもよくあります。 ただ、日本には町ごとに郵便番号があり、オンライン検索で情報を入力する際などに便利です。地図アプリなどに郵便番号を入力すると町名が自動的に分かります。さらに建物名も入力すると、郵便番号と建物名だけで目的地への経路が表示される場合があります。

    2021年07月08日

  • ベトナムの常識・日本の非常識_18:日本人は親に電話しない?

    「飲食店で紙でおはしをきれいにふく」「友人の携帯電話を借りてゲームする」。ベトナムではよくある行いですが、日本ではある理由で歓迎されません。また、日本人はベトナム人と比べて親にあまり電話をしません。どういうことなのでしょうか? レストランではしをふくのは非常識 !? ベトナムではレストランの紙ナプキンやおしぼりで食前にはしをふいたり、割りばしを割ったときに木片を取り除くためにはしをこすり合わせるのはごく普通のことです。無意識の習慣と言ってもよいでしょう。しかし、この習慣は日本ではポピュラーではありません。それどころか、はしをキレイにしようという行為がレストラン側から不愉快に思われてしまう場合もあります。 これは私が2013年に体験した実際の話です。友人と2人で京都のラーメン店に行きました。注文した後、店主がお茶を運んできてくれました。当時ベトナムでは香港映画がとても流行していて、それらの映画に登場するお茶には主に二つの用途がありました。一つはもちろん飲むこと。そしてもう一つは「はしを浸して洗う」という用途でした。はしを浸した後は紙でふき取ります。ベトナムでは、通常、お茶を飲むには注文してお金を払わねばならず、無料で出てきた場合、そのお茶ははしを洗うためによく使われていますね。 私たちは香港映画に出てくるシーンのように、はしをお茶に浸し、店主に紙ナプキンを持ってきてくれるようにお願いしました。すると、それまでにこにこしていた店主の顔がみるみるくもり、ご機嫌斜めになってしまいました。しばらくして店主が私たちの前に戻ってきて、ぎこちない英語で「はしはしっかり洗っていますので、そのように洗う必要はありません」と話したのです。 日本で飲食店を営業するには厳しい衛生基準を満たさなければならないことを、私はそのとき初めて知りました。衛生管理の厳しい店では、食器洗浄の際に洗剤だけでなく熱湯や熱風で殺菌するなどして清潔さを保ちます。したがって、出されたはしをお茶で洗うという行動は、店主に「はしが汚れているぞ」とクレームをつけるようなものなのです。彼らのプライドは傷つきますし、それを見た他の客にもよいイメージを与えません。 訪日した際は、日本の飲食店の衛生管理を信用してくださいね。 親への電話 実家から遠く離れて大学に進学したり職場に赴任したりすることは、日本でもベトナムでも一般的です。しかし、親と離れてから後のある事柄について、日本人とベトナム人とで大きな文化の違いがあります。 ベトナム人は実家の様子を知るために学生でも社会人でも親にひんぱんに電話をかけます。日本で技能実習をしている私の知人のベトナム人女性たちもほぼ毎日、実家のお母さんに電話をかけて1時間近く話すそうですが、これはごく普通のことです。 しかし、このようなベトナム人の習慣を日本人に話すと、皆さんが驚きます。日本人は実家の両親にあまり電話をしないからです。 日本人の多くは、仕事が忙しいからということもありますが、ベトナム人のようにひんぱんに実家に電話をすることはありません。このため、子どものことが心配で親から子どもに電話することがあります。しかし、特に若い日本人男性は親からの電話にゆっくり対応しないことも多く、親もあきらめてあまり電話しなくなる傾向があります。 そのような親の寂しい気持ちをなぐさめるために「便りがないのは良い便り」という言葉が昔から使われています。「何か困ったことがあれば連絡してくるはずだから、手紙や電話がないことは無事に過ごしている証拠だ」という意味です。 2020年に私が富士山に近い山梨県でホームステイをしたときのことです。ステイ先の家主(女性)には、約800㌔離れた福岡県で働いている息子さんがいるのですが、彼女いわく「あの子が最後に電話をかけてきたのはいつだったか……、大みそかかだったか正月だったか……。それも、『元気だよ』とか『忙しい』とか、そんなことしか言ってなかったわ」とのことでした。 日本ではこのような親子関係が成り立っていて、日本文化の一つなのです。両親にあまり電話をしないからといって、「日本人は家族愛が希薄なの?」と思わないでくださいね。 最近は犯罪防止のために親に電話をする人も ただ、日本では高齢化が進み、年老いた親を案じて子どもが電話をするケースも増えてきました。子どもが普段電話をしないと、お年寄りが、子どもになりすました犯罪者からかかってきた電話を信じて子どもを助けるためにお金を振り込む「オレオレ詐欺」の被害に合うことがあります。こうした被害を防ぐため、「日ごろから親に電話をしようと」いう呼びかけが各所で行われています。 携帯電話の貸し借り ベトナムでは、友人や同僚の携帯電話を借りて写真を撮ったりゲームをしたりすることはまったく普通のことです。 しかし、日本で同じことをすると、あなたは相手の拒絶反応に出くわすかもしれません。 日本人にとって携帯電話はプライバシーそのものであり、他人に見せたくない個人情報が多く保存されている可能性があります。あなたが他人の携帯電話を手にした場合、その中のフォトアルバムや電話帳を見たりするつもりがなくても、持ち主の日本人は「見られたくないものを見られるかも知れない」と不安で仕方なくなります。 このため、日本人は他人に携帯電話を貸してほしいと頼むことはめったにありません。日本に住んでいると、日本人には「たとえ家族であっても他人の携帯電話を見ない」さらには「触らない」という暗黙のルールがあることが分かってきます。外国人とルームシェアをしている知り合いの日本人男性は携帯電話をバスルームにまで持っていくほどなのです。

    2021年06月04日

  • ベトナムの常識・日本の非常識_17:日本企業が重視する「名もない仕事」とは?

    日本の企業文化や仕事のマナーは世界でも一目置かれていますが、ベトナム人が日本で働くと最初はとまどうこともあります。日本の企業文化の中でも重要な「名もない仕事」とはなんでしょうか? また、「日本では家族より仕事の方が大事」というのは本当でしょうか? 「名もない仕事」 私はベトナムで16年間働き、その後、ここ3年間は日本のホテルで受付係として働きました。ベトナムでは、例えば、上司から「ウォーターサーバーのボトルを換えてきてください」と指示された場合、新しいボトルを持って行って空のボトルと交換すれば作業完了です。これを読んでいる皆さんも「ボトルを換えて」と言われて換えたのだからそれで終わりだと思うでしょう。 しかし、日本ではそれで作業完了ではありません。ボトルを交換するのは当然で、それに加えて、サーバーのトレイがぬれていいないか、ホルスターの紙コップは十分かなども確認しなければなりません。 もし、トレイがぬれていれば、日本人従業員なら自発的にぞうきんを持ってきてふき取り、ホルスターの紙コップが少なくなっていれば補充します。私はそういった仕事を「名もない仕事」と呼んでいますが、日本ではこのような「名もない仕事」もできる人が「仕事のできる人」として評価されます。 ぬれたトレイをふくことも、少なくなった紙コップを補充することも、お客様のためには必要なことで、いずれだれかがしなければなりません。ボトル交換を指示された従業員がそれに気付いて対処しなければ、上司が後で気付いて別の人に指示するか、紙コップがなくなってからお客様に指摘されてだれかが対応することになるでしょう。しかし、そうなる前に先に気付いて対応してくれる従業員がいれば、上司もお客様も助かります。これは日本の良い企業文化や仕事のマナーの一つだと思います。 それでは、日本人の多くはなぜそのような対処をできるのでしょうか? その一つは、日本の会社が「一つの仕事が他のどのような仕事とつながっているか」という業務の流れを従業員に包括的に教育していることが背景にあると思います。 また、日本では「一を聞いて十を知る」という言葉があります。一から十までだれかの指示を受けなければできないようでは半人前で、一つのことを聞いて関連する多くの事柄を学んだり、一つの指示を受けて関連業務も自分で考えて対処したりすることが大切だという考え方です。これは日本の職場で古くから使われている言葉で、日本の企業文化の重要な要素となっています。 日本では家族より仕事が大事? 「子どもの具合が悪いので、2時間ほど早く帰宅させてください」「子どもの学校の保護者会があるので、出社を遅らせてください」「母を病院に連れて行かなければならないので、会社を休ませてください」 このような会話はベトナムのオフィスではごく一般的です。私自身もベトナムで働いていたころは、子どものかかりつけの歯科が勤務時間内しか診療してなかったので、子どもを歯科に連れて行くためによく休みをいただきました。会社側も「家族は仕事よりも大事」という考え方で、家族に関連する遅刻や早退、休暇については気軽に認めてくれたものです。 しかし、日本では、家庭の事情で仕事を休んだり遅出・早退したりすることは、当たり前のこととは捉えられていません。日本のサラリーマンは「ひんぱんに欠勤したり遅出・早退したりすると出世に響く」と考える傾向があり、会社に相談する前に、親や友人に頼むなどできるだけ自分の出勤に影響を与えないように努力します。会社を急に休む人はあまりいません。 また、「所定の期限までに自分の仕事を完了させることは1人1人の責務」と考えることが一般的で、自分のやるべき仕事が定時に終わらなければ、終わるまで残業してから帰宅します。中には休日に仕事をする人もいます。こうした残業や休日労働に賃金が支払われないケースもあり、「サービス残業」と呼ばれて日本の長年の社会問題にもなっています。 このように、日本では「家庭より仕事が優先」という風潮が社会を長く支配してきました。これは日本の経済競争力の源にもなっていますが、バランスが必要だと指摘されています。 バランスを欠く例としては、私の娘が日本の小学校に通っていたとき、卒業式の準備が間に合わないため、担当の先生方が帰宅せず学校で2泊して作業を続けたことがありました。その先生の1人は娘の友人の母でしたが、そのとき、父親も仕事から早く帰ることができず、友人はコンビニ弁当を買って夕食を済ませるしかなかったそうです。 ただ、最近は「会社での出世や名誉より生活の充実の方が大事」と考える若者も増え、日本の企業文化も変容を迫られています。政府も「働き方改革」という施策を掲げ、働きやすい環境作りを推進しています。その結果、企業も有給休暇取得を奨励したり、早退などにも柔軟に対応したりするようになり、少しずつ変わってきてはいます。

    2021年05月14日

  • ベトナムの常識・日本の非常識_16:店内飲食NGのコンビニに注意

    日本のコンビニには、店内で飲食できる店とそうでない店がありますので、注意しましょう。また、デパートやスーパーにぬれたままの傘を持ち込んではいけません。それと、酔った勢いで上半身裸でビデオ電話をかけるのは日本ではNGです。【Thạch Long】 コンビニの店内での飲食 ここ3、4年で、コンビニ(ミニショップ)の「サークルK」はベトナムで若者たちの集いの場となりました。店内で若者たちが飲食をしたりしゃべったりタバコを吸ったり、また居眠りをしていたりと、だれもいない時間がほとんどありません。 日本に来ると、コンビニの数がベトナムの何十倍もあることやその便利さも段違いであることに驚きます。しかし、日本の全てのコンビニでベトナムのコンビニと同じように過ごすことはできません。一部のコンビニには飲食できるスペースが設けられていて、その店で買ったカップラーメンやコーヒーなどを座って飲食できます。しかし、そのようなスペースや椅子などがない場合は、店内で飲食してはいけません。コンビニのスタッフから「店内での飲食はご遠慮ください」と注意されると恥ずかしいので、気をつけましょう。 喫煙も同様です。全てのコンビニの前でタバコが吸えるわけではありません。店先に灰皿が備えてあれば吸っても大丈夫ですが、なければやめましょう。コンビニの店頭以外でも人通りが多い場所では、受動喫煙(他人が吸っているタバコの煙を近くにいる人が吸ってしまうこと)のため子供や高齢者、妊婦などの体に悪影響を及ぼすので注意しましょう。 ぬれた傘を店に持ち込まない ベトナムに住んでいると、雨の日には道路だけではなくデパートやスーパーマーケット、レストランの床もぬれているのが当たり前の光景です。大多数のベトナム人はぬれた傘やレインコートを持ったままデパートやスーパーに入店してしまいますね。 しかし、日本でぬれた雨具を店舗に持ち込む場合は、気を配らなければなりません。多くのデパートやスーパー、大型レストランでは、店の入り口近くにぬれた傘を入れるポリ袋のスタンドが置いてあります。 スタンドは大きく2種類あり、シンプルなものは傘を入れるための薄くて細長いポリ袋が束になって吊り下げてあるタイプです。ポリ袋を1枚ちぎって、そこに傘を入れます。もう一つは機械式で、傘を専用の機械に上から差し入れ、引き抜くと傘が自動でビニール袋に入って出てくるタイプです。また、ポリ袋ではなくぬれた傘の水滴を吸い取る「雨滴とり」装置が置かれている店もあります。 梅雨のように雨が多いシーズンには、ぬれた(折りたたみ)傘を収納できる袋を持ち歩いている人も増えています。傘を袋に入れて数回振ることで、マイクロファイバーの繊維が雨滴を吸収してくれます。最近は、環境保護の観点から使い捨てのポリ袋をなるべく使わないようにと考え、このような袋を利用する人もいます。 上半身裸でビデオ通話はNG 最近、こんなことがありました。私の日本人の同僚にベトナム人の年下の友人からビデオ電話がかかってきました。彼は日本滞在中に友人のお世話になったことがあり、少し前にベトナムに帰国したので近況を連絡するために電話してきたのです。 友人は喜んでビデオ電話に出ましたが、相手の格好を見て驚きました。なんと、上半身裸だったのです。相手がにこにこ笑って話し始めたので、友人は「電話をするときは服を着てね」と軽くたしなめるにとどめましたが、上半身裸で通話する友人の姿は衝撃的で、いまだに頭にこびりついて離れないそうです。 公共の場で服を着ることは日本人や欧米人にとってはマナーの一部です。ベトナムでは猛暑の日、男性が上着を着ず、半ズボンを履いて街を歩くのは珍しい光景ではありません。また、日本に住むベトナム人の若者も、部屋に仲間が集まって宴会をする際に上半身裸になることがよくあります。しかし、日本人は海水浴場やプールサイドといった場所以外で上半身裸で語り合うことは通常、ありません。これはビデオ電話でも同じです。酔った勢いで親しい日本人に裸で電話をするというようなことがないように気をつけましょう。

    2021年04月07日

主催者

Nhà tài trợ Bạch Kim

後援

  • 在ベトナム日本国大使館
  • 国際交流基金ベトナム日本文化交流センター
  • JNTOハノイ事務所
  • 関西経済連合会
  • 一般社団法人 国際人流振興協会
  • 公益社団法人 ベトナム協会
  • NPO法人 日越ともいき支援会

協力

JASSO(日本学生支援機構)

外国人労働者弁護団

WA.SA.Bi.